(裁判に出かけるのを渋っているホープ。今日が最後の公判だし、自分は証拠だからと行く気満々のKは、部屋の家具たちに別れを告げ始める。)
(負けるのが怖いのだろうと言われ、ホープは出かける決心をする。)
記者1: 裁判官、その原稿とやらが存在しておらず、狂った老婆の言葉に翻弄されているとの説もあります。原稿の有無は確認されたのですか?
K: うわー、想像以上だ!
べったりくっついた頭のフケ
弁護士: 本当に頭がおかしいのか
それともおかしい振りをしているんですか!
K: おい、年はいくつだ
ホ: 放っておきな、やめるんだ
でも
町内ごとに1人必要なんだ
何が
頭のおかしい女。基準が必要なのさ
あいつらが正常だって言う基準
ホープ、僕たちにある唯一の人生は日常だ
日常を放棄するなら
人生もない。私のように。
それでなんだけど、
誰かの基準になるために自分の日常を放棄するなよ
お前に言われたくないね
なんだよ、僕のせいだっての?
裁判官:???
うるさい!!
裁判官: イスラエル図書館 事件ついて話してください なるべく短く
はい。本件は1924年に始まりました。
ですから原稿の作者、ヨゼフが始まりです。
(ヨゼフ: 彼らは開かれたドアの隙間からゆっくりと消えていき、私はドアまで埋もれるような雪の中に1人残り、残ったのは、それにもかかわらず、家に戻れるという希望…)
ヨゼフはチェコで生まれドイツ語で書いたユダヤ人
(君は生涯求めていた天賦の才能)
しかしながら、どこにも属せない異邦人でした
(守れなかった恋人との約束)
その頃まで彼を知る人は
(幸福になりたい人間の欲望)
ヨゼフの唯一の友人
(すべてを奪った 呪われた遺産)
当時最高の人気作家ベルトだけでした
ベルト: 出版するぞ
おめでとう、ベルト
俺じゃなくて君だ、ヨゼフ、君の最初の本
僕の文は全部ゴミだ
本屋にある本を全部集めても君の捨てたゴミに及ばない
本屋で一番売れてる本はお前のじゃないか
そうさ、だからこそ世の中には
君の本が 必要なんだよ
その本には名前がない 絶望の鏡であるだけ
与えられなかった全ては 本の名前だった
俺を信じろ、みんな熱狂するぞ
1度も読まれたことのない 埃の積もった1冊の本
絶望を生きて 希望を追い求めた
天才が残した
人生の記録
まだ未完成だったヨゼフの原稿を
ベルトは密かに出版します
これから誰もが夢中になるぞ
だから続きも早く書くんだ
みんなが知りたがって大騒ぎするかもしれないから
しかし、無名の、それもドイツ、チェコ、イスラエル、そのどこにも属せなかった異邦人作家の文章に関心を持つ人は誰もいないことを…
ベルト、僕が死んだら僕の文章は全部燃やしてくれ
お前の手で
…ベルトだけが知りませんでした
今度は必ず約束を守ってくれ
それはどういう…
読まれない本は 無い方がましだ
そんなわけないじゃないか
僕の文章 輝いていた僕の世界が消える
僕だから 僕が僕だから
そんなはずはない
君の文章 輝いていた君の世界が消える
俺のせいで 全部俺のせいで
そしてベルトは決心します 原稿を燃やそうと
お前のせいで
僕のせいで
俺を惑わせたお前のせいで!
ベルト/K: 死後に花開いた 絶望の文章
僕の中に刻まれた
人生の記録
全てを奪い
全てを飲み込む
僕(お前)の中に書かれた人生の記録
1度も読まれたことのない 埃の積もった1冊の本
絶望を生きて 希望を追い求めた
天才が(友が)残した人生の記録
これを燃やせるものか 輝いているじゃないか
僕にはまだ名前がない 絶望の鏡であるだけ
与えられなかった全ては 僕の名前だった