昨日の海の日(月)は、息子と二人で、伊丹に新たに出店された拉麺店「丸源ラーメン」へ行つて参りました。
私が30年ほど昔、大阪市福島区の手打ち饂飩専門店で店長をつとめてゐたことは、以前話しましたね。その店も開業は真夏の8月でした。羹(あつもの/熱い汁物)の店を開業致す場合には、必ず夏の暑い時期にオープンするといふ常道があるらしいです。夏の暑い盛りに、オープンの勢ひを全開すると、気にいつてくれたお客様は、呼びかけずとも秋冬の涼しい時には必ず足を運んでくれるのださうです。商人の知恵ですね。
正午過ぎに駐車場に入り、待ち時間は覚悟致しをりましたが、もともとこの店の有る場所は以前ロイヤルホストだつたので、立地が広うございます。家族連れはボックス席を希望しますが、私どもは二人ゆへカウンター席を希望した処、すぐに席に坐ることが出来ました。
案内されたカウンター席は、テーブルの奥行きが深く、しかも、隣席とのスペースも広く取つてあるため、小さな店にありがちな窮屈感が全くありません。
5月にレポートしました「塩元帥」もさうですが、満員にも拘はらづ「ゆつたり」感を味はふことが出来る、隣席との距離感を持たせる店は、現代人のニーズにしつかり叶つてゐると言へるでせう。
二人とも「肉そば」と「鉄板玉子炒飯」を食しました。拉麺は基本醤油味ですが、恐らく相当な手間暇をかけて出汁をとつてゐるであらう、深いコクがございます。豚しゃぶに使ふやうな薄切りの豚肉に、白ネギ青ネギがいづれもたつぷりと乗せてございます。このこつてりした拉麺に、紅葉おろしらしき「大根おろし」が添へてあるのですが、これがあつさり感を出してくれます。後で調べるとこれは「柚子胡椒おろし」だつた事が判りました。
さてそこへ、火から降ろしたばかりの鉄板が置かれますと、その中央部分に熱々の炒飯が乗つてをります。注目してをりますと店員さんが、もう片方の手に提げた「とき玉子」を飯の周囲の空いた処へなみなみとかけてくれます。ジュッといふ音と共に、見る見るうちに円形の卵焼きが出来上がります。(写真下)
これは素晴らしい… とスマホのカメラを向けて撮影してをりますと、隣席の息子が申しますには「父さん、早く混ぜないと玉子が焦げ付くよ!」
その通りです。鉄板には余計な油をひいてをりませぬゆへ、黒焦げになる前に、焼けつつある玉子を炒飯に混ぜ込む必要がございます。さながら「石焼ピビンバ」を思はせるやうに、おこげが出来るほど熱い炒飯の出来上がりです。カウンター奥には「どろだれラー油」が置いてあり、通常は餃子に使用するのでせうが、私はこれを炒飯に混ぜ込みまして、辛いもの好きな私向きの「激辛炒飯」の出来上がりでございます。
感心致しますのは、値段の方が実にリーズナブルであることです。普通、専門店ですと拉麺は750円~850円くらひですが、この肉そばは650円。それに、豪華な鉄板玉子炒飯は380円といふ安さです。
さらに驚くのは、平日昼間であれば、この日私共が食した2品がセットになって(但し炒飯は小)880円で頂くことが出来ます。ネットを見ると、そこへ「炒飯増量無料」と書かれてあるのは、何かの間違ひではと存じます(それでは炒飯小と書いた意味が無い)… まあ、難しいことは別にしても、今時この値段は驚異的と言ふことができるでせう。
伊丹市民を代表致しまして(誰が頼んだ?)「丸源ラーメン伊丹店」大歓迎でございますが、この店舗が存する大鹿交差点は伊丹市内有数の渋滞エリアです。この日も交差点の渋滞状況は相当なもので、其処へこの大人気店が出店した訳でございます。今後、近隣や交通のトラブルが発生しなければ良いが… といふのが、新店舗の唯一の悩みとなるかもしれません。