世界に広がる華僑たち | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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シンガポールは人口の7割を華僑・華人(以下、共に華僑と記す)が占めています。シンガポールは、そんな華僑たちが中心となって国を発展させてきました。

中国から世界中に移民として渡っていった華僑たちはシンガポールのような華僑国家を形成したり、世界の各所にチャイナタウンを形成しました。今回はこうした華僑についてお話したいと思います。

日本では有名なチャイナタウンと言えばどこでしょうか?横浜中華街や神戸南京町と長崎新地中華街を挙げる方が多いと思います。これらは日本三大中華街と言われています。近年は池袋北口にチャイナタウン計画が持ち上がるなど、話題となりました。こうして世界各地に存在する華僑ですが、一体どんな人々なのでしょう。

《横浜中華街はかつては台湾系華僑と大陸系華僑でのトラブルもあったが今は友好的に共存しているという》

現在、世界中に2800万人いると言われている華僑の源流を辿っていくと、明時代・清時代にまでさかのぼります。明時代は、海外列強諸国の植民地で、労働力として東南アジアなどに連れて行かれたことから華僑の歴史は始まります。

清時代になると荒廃する祖国に見切りをつけ、新たな新生活やビジネスチャンスを夢見て、次々と移民として海外に渡る中国人が急増します。横浜中華街の原型が形成され始めたのもちょうどこの頃になります。

《王貞治さんは台湾系華僑である。日本のスポーツ界や財政会でも多くの華僑が活躍している》

その後、華僑たちは移民先での差別や不当な扱いに抵抗するため、チャイナタウンという名の独自のコミュニティを形成するようになっていくのです。

日本で横浜中華街が形成されてから約150年経った今、華僑の間では新しい問題に直面しています。それは“老華僑”と“新華僑”との間で起こっている摩擦です。“老華僑”とは、何代にも渡り華僑として暮らす人々です。三把刀(包丁、鋏、剃刀)で海外で新天地を開拓し、勤勉で真面目、コツコツと富を蓄えていきます。

これに対し、“新華僑”とは前世紀80年代中国が改革開放政策を実施してから、この30〜40年の間にやってきた華僑のことを指します。留学等で日本にやって来て知識や技術を身に付けそのまま起業して成功をおさめるというケースも少なくありません。また中国経済が世界で存在感を増すのと比例するように、新華僑たちは世界の覇権を牛耳ろうと考えていて、同じ民族で団結して助けあって暮らそうとする老華僑の生き方には反発的です。

中華街に暮らす老華僑たちに話を聞くと、これまで日本社会の中で守ってきたゴミ出しのマナーや、出店マナーを無視し、傍若無人に振る舞う新華僑が急増していることに、老華僑たちは危機感を覚えていると言うのです。

今私は、大勢の華僑が暮らすシンガポールから、第二の故郷である東京へ帰国の途中です。異国で暮らす同じ民族が共に発展し、今後、これ以上、華僑間の溝が深まらないことを願います。私自身一人の新華僑として、こうした問題に常に関心を持ち続けたいと思います。