耕一の、声に一同はしばし沈黙が続いた・・・
須藤「中澤さん、ここでチームの多数決をとる必要は無いと思うよ・・・リーダーは、あんただし、今後の継続についてどう判断するか?それは、一人一人の飼ってでもいいと思う・・・」
増田「そうやわ。今の時点での判断や意志は、誰も何も強制も拘束もできないやろうし・・・」
耕一「分かった。皆さんが同じ理解であれば、そのように進めます。とりあえず、私としては、H社の仕事の継続を狙っていきます。その際に、改めてご一緒できる方がいるのであれば、再度、契約書を交わしましょう。本日はこれで散会とします。」
数日後・・・
耕一は、KPMGの人間と面会した。
KPMGからは、2名出てきた。
KPMG-1「これは中澤さん、お元気でしたか?」
耕一「はい、おかげさまで・・・御社はその後いかがですか?・・・」
KPMG-2「いや、それが大変なんです。仕事量は増えるのですが・・・残業代も出ませんし、殆どボランティアみたいです。おまけに、医療法人の殆どは、負債を抱える赤字経営ですから・・・建て直し策も、尽きちゃってる場合が多くて・・・」
耕一「そうですか・・・本日は、当方で現在まとめている『電子カルテ市場』について、ご意見を賜りたく、見ていただきたいのですが・・・」
KPMG-1「ほう、それは面白そうですね。今、経営が苦しいのに、行政機関の指導で『電子カルテ』の導入を進めなければならないのが現状です。非常に厳しい市場環境です・・・」
耕一「はい、その通りのようです。我々は、『電子カルテ』を販売する立場から見ていますので、ある意味楽観的かもしれませんが、予想以上に、障壁が多いようですね。特に、日本医師会の存在は、よくも悪くも、大変厄介な存在ですね。要は、厚生労働省を通じて、組織票たる裏側を医師会が握っている。更には、臨床薬も製薬メーカー主導でなく、医師主導である為に、日本医師会そのものが、予想以上の力を持っているようです。」
KPMG-2「そうです。医師会に逆らえないので一般の医療免許保持者も、決まりきった事しかしない。治療レベルも下がりはしないが、上がったり発展はしない。加えて、学閥系の大規模病院は、更に官僚的ですよ。とにかく『教授』の力が全てですから・・・」
耕一「なるほどね・・・今の医療機関の制度にも問題があるのは、分かりました。それ以上に、『電子カルテ』の普及に関して一番のポイントは、設備投資回収ですよね?いわゆるこのシステムそのものへの医療報酬(ポイント)は、何も無いのですよね?強いて言えば、電子データでの医療報酬事務処理をした場合、若干、有利だと言う事・・・・」
KPMG-1「そうなんです。よってこの電子化の動きへは、分かっていても乗れない医療現場が大半です。・・・」
耕一「もし、乗れなかった場合は?・・・」
KPMG-1「その場合は、医療法人の存続に関わる場合もありますね・・・昔、地元の診療所や、行きつけのお医者さんってありましたけど・・・今、段々減ってますから・・・」
耕一は、話をしているうちに、暗く重たい気持ちになってきた。
本来、この仕事はもっと未来予想図的に希望が持てる方向にしたかったのだが・・・現実は、何とも・・・・
耕一は、持参した資料の裏打ちを確かめる事が出来て、H社への提出を進めることとした。