フォロワー4000万人の中国のヤラセ動画配信者 警察の捜査対象に | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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アクセス数やインプ稼ぎのために横行する動画配信におけるヤラセ行為。中国でもヤラセ動画が横行しています。こうしたヤラセ動画を巡り、中国の警察当局は悪質な場合、摘発の対象となることを発表し今回、人気動画配信者が処罰されることになりました。

中国杭州市公安局(4月12日)は、中国の人気動画配信者「Thurman猫一杯」(アカウント名)について、ネット上に悪質なデマを拡散し社会に悪影響を与えたとして、処罰対象となったことを発表しました。



中国の人気女性動画者「Thurman猫一杯」は、中国国内の動画配信サイトで4000万人以上のフォロワー数を抱える人気インフルエンサーでした。今年2月、彼女はフランス・パリのトイレで中国の小学生が落としたと思われる冬休みの宿題を発見したと動画に投稿しました。その後、この宿題の持ち主を探すという口実でフォロワーたちに動画の拡散を呼びかけていました。さらに、宿題の持ち主の親戚と連絡が取れたなどという動画も投稿し、ドラマチックな展開を繰り広げていたのです。

ところが、一部のネットユーザーがヤラセなのではないかという声が上がり、「存在しない事件をでっち上げ、社会に混乱を与えた」という通報が警察にも寄せられ警察がデマの拡散をした容疑で捜査を行なっていたのです。その結果、杭州市公安局は一連の動画が全てヤラセだったことを発表し、彼女が所属する芸能事務所も自作自演であったことを認める声明を発表するに至ったのです。

中国国営メディア・人民日報は今回の事件について、「アクセう数稼ぎのために、社会に多大な悪影響を与えネット環境を汚染した。道徳心が欠如し、法律を犯した」と痛烈に批判する社説を発表しています。

今回の事件を巡っては、ネットユーザーが宿題の持ち主を探そうと、各地の小学校に問い合わせの電話をしたことで小学校側は運営妨害を受けるなどの影響もあり、刑事告訴をする構えも見せています。中国ではヤラセ動画が罪に問われるという前例になった今回の事件。ヤラセ系動画配信者にとっては明日は我が身という気持ちなのでしょうか。