中国貴州省がIT特区に? | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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IT企業や通信会社にとって命とも言えるのがデータセンター。各種のコンピュータやデータ通信などの装置を設置・運用することに特化した施設の総称ですが、安全保障の観点から、その場所は通常、非公開となっており、自然災害や人的被害の影響を受けにくい場所に置かれることが多いと言われています。  

そんな機密性の高いデータセンターが、実は中国には9000社を超える大手企業がデータセンターを設置してきた地域があります。

その地域とは貴州省貴陽市。データセンターを設置する企業は全国最多を誇ります。ではなぜ貴州省にデータセンターが集中しているのでしょう。



アップルやファーウェイ、テンセントなど世界を代表する企業もデータセンターを置く貴州省貴陽市。北緯24度〜29度に位置し、夏場の平均気温が25度、冬場は9度と年間を通して気候が非常に安定しており、避暑地としても知らています。この気候がデータセンターにはもってこいだったです。また同市は高原が中心で、地震や台風、土砂災害などの自然災害が非常に少ないことでも知られています。

さらに他の地域と比べ電気代が圧倒的に安いことも貴州省にデータセンターが置かれる大きな理由の一つと言えるでしょう。発電量が全省の中で15位の貴州省は、発電した電気を自分たちの省だけでは使い切れず、他の省に輸送しています。つまり、それだけ発電量が豊富なのです。気になる電気代は、中国の平均的な電気代がキロワット時平均0.87元(約14円)なのに対し、貴州省は0.35元(5.6円)という破格の安さ。これは元々、同省の物価が他地域の都市部に比べて安いこともありますが、貴州省政府が企業を誘致するために、電気代を安くしてきたという面もあります。

この他、貴州省政府はデータセンターを建設する企業に税金の割引助成も行なってきました。加えて土地代も安い貴州省。こうしたいくつもの要素が重なり、中国で最も有名なデータセンター拠点となったのです。これまであまり中国では目立たない存在だった貴州省ですが、今後はIT企業やテクノロジー企業の集まるシリコンバレーのようなエリアとなるのではないかとも報じられています。貧困省と言われてきた貴州省が世界の最先端技術が集まるIT特区となる日も近いのかもしれません。