全国人民代表大会の委員 女性への差別思想を非難 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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現在、中国で開催されている全国人民代表大会(以下、全人代)では、今後の中国国内の政治・経済・外交方針などが話し合われ、大会に出席する委員(議員)からも様々な提言が行われます。こうした中、中国では女性の権利について発言した女性委員に大きな注目が集まっています。中国の物理学者で、浙江省政府で要職を歴任してきた全人代代表委員の羅衛紅氏は、中国国内で広がる未婚女性への差別的思想について厳しく非難する発言をし注目を集めています。

中国メディア・毎日経済新聞(3月7日)は、羅衛紅氏へ取材を行った際、同氏が「未婚という選択をした女性を社会全体がもっと尊重し寛容的に受け止め決して差別の対象としてはならない」と発言したことを報じています。同氏は、「現在の中国社会では多くの女性が自立し自身の事業や仕事を追及し、こうした価値観が普遍的となっている。自身の経済的自立が達成された上で家庭を持ちたい女性は持てば良いし、女性の選択を社会全体が尊重するべきだ。これは中国社会が高度な発展を遂げた結果として社会全体で受け止めるべき事実である」と説明しています。

中国のネット上では、30代の未婚女性に対して、「大齢剰女(高齢で余った女)」という差別的な言葉が多く飛び交っています。中国では女性の生き方について多数の書籍を執筆している上野千鶴子さんの著書がブームとなるなど女性の立場を巡る考え方に大きな変革が起こっています。

これまで一人っ子政策によって人口制限を長期渡り行ってきた中国では、少子高齢化となった途端に、3人目の子供を「産めよ育てよ」という政府による奨励が始まっています。女性が社会で活躍しながら安心して家庭を持つことが出来る環境が整備されないまま、女性に子供をたくさん産むよう奨励する政府の姿に中国メディアも疑問の声を上げています。