やぁ、ファイオスだ。

 前回はほんとに頭がついていかなかった。

 何せ私の予想をはるかに超える研究の結果が待っていたのだから。

 魔王の魔力がどれほどのものかしっかりと予想できていなかった私には正直この結果は理解できないものだった。


 なにせ、デク人形から一気にデーモンまでランクアップしたのだよ。

 魔王が作った通常空間の640兆倍の魔力空間作成装置。

 この装置は水晶を媒介にしていて、安定した魔力供給をし続けることが出来る。

 半永久的に魔力を放出し続けるこの装置があれば、生物としてのデク人形を作り続けることには問題ないだろう。


 私はデク人形を進化したものとして人間を作りたかった。

 そう、千数倍の魔力空間があれば、人間とそぐわぬデク人形が誕生するはずだった。

 私の知能工学の研究成果であるこの人形たちならば、魔力を供給源として、思考の輪廻を繰り返すきっかけをつかめると予想していた。

 しかし、実際に注がれた魔力値は、その数千億倍。思考の輪廻どころか、力の輪廻をし、知能の暴走まで引き起こしてしまったデク人形は、一瞬にして組み合わせ爆発ともいえるさまざまな言語の接点を己の魔力視点から連結させ、最高レベルの知能と、それに見合った魔力を手にしていたのである。

 よくよく考えてみれば、魔力のブラックホールが起こってしまってもおかしくないほどの魔王の魔力だ。

 そんなものから何かをしようとすれば、暴走気味な結果がおきるのはわかったはずだ。

 確かに私は、進んだ研究成果を求めていた。だが、これではまるで軍事兵器、いや、そんな生易しいものではなく、世界を滅ぼしかねない核爆弾以上の研究成果を生み出してしまった行っても決して言い過ぎていない。まぁ、これだけの魔力を2分足らずで生み出せる魔王の化け物具合を考えてみれば、私の研究によってもたらされる事など、どうとでもなってしまうような気もするが。



 とにかく、結果は出てしまったのだ。

 魔王が勝手になずけてしまったが、私は魔道知能学の産物としてデルクヮイナというデーモン人形の開発に成功してしまった。

 問題なのはこれからどうするかということである。 

 私の中から常に沸き続けていた研究欲は一瞬さめたように思えていたが、それは昨日一日だけの問題だったようだ。

 また今日になると、研究を行う気分で充満している。

 魔王に認められたのだ。そんな生易しく終わるものでもないだろうに・・・・。昨日の私はどうにかしていたか・・・。




 昨日の私は、なかば、研究成果を魔王に全て持っていかれたような気分になっており、少し放心していた。

 自分のやってきたことが魔王の魔力の前では以下に小さいかを思い知らされた私は、これからどうしようかなどと思っていたのだ。 それと同時に、少しの寂しさが生まれていた。 魔王城での映像、ドニスとの記憶が頭をよぎる。 研究から一瞬はなれた私にはドニスのことが大きく影響していた。 そうしたら居てもたってもいられなかった。


 私は、魔力が供給されれば即座に作成できるように作られていたデク人形、残り4体(一体はデルクヮイナとして誕生させた後、魔王が連れて帰ってしまった)の内、一体に生命を宿らせることにした。

 この一体は、実はドニスの性格を宿らせてある。

 研究の鬼となっていた私だが、別にどのような性格を人形に投じても問題がないとわかった時、流れるままにドニスの性格を投じていたのだ。やはり、ドニスとの愛自体が消えているわけではない。 ドニスに会いたいという気持ちはあったのだ。 


 ただ、今の私はドニスよりも研究のほうが大事だと思っているだろう。

 研究に魂を売っているのだ、偽りのドニスなどが現れたところでどうとでもなるものでもない。

 それも分かっていた。

 ただ、この日の私は、寂しかったのだ・・・・。



 魔王がおいていった魔力供給装置のスイッチを入れる。

 装置が作動し、水晶が振動し始め、装置の中に魔力が充満していくのが分かる。

 見ていくだけでも恐ろしい濃度だということが分かり、このような装置を使っている自分も恐ろしく思えた。

 ドニス型の人形に命を吹き込むにあたって、どの程度の魔力濃度で生命を宿らせるかが気になった。

 私の個人的理由、人間として生まれてほしいのであれば、魔力値は千程度でよい。

 研究を進めるのであれば、まずはデルクヮイナとしての人形を作成したほうがよい・・・・。

 私は寂しいがために偽りのドニスを作ろうとしていたのだが・・・・。


 

 私の頭に、ドニスが魔物に教われて絶命した日の記憶がよぎる。

 気付けば私は、魔力供給装置の濃度地を最大値まで上げてから供給開始スイッチを押していた。

 


