維持療法7回目。
ずっと低空飛行を続けていた腎機能の悪化が著しく、とうとう青年T医師より、当面の間抗がん剤は使えない旨を告げられる。
腎機能だけでなく、肝機能、その他諸々含めて全身状態がすこぶる良くないそうだ。
特に筋肉の炎症を示す数値が正常の15倍から20倍に達しており、総合的に見て横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)という筋肉が破壊される病気の疑いが強いとのこと。
午後は病院のベッドで昼寝でもして過ごすつもりだったのに、急転直下の事態。
オレはすかさず、
「それは対応策のある病気なのですか?」
と尋ねたが、T医師から明確な答えは得られず、
「循環器のN先生がご専門なので、N先生のご意見をうかがいましょう」
とだけ言われて、同じ階にある循環器内科へ移動する。
前回の日記で筋肉がけいれんしやすいと書いたのだが、実際はけいれんではなく現在進行形で壊れている状態だったということ。
このところ階段がきつかったり、咀嚼中すぐに顎が疲れたりしていた理由が分かった。
1時間ほど待たされて中へ入ると、循環器のベテランN医師がモニターを見ながら「う〜ん、う〜ん」と唸っている。
オレの血液検査の結果が端から端まで基準値外を示す赤色に染まっており笑えない状況であることは分かるが、診察室へは考えがまとまってから呼んでもらえないだろうか。
そんな姿を見せられると、いくら楽観的なオレでも不安な気持ちになる。
ようやく捻り出したN医師の見解は以下のとおり。
・免疫の異常により、自身の免疫システムが正常な細胞(筋肉)を攻撃する筋炎症(難病)と横紋筋融解症を併発している。これは免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダの副作用である可能性が大とのこと。
・がん治療との兼ね合いについては専門外であり、主治医と相談してほしい。
・全身状態の悪さは甲状腺ホルモンがほぼ出ていないことが主因と思われ、服薬で改善が望める。
最後にN医師から、
「動かないのはよくないが、動きすぎはもっとよくない」
と釘を刺される。
「心臓も筋肉ですよ!」
とのこと。
雑談的に週末、畑を耕したり草刈機で除草をしたりしたことを(ちょっと得意げに)話したからか、穏やかなN医師にしては珍しく強い語調で言われてしまった。
窓の向こうは小鳥囀る(さえずる)春うららだというのに、診察室は今、寒風吹きすさぶ極寒の状況。
これはオレのせいなのか?
その後、腎臓内科で超音波検査、さらにはCT検査など言われるがままに流され、疲弊してこの日の受診を終えた。
翌日の出勤後、A園長へことのあらましを報告する。
オレの話を聞いたA園長は、すぐさま様々な業務上の配慮を提案して下さり至極感謝。
だがオレは、ここにいる以上はがんだろうと筋炎だろうと通常通り働きたいと思っている。
敢えて病気を悪化させる必要はないが、出来ないことが増えた分は出来ることで補いたい。
だからセーフティロックが解除された銃を心臓へ押し当てられていても、笑顔を絶やさずに過ごしている。
もとより、腹なんぞとっくの昔に括っているのだ。
と、勇ましいことを言った後にはタケノコでも茹でましょう。
リアルタイム。4月18日(土)、午後4時半。
オレは裏庭で焚き火をしながら、掘ってきたばかりのタケノコを茹でています。