早朝6時。
ゴソゴソと布団から起き出し、台所へ向かう。

一番小さな片手鍋を火にかけ、炊飯器の中のご飯をひと混ぜ。
お湯が沸いたら、ブロッコリー、ウィンナー、たまごを順番に茹でていく。

ご飯は一旦ボウルに取り、のりたまふりかけと合わせて、ふりかけご飯にする。

次にフライパンを取り出して、細切りにしたピーマンを炒める。味付けは塩胡椒のみ。

最後に揚げもの。今日は冷凍のかぼちゃコロッケ2枚を揚げた。


そうして出来上がった弁当がこちら。


この台所にあるものを詰め込んだだけの何のギミックもない親父飯を三男は満面の笑みで受け取り、仕事へ出かけて行く。

それを見送るのが、最近の朝の楽しみ。



さあ、活動を開始しよう。

2回目の抗がん剤治療で午後には入院しなくてはならないため、残された時間は僅かだ。


急いで着替え、家の近くの桃畑に行く。


ここは桃の他に、みかん、金柑、レモン、りんごなどの果樹を雑多に植えた果樹畑。


以前はポンカンやネーブルなどの柑橘をもっと植えていたのだが、近接する花同士が交配して全ての柑橘類の悪いところ(皮が固い、包丁使わないと剥けない、タネが異様に多い、甘くない)を凝縮したハイブリッドな新品種「金ポンネーモン」が誕生してしまったので、メンバーの入れ替えを行なった。



桃は、清水白桃(岡山)とあかつき(福島)の2品種を1本ずつ植えている。


敢えて品種を分けているのは、味比べという訳ではなく白桃が自己受粉しにくいため。


意外に思われるかも知れないが、交配樹として別品種を使うのは果樹の世界では結構普通のお話で、ウチの二十世紀梨には長十郎という赤梨の花粉を使っている。


5月の中旬に袋掛けをした桃は今まさに収穫期を迎えており、本来なら1日2回は見回りをしたいところだ。

落果もそれなりにあるが、落ちた桃は完熟したものが多いので、もったいない精神が発動し、回収している(放置すると1日で虫たちのご馳走)。


オレの不在中は父親が見回ってくれるのだろうか。

おそらく多くが放置されてしまうんだろうな。

まあ、持ち帰っても皆、少々飽きがきていて放置されてしまいがちなんだけど。


本当は桃大好きのS園長やお世話になっているA園長にも届けてあげたいと思っていた。

入院が本当に残念。



その後、スイカ畑を巡回。


遠目に見ても持ち帰れそうなヤツが数玉あるが、今日はもう体力的にも時間的にも限界なので、軽トラックの運転席から横目で流して通り過ぎる。


家の中にも大玉が5〜6個転がっている状態なので、家族の中で一番スイカを喜んで食べているオレが不在となるとこの子たちもどうなることやら。


ご近所さんにお裾分けするという手もあるのだが、田舎特有の気の遣い合いでお菓子や野菜などの返礼品が返ってきてしまうので、最近は控えるようになってしまった。


まぁもう、なるようにしかならない。

最近得意の、勝手にしやがれだ。



帰宅して休む間もなく入院の準備を始める。


もう通算4度目の入院なので不要なものはバッサバッサと切り捨て、短時間でコンパクトにパッキング出来るスキルが身についた。別に喜んではいないけれど。


オレの病気を知る数少ない友人から御守りの鈴(お賽銭も奮発して下さったとのこと)、別の友人からは励ましと応援のメッセージが届き至極感謝。


また出発の際には父から、

「休憩時間だと思って、ゆっくりして来い。家のことは心配するな」

と声をかけられた。


オレは、

「はい分かった。ゆっくりしてくるよー」

と明るく返すのが精一杯。



父上様、親不孝をお許し下さい。