入院5日目、ようやく退院の朝を迎える。
今回は元々抗がん剤治療のための入院だったのだが、血液検査の数値が悪くて投薬中止。
主たる目的ががん治療ではなく、併発したステロイド糖尿病の血糖値観察になってしまっていた。
血糖値の観察というのは、1日4回指先に針を刺されて血液を採取。モバイル型の測定器で数値を調べ、基準値(250mg/dL)を上回っていればその場でインスリンを皮下注射というもの。
加えて、何を食べたか把握するための病院食も強制される。
ただオレは何度も書いてきたように病院食が苦手なため、毎食茶碗一杯のお粥を飲み込むのが精一杯。言わば常に空腹時血糖を測っているようなものなので、250を上回ることは1度も無かった。
日に4度針を刺されるだけでもまあまあストレスなのに、こんな測定、本当に意味があるのだろうか。
この素朴な疑問を看護師に問うてみたところ、看護師経由で糖尿病内科の医師から回答があった。
その内容は、
「それなら食事は自分で用意されてもよいが、その際は血糖値に関係なく毎食後インスリン注射を行う」
というもの。
何でそうなる。
基準値250はどこへ行った。
オレは看護師に、
「じゃあ病院食のまままでいいです」
と返答した。
医師の方針に意を唱える患者に対して、感情的になってしまったのだろうか。
この病院に通い始めて2年と1ヶ月、初めて医師に対して疑念が生じる。
ただオレは糖尿病初心者なので、糖尿病治療とは原則的にそういうものだという可能性もある。
いずれにしても納得がいかない部分は、来週の診察時に直接尋ねてみることにしよう。
明け方、退院の是非を占う朝の血液検査に備えて、隠し持っていたナトリウムとカリウム粉末を服用。
懲りずにエセドーピングを断行する。
結果は、血糖値安定、ナトリウム値正常範囲内に改善、カリウム値正常範囲内に改善、好中球数正常範囲内に改善ということで、見事にドーピングが成功してしまった。
10時半、妻に迎えに来てもらい揚々と退院。
入院中にまたもや体重が4kgも落ちたので、34インチのLevi‘sがやたらとオーバーサイズに思えた。
体力的には少し体重を戻しておいた方が良いような気もするが、体型的には今の方が健康的な気もする。
今後はどんぶりにご飯をよそうようなことは控えて、栄養バランスを考えながら粛々と食事を摂るよう心がけよう。
昼食はお馴染みの老舗うどん店「まねき」で、きつねうどんを食す。本当はカツ丼も頼みたかったのだが、食べ切れる自信がなくて自重した。
うどんを注文する際、元気な頃のくせでつい「大盛り」などと口走ってしまったが、残すことなく無事食べ終えることができて安堵。
それどころかこの1杯のうどんが引き金となり、その後食欲が爆発。
栄養バランスとはおよそ無縁のマクドナルドへ直行し、普段は滅多に食べないビックマック、ポテトフライ、コーラなどを流し込む。
5日間お粥以外のものを食べていなかったので、体が油分やタンパク質を欲していたのだろうか。
夕飯には30cm超えのツバス(ブリの幼魚)の塩焼きを2尾も食べ、家族も自分も驚く1日となった。
実はこのところずっと抗がん剤による味覚異常に悩まされていて、それで食事が摂れないのかと思っていたが、こうなるとやはり病院食アレルギーで食べられなかった公算が大きい。
体調を整えるための入院で、食事が摂れず痩せ細ってしまっては本末転倒なので、何とか対策を考える必要がありそうだ。
