コンビニストアが泣いてゐる | 還暦を過ぎたトリトンのブログ

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団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 食事の後の「ごちそうさま」といふ言葉を何気なく私どもは使つてをりますね。

 これはとりも直さず「馳走(ちそう)」…つまり走り回つてくださつた人々や、食材そのものに対する感謝やねぎらひを表はす言葉かと存じます。今から頂かむとしてゐるこの料理、たとへば「焼き魚」だとしますと、この魚を海で捕まゑてくれた漁師さん、それを陸に上げてから流通に携はつてくれた人々は勿論のこと、魚自身の命、魚を生んだ自然の力、それを自分が口に入れることができる今日の境遇への感謝まで、すべて含めて、自分といふ人間だけではなし得ぬ、言はば「神」への感謝に繋がるのだと存じます。

 

 私が食事を終へて「ごちそうさま」と言ふと、よく母(87歳)が「お粗末さま」と言葉を返してくれるのですが、申し上げましたやうに私は食に関して母にだけ感謝してゐるわけではないので、少々違和感を覚ゑるのであります。

 まあ~、固いことは言はずとも、食事は美味い不味いに拘はりなく、無駄なく残さず食するのが人間の責務…と言つて差し支ゑないと存じます。

 

 さて、人は不便を実感しないまま成長しますと、上述のやうな感謝の気持ちを忘れ、堕落に走りがちです。

 

 

 「便利」を英語で「コンビニエンス」と申します。コンビニエンスストアがモンスタークレーマーの標的にされる事件が続発するのは、将に象徴的だと思ひます。抑々クレーマーを作り出した背景はネット社会に因るものが大きいと考えますが、コンビニストアの行き過ぎた24時間サービス、過剰にへりくだつたクレーム対応などは、疑ひなくモンスタークレーマーを助長、増加させると考えるからです。

 

 海外のビデオを見てをりますと、コンビニストアの店員は結構横柄ですね。仮にパンに虫が入つてたとしても、店員は絶対に謝りません。パンを取り替へるだけです。パンを作つたのは店員ではないからです。

 

 我が国のサービス業、ホテルや店舗は大小問わず概してサービスも良く、クレーム対応も行き届いてゐる事は誇らしいですが、過ぎたるは及ばざるが如し。私が知る限りコンビニストアの経営者、従業員の多くが泣いてをります。

 

 

 そこには親会社による苛斂誅求もあるやうです。例へば優秀な月間売上を遂げた店舗がありますと、親会社はその至近距離に、もう一軒開店をさせるさうです。元の店は当然売上を減らしますが、二つの店を併せると一店舗の時より売上が増ゑます。親会社はホクホクですが、店の方はたまつたものではありません。自由経済とはさういふものだ…と言はれればそれまでやも知れませぬが、そのくせ「クレーム処理」は各店に一任されてゐるといふ話を耳にすると、大資本の横暴を感ずるのは私独りではありますまい。敢えて伝法な言ひ方をすると「シノギしとるんならモリしたれや!」(上前をはねるのなら守つてやりなさい)といふことです。

 

 このままでは、コンビニエンスストア業界は、「売り手よし、買ひ手よし、世間良し」といふ初志とは裏腹に「売り手貧し、買ひ手悪し、世間(環境)さらに悪し」になつてしまふやうな気がしてなりません。

 

 すぐ身の周りで気付いた所感ですが、皆様は如何お感じになられますでせうか。