娘の雛人形を出す。

若い頃は「面倒くさいなあ」という気持ちが強かったが、歳をとるにつれ四季の移ろいとか伝統行事といったものに価値を感じるようになり、率先して出し入れするようになった。

防虫剤入りの薄紙を外しながら人形を雛壇に並べていると、通りがかりの人たちから、
「あんたの家は精勤に飾って感心だ」
とか、
「毎年見せてもらうのを楽しみにしている」
などと声をかけられる。

来年は娘も成人式なので「そろそろ潮時かなぁ...」と思っていたが、なんだか止めづらくなってしまった。


ひな祭りといえば、同僚のU先生によると童謡の“うれしいひなまつり”の歌詞は間違っているとのこと。


♪おだいりさ〜まと おひなさま〜

という歌詞の“内裏(だいり)”とは男雛と女雛のひと揃いを指しており、その後に続く“お雛様”も同様なので、この1小節を現代風に直すと、

♪ご夫婦様とご夫妻様〜

といった感じで、2組のカップルがすまし顔で並んでいることになるのだそうだ。


さすがは、何でも丸飲みにしないU先生らしい気付き。

オレは30年以上も保育園でこの歌を歌いながら、疑問に思ったことは1度もなかったというのに。

彼女には学ぶことが本当に多い。



午後、散髪へ行く。


髪を切るのは、科学療法による抜け毛が始まって丸坊主にした昨年の7月以来なので、8ヶ月ぶりのこと。


まだうっとおしいと思うほど生え揃ってはいないが、全体がアンバランスに伸びてきたのと今週末に卒園式が控えているのとで行く気になった。

が、これが失敗。

正面、斜め、横、後ろと様々なアングルで撮ったショートヘアのモデル画像をスマホで提示したにもかかわらず、チラと見て、

「あ、短めね」

とだけ言ったおっさん理容師が、トラック野郎のような角刈りにしてしまった。


馴染みの美容師さんに病気を知られたくなくて他店で切ってもらったのだが、やはりいつものお店に行くべきだったか。

だが、田舎の理髪店や美容室は最強の情報屋なので、行くからには相応の覚悟が必要。


噂が広まる方を取るか、甘んじて角刈りを受け入れるか、究極の2択。



夜は友人S君とLINEでカメラ談義。

ペンタ使いのS君はPENTAXの将来性に疑念を抱き、今まで使用していた機材を全て売り払ってSONYかNikonへの乗り換えを検討しているとのこと。


アドバイスを求められたオレは、

「何を買っても正解だと思うぞ」

と答えた。

カメラに限らず、人間は選ばなかった方に未練を残す生き物なので、2択で迷った場合「どちらを選んでも結果は同じ」というのがオレの持論。

結果が同じなのだから、どちらを選んでも間違いではないのだ。



ただ唯一、

学生時代にA子とB子で迷ったときだけは…、



いや、よそう。