反日言論の取り締まり強化 背景に周辺国との外交不安定要素? | 周来友 オフィシャルブログ

周来友 オフィシャルブログ

中国出身のジャーナリスト、タレント。
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靖国神社への落書き事件で、警視庁は中国籍の姜卓君容疑者(29)を器物損壊などの疑いで逮捕したことを報じています。実行役の董光明容疑者および撮影役の許来玉容疑者はすでに中国に帰国し、警視庁は逮捕状を取り指名手配しています。


今回の事件発生後、中国蘇州市では日本人母子が刃物を持った中国人男性に襲われ、これを阻止しようとした中国人女性が刺殺される事件も発生しています。当然ながら、日本国内では中国や中国人に対する嫌悪感の声も高まっており、国民レベルで日中関係が悪化していることが分かります。




こうした中、香港メディア・東網(7月9日)は中国国内のSNSでは、反日主義を煽ったり極端な民族主義を煽る行為をするアカウントを次々と凍結していることを報じています。


1000万人以上のフォロワーを集める「一個人莎士比亞(1人のシェイクスピア)」という動画配信者もその1人で、これまでに凍結されたアカウントの中で最も多いフォロワーを集めていた人物です。この人物はこれまでに「我々の世代で必ず日本に償いをさせなければならない」などと主張する動画を頻繁に投稿し、反日主義を煽り続けていたのです。


これまでこうした反日言論を黙認し、時にはこうした言論を国民の声だとしてきた中国で、急に反日言論の取り締まりを行った背景には何があるのでしょうか。中国としては今年11月に行われる米大統領選で、トランプ大統領が当選した場合、中国に対し更に厳しい経済制裁を課すのではないかという警戒心が高まっていること、またこれまで中国が大きな影響力を持ってきた北朝鮮がロシアと接近することで、朝鮮半島での中国の影響力が低下する可能性があること、中国を差し置いて北朝鮮と接触するロシアへの不満など、不安定要素が重なり、日本との関係を重視する外交路線に切り替えた可能性が予想されます。