 魔力が供給され、魔力培養カプセルの中の人形に魔力が注ぎこまれていく。

 その尋常ではないほどの濃度の魔力は、中の人形強く、強く変えていく。

 皮膚からは強い魔力が放たれていた。


 ・・・・・

 閉じていた人形の目が開く。

 その時、私のほほには涙が流れていたように思う。

 しかし、そんなことは気にしていなかった。人形の目が開いた瞬間、その顔から目を離すことは出来なかった。




ファイオス「ドニス・・・・・。」




 培養カプセルの中からドニスそっくりの人形が出てくる。

 もちろん、テレポートして出てきたのだが、そんなこともやはり気になっていなかった。

 私はただ彼の顔を見つめていた。


人形「私の名前はドニスで良いのですか?」

ファイオス「そうよ、そして私はファイオス。 あなたのパートナーよ。」

ドニス「分かりました。 ファイオスさん。」


 始めてあった時のドニスと同じ声、同じしぐさ、同じ私への呼びかけ。

 私は一瞬自分が昔に戻っているような錯覚を覚えていた。

 



 だが違う。

 私の前で、優しく微笑むドニスは、漆黒の翼を持っていた。




 こんにちは、メイです。

 ついに魔王様の魔力によりファイオスさんの研究が完成しました。

 デク人形に命を吹き込むことに成功したのです。

 ですが、魔王様が吹き込んだ魔力は大きすぎました。

 ファイオスさんはデク人形を人間として作成していたようなのですが、完成した人形の姿は悪魔そのものでした。


 黒い翼、 魔力を放つ体。

 そして、生まれた瞬間からかなり高度な魔法、テレポートをこなすこの生物は悪魔の中でもかなりレベルの高い悪魔、デーモンの域にまで達していると思われます。

 私はお城のお掃除をしてくれるデク人形がより便利になる程度にしか思っていませんでしたので、いささかこの予想外の展開には驚きました。


魔王「無生物から誕生した悪魔、デク人形ではなく、デルクヮイナと改名することにする。」

ファイオス「は・・・・はい。」

魔王「フ・・・、誕生最初の一匹目となるこやつは私がもらっていくとしよう。」

ファイオス「・・・・・・はい。」

魔王「フフフ、ファイオスよ、見事な研究成果だ!!これからもより一層の闇の発展を志すがよい。」

ファイオス「・・・・・はい。」



 ファイオスさんはデルクヮイナが誕生してから終始頭の回転が追いついていないようでした。

 よくよく考えてみると、追いついていないというよりは思考がデク人形か高レベルな悪魔が誕生した理由を考えるのに必死で暴走していたため、現実に考えを持ってくる余裕がなかったからなのかもしれません。

 とにかく、これで、デク人形、無生物から新たな生物が誕生しました。

 しかもかなりの高レベル悩みの眷属であるデーモンが誕生したのです。

 デーモンクラスの悪魔となると、その力がすさまじいので数に限りがあったのですが、これからはほぼ無限に作り続けることが可能になります。よりいっそう闇の世界として発展していくことになるでしょう。

 だから魔王様はうれしそうにしていたんだと思います。

 

魔王「メイ、帰るぞ・・・・。」

メイ「はい!魔王様!!」


 魔王様は先ほど生まれたばかりのデルクヮイナと私を連れて魔王城に帰ります。

 来た時と同じように魔王様から放たれた魔力が私たちを囲み、魔王城まで一気に帰ってきました。

 着いた場所は出たときの場所、中庭でした。相変わらず、綺麗な庭に不釣合いな色の空が印象的です。


魔王「メイ、このデルクヮイナ、お前が育ててやれ。」

メイ「え、わ、私がですか。」

魔王「そうだ。 魔王城での生活とは何たるかを教えてやってくれ。」

メイ「は、はい!!わかりました!!」

魔王「頼んだぞ。」



 そういうと魔王様はまた魔力に包まれてどこかへ行ってしまいました。

 思えば、私が魔王城に来て五年、初めて魔王様に頼みごとをされたように思います。

 私とデルクヮイナ残された二人。

 デーモンクラスの魔力を持ったデルクヮイナにかかれば私なんて瞬殺されてしまいますが、一応魔王城の先輩です。

 魔王様に頼まれたことです。しっかりとやり遂げて見せましょう!!


