習近平主席の『トイレ革命』 | 周来友 オフィシャルブログ

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中国出身のジャーナリスト、タレント。
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トイレの清潔さは、その国の経済水準や国民性などを反映する指標と言われています。習近平政権は、「ニーハオトイレ」が未だに存在し、お世辞にも決して清潔とは言えない中国のトイレ事情を一変しようと、『トイレ革命』を推し進めています。

《都市部でもこうしたタイプのトイレは中国では多い》

これまで習政権成立以来、習主席は中国の公衆トイレの衛生管理について度々言及しており、中国国内のトイレの数を増やすことや、トイレの清掃人の数を増やし、24時間体制で衛生管理を行うことなどを実行してきました。

そうした取り組みのかいもあり、この2年間で都市部を中心に、6万8000のトイレが新設・改修され、今後は中国の農村部のトイレなどで、汲み取り式ではなく水洗トイレの新設が検討されていると言われています。

外国人観光客の悩みの種だった中国のトイレ事情は着実に好転していると言えるでしょう。中国人観光客が日本の家電量販店などでウォシュレットを爆買していたのもちょうど『トイレ革命』が行われ始めた頃ですから、中国国民のトイレに対する意識に変化をもたらしたことはとても良かったと思います。

現在、『トイレ革命』の中で日本製の便器やウォシュレットが大きな役割を果たしています。TOTOは昨年、中国での売上が630億円を超え中国のトイレ事情改善に大きな貢献を果たしました。

私が小さい頃、中国では「ニーハオトイレ」が当たり前のように存在していました。当時は、北京や上海のような大都会であっても、辺鄙な田舎であっても、あまり差がありませんでした。仕切りもなく、水流しもせず、悪臭プンプン。それでも庶民たちは何の不便もなく使用して来ました。

鄧小平の改革開放政策が実施されてから、特に北京五輪と上海万博の開催により、幾たびも、この外国人観光客に悪名高い「ニーハオトイレ」を改善するキャンペーンが行われました。しかし、これらのキャンペーンは名ばかりのもので、外国人が集まる都会のメイン通りや観光地のトイレだけ象徴的に改造され、農村や都市の路地は昔のままでした。

今までと比べて本気度が違う今回の『トイレ革命』は中国政府の莫大な資金力にバックアップされ、きっと功を奏するでしょう。しかし、高級できれいな施設をたくさん作るのも重要ですが、もっと大事なのは市民たちの清潔で上質なライフスタイルをする意識の養成ではないでしょうか。

《北京ではWi-Fi、ATM、スマホ充電エリア、休憩スペースが完備された公衆トイレが誕生している》

もちろん、幼少期に「ニーハオトイレ」に親しんでいた私にとっては今後、そうした旧式トイレを目にすることがなくなると思うと、ちょっぴり寂しい気もしますが。