台湾総統選挙 中国国内からはメディアに批判の声も | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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太平洋の島しょ国ナウル共和国は今月15日、台湾と断交し、中国を承認すると発表しました。台湾では13日に総統選挙が行われ、民進党が勝利した直後だったため、中国政府による民進党への圧力ではないかとの指摘も寄せられています。

しかし、ナウル共和国の発表直後に、中国国営メディアの現地支局の開設なども発表されていたことから、相当な時間をかけて準備を進めていたことが分かります。そうしたことから判断すると、民進党への圧力というよりも、選挙を行った台湾に対する圧力と見る方が自然でしょう。国民党が勝利したとしても同じ結果になっていたことでしょう。



今回の台湾総統選挙では、他にも注目すべきことがいくつかあります。選挙終了後、台湾では数分ごとに開票速報が伝えられていました。開票直後から、民進党のリードが伝えられる一方、中国のネット上やSNS上からは突然、台湾の総統選に関する記事や投稿が検索に引っかからないようになっていました。

その後、選挙の開票が終わった深夜1時頃になると、中国のSNSでは突然、「中国は一つ」などのキーワードがアクセスランキングで上位を占めるなどの動きが見られていました。中国のSNS上のコメントには、「以前にメディアの報道で、過半数以上の台湾人が中国との統一を求めていると報じていたのにこの選挙結果はどういうことだ」などの意見も多く寄せられていました。中国国内では、中国にとって都合の良い国民党優勢という根拠のないニュースが報じられていたのです。

また、最近では中国国内のショート動画サイトに、台湾人に行った街角インタビューの動画などが数多く投稿され、動画に登場する台湾人たちは中国との統一を求める意見を述べていたり、台湾から中国に移住した人たちも登場していました。

こうした一方的なメディアの報道やSNSの偏った情報にしか接して来なかったことで結果的に、中国国内では国民党優勢というイメージが色濃く形成されていったのです。

冷静に考えれば、台湾への圧力を強めれば強めるほど台湾市民の団結力は強くなり、民意が民進党に傾くことは明らかです。むしろ、威嚇など何もせず見守っていれば、国民党がさらに躍進していた可能性もあったのではないでしょうか。