9月8日、午前1時50分。

ゴソゴソと布団から抜け出し、防湿庫の扉を開ける。


現在のメイン機、SONYのα7Ⅲに24-105mmの標準ズームを装着。

写り具合を比較するため、NikonのD750も持ち出した。レンズは24-120mmを常時付けっぱなし。


天体観測が趣味という訳ではないのだが、朝から晩まで「皆既月食、皆既月食」とTVもネットも大騒ぎなので、オレものぼせてカメラを抱え、真夜中の月食撮影会に臨む。


午前2時、撮影スポットに到着。

空を見上げると既に部分月食が始まっている。


もしかしてイカ釣り師匠のSちゃんが、愛機のNikon P1000を携えてどこかにいるのではと周囲を見回すが、人影は無し。

電話で呼び出してやろうかとも思ったが、今日が平日であることを思い出し流石に踏み止まった。


毎日休みなのはオレだけだった。


ちなみにSちゃん所有のP1000というカメラは、一応コンパクトデジカメというカテゴリーに属するものの、実際はバズーカ砲のような巨筒を備えた凶暴な機体。

望遠側3000mmで月を写せば、クレーターまで写し込む。


ただしそこまでズームすると、ピントを合わせているうちに月が動いてフレームアウトしてしまうので、実際は月の軌道を予測して、狙った位置に入ってきた瞬間にシャッターを切るようなテクニックが必要だ。


月の公転速度を体感したい人は是非。

現在発売中の後継機P1100は、人気すぎてなかなか買えないけれど。



さて、今回は先にアングルを決め、カメラを固定してから諸々の設定をする。

シャッターボタンは指で押すと微妙にカメラが動く可能性があるため、セルフタイマーを使用。

これでレリーズ時に手ブレを起こす恐れが無くなる。

フォーカスはレンズの切り替えスイッチをMにして、ひとまず♾️(無限遠)に。


実は夜空を撮影した経験がほとんど無いので、一つひとつの作業が手探りで楽しい。


撮影モードをM(マニュアル)に合わせ、F値を最小(このレンズはF4)、SS(シャッタースピード)は長過ぎると星が動きそうなので、とりあえず15秒に設定して最初の1枚を撮影した。



うーむ。

プレビューを見ると、広角側で撮ったからか月が小さい。

やっぱり望遠レンズを持ってくるべきだったか。


カメラをα7ⅢからD750に交換する。


同じ設定でカメラによる写り具合の差を確かめようとするが、久しぶり過ぎてMモードでSSを変更する方法を忘れ悪戦苦闘。

さらにモタモタしている間に厚い雲の塊が流れてきて、月も星も完全に隠されてしまった。


やむなく待ちに入るが、一向に雲が途切れる気配はなく時間だけが過ぎ去っていく。

唯一、F値やSSを変えながら写り具合の違いを研究していた3時20分頃、雲の切れ間から赤銅色の月が一瞬顔を出し、即座にシャッターを切った。


この時の設定はF10、SS15秒、ISO6400。

絞っているので街灯の光条が太陽のように主張して、明らかに主役より目立っている。


まあお試し中の1枚なので出来栄え云々は言わずもがな。

ただ、その後は皆既月食が終了する午前3時53分まで曇り空は晴れず、結果的にこの日最初で最後のシャッターチャンスとなった。



頭に描いていたような写真は撮れなかったが、月景写真、星景写真の面白さに気付けたことは大きな収穫。

先日娘と行った殿ダム周辺は、大掛かりな星空撮影イベントも開かれるような有名撮影スポットなので、いつか出張してみるのもいいかも知れない。


新しい楽しみが出来て気分よく撤収準備をしていると、ポツポツと雨が降り出す。


オレは両肩にカメラをたすき掛けし、尻の下に敷いていた新聞紙をグシャっと握ると、小走りで家路を急いだ。



翌日は山へ栗拾いに行く。


10分もあれば3〜40個は簡単に入手可能。

単純作業を無心で続けられる性格なので、皮剥きも苦でなし。