生つくねで有名な日本橋「江戸政」の閉店について | じきの食歴

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生つくねで有名な日本橋の「江戸政」が突然の閉店宣言をした。
発端はSNS上で生で出して大丈夫なのというものらしく、生の危険性についてや、店はちゃんとやってるし大丈夫だという擁護論等が交わされ炎上してしまった。
今回、炎上してしまったから閉店したというのは、間違いではないのだが、少々勘違いしている人が居るようだ。
店側のコメントとしては、
「自分が閉業を決意したのは、SNSで叩かれたからではありません。 叩かれて当たり前の時代に未だに生を出し、お騒がせしたことを深く受け止め自業自得の責任をとる。 と、いう事です。」
とある。
「江戸政で食中毒を出したら閉店する」と以前から決めていたが、このご時世、被害者が出たら止めるというのではなく、リスクを回避すべきだということに店主が気が付いたための閉店とのこと。
ネット上での誹謗中傷に嫌気がさして閉めるというのとは、ちょっと違う。
生つくねについては「品質や品温管理。正肉と内臓処理を分け消毒を徹底」していたそうで、食中毒発生の連絡を受けたことはなかったらしいが、「この先食中毒を出してしまったら、江戸政を閉店したとしても、その方が危険な状態になる可能性を何よりも一番に考えるべきだったと感じています」という気づきが、今回の根底にある。
今頃気づいたのかと言われる人も居るだろうけど、日々忙しく同じルーチンの中で仕事をしていると、存外そういうことに気づかないことが多い。
また、店主はこのようにも書いている。
「食の安全と飲食店への信頼を脅かす営業をしていた」
食中毒を発生させることが、自分の店だけではなく他の飲食店への迷惑にもつながることを危惧されている。
今回、店主はそのことに気づき、すぐに対応したというのは英断だと思う。
確かに、名店が閉店してしまうというのは寂しく喪失感がある。
でも、店主は、このようにも書いている。
「今後も時代を追う気は毛頭ありませんが時代に沿うことは大事だと勉強した」
「この伝統を次に繋げていくのが自分の使命です」
と。
今の業態でのお店は閉じられるようだが、違う形で、また飲食業界へと戻ってくれるのではないかと、そう期待させるようなコメントだ。
最後に、もう一つ、店主のコメントを引用しておきたい。
「江戸政が名店だったと言ってもらえるならば、それは味ではありません。お客さんの品の良さが名店の証で江戸政の自慢です」
お店のことを大切に思うなら、我々も品よくありたいと、そう思わずにはいられない。

店主のコメント
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