欧米諸国では一般的に、店員と客の関係は対等です。このため、日本でしばしば見られる過度な“お客様至上主義”は、欧米人からは異常な文化に見えていると言われています。実際、このお客様至上主義による行き過ぎた行為も少なくありません。最近、客がコンビニ店員に土下座を迫り、強要罪の疑いで警察が捜査に乗り出す事件があったことは皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか。
今回、同様の事件が中国でも発生し、その是非を巡って大きな議論が巻き起こっています。
その事件は今月13日、中国山東省済南市内を走る市営バスで起きました。この日、市内を走っていたバスの中で、高齢者の男性がバランスを失い転びそうになりました。
するとこの男性、バスのスピードが速すぎたからだと運転手に詰め寄り、延々と運転手を罵倒し続けたのです。
一方、罵倒された運転手はというと、なんと運転席から立ち上がり、この乗客の男性に土下座して謝罪。その後、別の乗客が仲裁に入り、ようやく事態が収拾しました。しかし、この異様な光景は、ネット上で大きな議論を呼びます。
「バスの運転手は本当に大変だ。しょっちゅうクレーマーや老害から難癖をつけられたり暴力を振るわれたりしているのだから。本当にストレスがかかる仕事だ」
「最近は何かあるとすぐクレームをつけられるから、運転手はビビって土下座してしまったんだよ。クレームになれば給与が減らされるから」
「年寄りは年が上だというだけで若い奴を頭ごなしに否定するよね。運転手がかわいそう」
中国では近年、バスの運転手に対する態度の悪さが社会問題となっており、昨年10月には重慶市で痛ましい事故も発生しました。突然バスを止めろと要求した乗客が運転手と口論となり、運転手を殴打。その結果、制御がきかなくなったバスが橋から川に転落し、乗客全員が死亡したのです。
客といえど、何をしてもいいわけではありません。過度に傲慢な態度は、一歩間違えれば犯罪にもなりうるのだということを肝に銘じておくべきでしょう。