転移発覚以降、検査検査で注射三昧の日々。

時々「針を刺されるのが気持ちいい」なんて言う人がいるのだが、あれはどういう心境なのだろうか。
痛みを気持ちよく感じるタイプの人?
まさか鍼灸と勘違いしている?
オレなど採血があると思うだけで、病院へ行くのが憂鬱になっているというのに。


先日は肝臓に映った怪しい影を調べるために、MRIと胃カメラの検査を受けた。
エコーの後、内科医から「ついでに胃カメラもやっておこう。やっておいた方がいいから」と唐突に言われて不穏な空気を感じていたのだが、結果は胃、肝臓とも「今のところ積極的に転移を疑うものではない」ということで違うらしかった。
胃が少し荒れているとのこと。
「荒れている」と聞いて「良かった」と思ってしまった。

とりあえず今のところ、問題は肺だけで起こっているということだ。
それが分かっただけでも良しとしよう。


火曜日はがんゲノム医療の診察で別の総合病院を受診。「オーダーしてもすぐには診てもらえない」と聞いていたのに予定よりずっと早く呼び出しがあったのは、大学病院へ戻っていった青年K医師の置き土産なのか。

ゲノム医療とは、ざっくり言うと遺伝子解析を行い、数ある抗がん剤の中からより効果のある薬を効率的にピックアップしていく医療のこと。

最初に説明をして下さったドクターから、効果のある薬とのマッチング率は平均1割程度と聞いてかなり厳しい話だと落胆したが、その後より詳細な説明を下さった別の医師から、「全てのがんにおいての平均値は1割程度だが、部位ごとに見ればあなたの場合、5割近い期待値のある薬もある」と言われ光明が差した気がした。

1/2なら賭けてみる価値はあるだろう。
もとより1/10でも1/20でも、オレにはベットする以外の選択肢は無いのだから。

その後は治療費のお話。
家族の病歴のお話。
今後のスケジュールのお話など。

帰りしな、茶封筒に入ったオレの腫瘍サンプル入りプレパラートを医師から手渡される。
オレの主治医へ返却してほしいとのこと。
先日のCD-Rといい、こういうのは患者本人が手運びするものなんだな。この界隈では。

覗き見したい衝動に駆られたが、それよりも気持ち悪さというか恐怖心が勝って断念してしまった。


夜、オレの右腕に貼られたステプティ(点滴や採血の後に貼る四角い絆創膏)に父親が気付き、「健診だったんか?」と尋ねてきた。

何度も書いてきたように、オレは病気のことを一切父親に伝えていない。
発病時に上司だったS園長からは「お父さんには正直に話した方がいい」と常々言われていたのだが、再発しなければいいだけのことと自分を言いくるめ、ここまで隠し通してきたのだ。

だが、今後はそうはいかないだろう。

オレは言葉を選びながら、一昨年に行った手術の予後が良くなくて治療を再開しなければならなくなったこと、まずは明後日から3日間入院して治療を行うための準備をすることなどを淡々と伝えた。

目を閉じて話を聞いていた父は、大きくうなづき、
「はい、分かった〜。まぁ、大事にしろ」
とだけ答えてあっさり承諾。

根掘り葉掘り聞かれたり激しく落ち込まれたりしたら嫌だなと思っていたので、すんなり受け入れてくれてよかったと思う反面、あっさりし過ぎて逆に拍子抜けしてしまったのだが、テーブルの上を見てその理由が分かった。


ビール大瓶プラス350ml缶。

なるほどね。


近くの運動公園でコウノトリが子育て中。

AI AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6D ED

という18年前のレンズで手持ち撮影してきたよ。