新型コロナウイルス発生源、731部隊にも関係? | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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米・トランプ大統領は4月30日の記者会見で、新型コロナウイルスの発生源が武漢市内にある研究所であったことが確認されたとして、これを理由に新たな対中関税を課す可能性に言及しました。 

一方、中国はこれまで外交部(外務省に相当)の高官がSNS上に「新型コロナウイルスの発生源はアメリカがで、昨年10月に武漢市で行われたミリタリースポーツ大会に参加した米軍が武漢に持ち込んだものである」書き込むなどし、米中の対立が深刻化していました。

ところが、中国で今、その発生源について新たな説が取り沙汰されるようになっています。大手中国メディアの記事や中国国内のSNS上で、米・メリーランド州にある米軍医学研施設「フォート・デトリック」こそが、新型コロナウイルスの発生源だったのではないかと指摘する声が高まっているのです。




 
中国メディア新浪新聞などは、フォート・デトリックを新型コロナウイルスの発生源とする根拠として、次の点を指摘しています。

同施設は昨年8月、原因不明のまま緊急閉鎖となりましたが、その後、アメリカでは季節性インフルエンザが猛威をふるいました。中国メディアの見立てでは、この季節性インフルエンザこそ、緊急閉鎖した施設から漏れ出した新型コロナウイルスであり、それが施設が緊急閉鎖となった理由でもあるというのです。 

その後、季節性インフルエンザという名の新型コロナウイルスは米軍基地にも入り込み、ウイルスに感染した米軍が、昨年10月に武漢市で開催されたミリタリースポーツ大会に参加したことで、武漢市に新型コロナウイルスが広まった、というのが中国メディアの見解です。

中国最高行政機関である国務院は、4月23日に行った記者会見で、このフォートデトリック発生源説について言及し、次のようにコメントしています。 

「フォートデトリックが新型コロナウイルスの発生源である可能性は決して排除出来ない。アメリカ国内でもフォートデトリックが発生源であると指摘する声もあり、我々はアメリカのインターネット情報を注意深く観察している」

国家機関である国務院が不確実性の高い情報について、こうした発言をすることは非常に異例とも言えます。

さらに中国メディアは、このフォートデトリックが、旧日本軍の化学兵器研究機関・731部隊とも密接な関係があるとも報じているのです。 
 
中国メディア・新民週刊は、「第二次世界大戦終戦後、フォートデトリック研究所は、旧日本軍731部隊で指導者的役割を果たしていた石井四郎医師を同研究所の顧問に任命し、731部隊で行っていた実験内容について情報提供を受けてきた」と指摘しているのです。 


つまり、フォートデトリック研究所を中国にとって忌まわしい731部隊と結びつけた上で、新型コロナウイルスの発生源を同研究所であるとすることで国民感情に訴え、中国国内の世論をアメリカに向かわせたい、という思惑があるのです。 

新型コロナウイルスの発生源について、ついに731部隊の歴史にまで言及し始めた中国メディア。こうした中国側の動きは、日本政府も適時把握していくべきでしょう。新型コロナウイルスの発生源を巡っては、日本もいつ巻き込まれてもおかしくない状況なのです。