NHK不適切発言の中国人の現在 | 周来友 オフィシャルブログ

周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
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中国で最近よく目にするようになった「愛国飯」というネットスラング。これは、愛国ビジネスを収入源とする動画配信者などを揶揄する意味の中国語です。



日本でも大きく報じられた靖国神社への落書き事件や、先日中国北京市の円明園公園で起こった日本人観光客への嫌がらせはこうした愛国ビジネスの典型と言えます。こうした様子を動画に投稿し、愛国心を煽りアクセス数を稼ぎ広告収入を得るという手口が流行しているのです。

日本を標的にした愛国配信者の多くは、日中間で課題となっている歴史問題や領土問題を利用し、中国国内の愛国心を煽りアクセス数を稼ぐという手口で、他にも中国人の有名俳優やアスリートがiPhoneを使用しているということを口実に、これを非愛国的だと誹謗中傷しアクセスを稼ぐ者も少なくありません。

今回、NHK国際ラジオ放送で中国人スタッフが、尖閣諸島は「中国の領土」「南京大虐殺を忘れるな」などと発言した問題ですが、この元スタッフは中国に帰国後、ウェイボ(中国版X)を開設し、自身の発言の正当性について持論を展開し、さらに自身をユダヤ人、日本をヒトラー政権に例えるなど、愛国系インフルエンサーへの道を歩み始めています。

一方で、こうした愛国ビジネスの流行もすでに中国では下火となりつつあります。中国外交部は愛国系配信者の行為について、「中国は特定の国家に対して差別的な言動をしない」と釘を刺す発言をしたこともあり、中国のSNSからは過激な愛国系配信者のアカウントが次々と凍結される事態となっています。また、NHKで不適切発言を行なった人物のSNSについても、「イイね」が現時点で370、リツイートも11回と影響力の低下が顕著となっています。