先日の日曜日は、息子と二人で、評判の拉麺店「塩元帥」(本店尼崎店)へ行つて参りました。
午後1時半に駐車場に入りましたが満席で、それから待つこと12組で50分間。
二人ともフルセット(拉麺・餃子・炒飯)¥1,410 を食しました。拉麺は柚子風味で、かなり「あつさり系」でございます。
日頃はカレーでも拉麺でも「激辛大好き」を自他共に任じてをります私でございます。しかし齢60を過ぎ、そろそろ健康志向に切り替へるべしとの周囲の忠告がちらほらと聞こゑて参ります。そこで今後は二回に一回は、油ギトギトまたは激辛。あとの一回は、今回のやうにあつさり系に切り替えることも辞すまいと決意しました。
最初、柚子の香りのするスープで喉を潤したあと、炒飯はなかなかの美味でございました。もう少し通つてみて、何とかこの炒飯の味を家庭で出してみたいものだといふ感想を抱きました。
外で待つ間、これはさぞかし店内はごつた返し、大声が飛び交ふものと想像致しをりましたが、それは杞憂でした。長いテーブルに私と息子が二人、席はゆつたりです。
厨房が5人に、ホールが5人(うち4人が女性)の店員も、礼儀正しく顔に余裕があり、いかにも職場を楽しんでゐるやうで、好感が持てます。通路を広く取るのも理に叶つてをります。つらつらと考ゑまするに、店員が目を血走らせて余裕の無い店は、例へ少々味は良くても、客の方で気遣はしく感じてしまひ、次回また来ようといふ気が失せてしまふ場合が多うございます。その意味でも、この「塩元帥」はリピーター志向を満たすものを感じました。
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さて、話は変はります。1991年ですからもう30年近く昔、アメリカ軍がフセインのイラクを急襲する「第一次湾岸戦争」が勃発しました。
その攻撃の日、私の知人で、神戸三ノ宮にて「第○旭」といふ拉麺店を経営する人が、なんと自分の店内に「戦争反対」「米軍は侵略者だ」「日本参戦反対」… などと書いた手製ポスターを張り巡らせるといふ挙に出たことがあります。
自分の店でやることですゆへ、別に放つてをけばよいものを、偶々その日にこの店へ「T会」の街宣車を乗りつけて食事をしに来た戦闘服の面々が「何じゃこれは」「汚いポスター剥がさんかい」とどやしつけたのです。
店主はビビつたのか、友人を介して「あの人ら、どうしたらええ?」と何故か私に相談をもちかけて来たのです。別に私はT会の人を直接知る訳ではないので、「もし店の営業を妨害するやうな行為があれば警察に言へば宜しい」と申すに留めました。
翌日、私が三ノ宮の「第○旭」に参りますと、確かに黒マジックで「反戦」「平和」などと汚い字で書いた落書きのやうなポスターが店内のあちこちに貼られてゐました。店主の意見は判らぬではないが「これでは、一般のお客さんが入りづらいですね。整然とした表現が出来ないなら剥がした方が良いでせう」と、私なりのアドバイスを試みました。
すると、店主は憤然として「私の意見は止められない。ポスターは剥がしません」と答ゑるのでした。昨日まではビビつてしまつて、相談を持ちかけてきた人の態度とは思へませんでした。「ならば、好きにしなさい」と私は言つて帰りましたが、後日譚によると、その頃から地元民商の応援を受けてゐたといふ話を耳にしました。
経営者たる者、己の言動には責任を負ふべきですが、職場の者の意見を聞いてみるべきだと感ずる一日でございました。