晩秋の候、庭の柿の実が日に日に色付く秋晴れの空。
近年、熊対策のひとつに「庭に果樹を植えない」というのがあるそうだが、柿の産地だからか或いは食糧難時代の名残なのか、うちの地域は庭に柿の木のある家が多い気がする。
したがってこの界隈では、柿は庭からもいで食べるもの、またはご近所からお裾分けを貰うものという位置付け。
今のところ熊被害の報告がないのは、山裾に広がる柿の放置畑がバリアの役割を果たしているからだろうか。
10月27日、6度目の抗がん剤治療を受けるため、スーツケースを転がして病院へ。
青年T先生によると、現在使っている3薬のうち2つは今回が使用回数の上限とのことで、とりあえず最初の区切りを迎えたような気分になる。
受付を済ませるとまずは採血。その後、前回指摘を受けた糖尿病内科を受診。
初対面の声の大きな内科医から、糖尿病の確定診断をいただく。
吐き気止めに含まれるステロイドが原因の、ステロイド型糖尿病の可能性が高いとのこと。
期待を込めて、
「それは投薬が終われば改善されるのですか」
と尋ねたところ、医師の返事は、
「改善されることもあるが改善されないこともある」
という曖昧なものだった。
糖尿病になれば、再発や転移のリスクが高まる。
病気を治すための治療が逆に危険度を高めているという現実に直面し、さすがに陰鬱な気持ちになった。
さらに今回の入院では血糖値の推移を調べるために、糖尿病患者向けの病院食が強制的に提供されるとのこと。
ただでさえ口腔内のトラブルで食べられるものが減っているというのに、苦手な病院食。加えて間食まで制限されて、一体オレは何を食べればいいのだろう。
病棟へ上がると、詰所は毎度お馴染みの面々でほっこり。
最近は自宅よりも圧倒的に病院で過ごす時間が多いせいか、思わず「ただいま」などと口走ってしまう。
当然、看護師さんの返事は「おかえりなさい」。
病室で荷物を所定の位置へ配置し、放心しているとかわいい薬剤師さん来室。
今回と今後の治療について説明を受ける。
結論から言うと、好中球が下限を突き抜けて危険ゾーンまで減少しているので、6度目の抗がん剤投与は中止の方向で検討されているそうだ。
青年Tにもそう進言したとのこと。
オレは自分の希望として、受けられる治療はフルセットで受けたい旨を伝えたが、薬剤師さんの見解は、
・中間検査の時点でキイトルーダが抜群の効果を見せているので、今後はキイトルーダ1剤による維持療法が可能。
・遺伝子検査で使える新薬の候補が他にも複数あがっている。
・キイトルーダ、新薬ともに骨髄にダメージを与える特性があるため、先を見据えた場合、今骨髄に負担をかけるのは得策でない。
とのことで、オレはしばらく時間をいただき再考。
納得するまで意見を交わしたうえで、その提案を受け入れることにした。
薬剤師さんからは、5回目の投薬まで辿り着ける人もそんなに多くはないので、けっして悲観する状況ではないこと。
また病理検査で、オレのがんでは珍しいHER2(ハーツー)という細胞が検出されたことから、治療の選択肢が大幅に広がっていることなど、前向きな言葉が次々飛び出して勇気づけられる。
そんなわけで、とりあえずここがオレの第1期抗がん剤治療の区切りということになるのだろうか。
医師の見込み以上に効果を発揮してくれた抗がん剤3勇士の開発者に、感謝の意を伝えておこう。
ありがとうございました。


