何ども読んでいる本ですが、日本帰国中に再度読み直したところ
以前に増して腹落ちする部分があったのでまとめます。
著者の冨山さんは東大→BCG→起業(コンサル系)という一見エリート街道
まっしぐらの方ですが、主張していることは「泥臭く、粘り強くやれ!」
これに尽きます。ロジカルな思考や生産性をあげるためのテクニックが
書かれているわけではありません。
どんなにきれいな計画書、提案書を作成しても人間と人間が仕事で関わり合う以上
ロジック(理)だけでは突破できない衝動(情)があります。
理と情をどうバランスを取るか。これは非常に難しい部分です。
情が絡んでくる場合、時には相手の人生に大きな影響与えかねない非常に切迫した
状況になるときもあります。
ここで、理だけをただ優先することで組織が死ぬこともあるのです。
数々の組織再生を経験してきた冨山さんだからこそ妙に生々しさがあり
「きれいごとではなく、極めて泥臭くやらなければならない」という
フレーズが刺さります。
私も現在プロジェクトをマネージャーとして回していますが
机上で描いた計画書がスムーズに実行されることはまずありません。
スタッフ(部下)と激しく意見を交わしながら、時には大きく予定(方向性)を変更して
試行錯誤しながら、進んでいくのです。(後退することもある)
周囲からの異様な圧力(プレッシャー)、やることが山積みの現状、スタッフの
マネジメントの難しさ、など毎日頭がパンクしそうになり、倒れそうになることも
(本当に)ありますが、キツイ時ほど「冷静な決断ができる」胆力が
必要なのです。単純に体力があるとかいう話ではなく(体力も必要ですが)
思考の持久力、タフさ、追い詰められたときに決断できる強さ、を持つ人だけが
事業を成功させることができるのだと。
タイトルの指一本の執念が勝負を決めるとは、最後の最後にキツイ場面でどれだけ
やり切れるかが重要なポイントだということです。
気迫、情熱、実行力。こうしたものを常に持ち続けられる人が勝利を得るのです。
こう書くと、凄い根性論のように聞こえるかもしれませんが
決して「ただやれ!」と叫んでいるのではありません。
ロジカルな考え方は前提として持っておくべきです。
ただ、理屈屋ではなく既存の考えや自分自身を柔軟変え、実行していく中で
変化できる(変化させられる)人がバリューを生むと私は本書を読んで感じました。
なにか行き詰まっている人、組織を引っ張る人(特に若いマネージャー)などに
お薦めです。
指一本の執念が勝負を決める/冨山 和彦
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