メイ「えっと、こんにちは?」

デルクヮイナ「はい、こんにちは、マスター。」

メイ「あ、やっぱりしゃべれるんだね☆生まれてすぐにテレポートできたからもしかしたらとか思ってたけど、よかった☆」

デルクヮイナ「はい、一般的知識、必要知識はほぼ記憶済みです。」

メイ「そかそか。んじゃ、まず名前を決めないとね。まだないよね、名前?」

デルクヮイナ「そうですね。生物として呼ばれやすい固有名詞はいただいておりません。」

メイ「う~ん、んじゃ、デルクヮイナだからデルにしよう!!」

デル「了解しました。安直ではありますがデルとお呼び下さい、マスター。」

メイ「おお、突っ込み入れてくれた!!てか、マスター?私のこと?魔王様に言われてたから?」

デル「はい、そうです。」

メイ「マスターはないよw メイさんって呼んでよ☆ 先輩メイドのメイさん!!」

デル「了解しました、メイさん。 ・・・・私もメイドなのですか?」

メイ「そうだよ。 私が魔王城での生活で知っていることはメイドとしての魔王城の生活だからね☆ デルも今日から魔王城のメイドさんだよ☆」

デル「私が、メイド・・・・。」



 さてさて、かわいい後輩?が出来ました。

 これからの魔王城での生活ががらっと変わってきそうですね。

 次回はどんな話になるのでしょうね~。 今から楽しみです。 あ、でも、取り残されてたファイオスさんの話になるかもです。

 まぁ、私にはわからないことですね。 作者さんの気分しだいということでしょう。


メイ「あ、デル、まだ素っ裸だったね、似合うメイドの服を探しに行かなくっちゃ☆」

 こんにちは、引き続き、私、メイがおおくりいたします。

 今回はデク人形に命が吹き込まれちゃうお話です。

 今までのお話を読んでいない人にはちょっとわからないと思うので、しっかり読んでくださいね☆


ファイオス「私の研究を完成させるためには、根本的な密度の違う空間が必要になります。現状の科学力では一般空間の260倍の魔力空間が限界です、この培養液の中の魔力がそれにあたります。デク人形が自らの意思を発するために必要な魔力空間濃度値は一般空間の540倍だと私の計算では出ています。魔王様、お力添えをお願いします。」

魔王「フ・・・。540倍で良いのか? 私が本気を出せば680兆倍は出せると思うが・・・・。」

ファイオス「え・・・・?640兆倍・・・・ですか。それほどまでに出力を上げてしまっては、闇のブラックホールが起こってしまいかねないのでは・・・?」

魔王「もちろん、起こらないように調節する。魔力は高いほうが良いのではないのか?」

ファイオス「た、確かにそうですが・・・。そこまで出力を上げられてしまっては、私の計算できるレベルを超えてしまいま・・・」

魔王「魔力が想像以上になった程度で値を上げるのか? 予定以上の実験性かをあげたいのではないのか?」

ファイオス「は、はい・・・。お願いします。」



 正直魔王様に少しでも反論できたファイオスさんはすごいと思います。

 かなりのすごい日とでも魔王様の行ったことには言霊も宿っていますのでなかなか反論できないんです。 

 自分の実験のことに全ての全てまでかける事の出来るファイオスさんだからこそのことでした。


魔王「それでは、しばらく詠唱に入る。しばし待て。」

ファイオス「はい。」


 魔王様はそうおっしゃられると、両手の平を肩幅くらいの空間に広げて詠唱を始めました。

 なんていっているのか早すぎてよくわかりません。 

 ただ、見る見るうちに魔王様の手の間の魔力が超熟していくのがわかりました。


メイ「すごい・・・です。」

ファイオス「・・・・・・・・。」


 私とファイオスさんただ見つめるだけでした。

 元から存在時限のレベルが違うくらいの核の違いです。

 その洗練された、魔力の集中を見ているだけでも、私たちはこの世で一番美しいものを見るよりもすごい体験をしていることを実感できていたのではないでしょうか。


 2分ほどで魔王様の詠唱は終わりました。

 魔王様の手のひらから放たれた闇が研究所の培養カプセルに飛んでいきます。

 その瞬間、培養カプセルの対魔力値が数兆倍に上がったのでしょう、明らかに違う物質の培養カプセルとなりました。

 今まで、ドンヨリと黒い色を放っていたカプセルの中の液体ですが、今はその中の魔力は洗練され、まったく色はついていません。

 培養カプセルの横には魔力発生の水晶が出来ていました。魔王様がよく使われる、水晶を推奨を媒介にした魔力発生装置です。一度溜め込まれた魔力を永遠に安定して出し続けることが出来ます。


 そして、一番変化していたのは培養カプセルの中のデク人形でした。

 いえ、それはもうデク人形と呼んではいけませんでした。

 何故ならば、この濃度の中で生まれた人口と魔力によって意識を作られた人形は、その多大なる魔力によってもはや人よりも数段上の生物にまでランクが上がっていたからです。もちろん、見たばかりの私にはそんなことはわかりません。

 ただ、今までの人にそっくりな容姿から、黒い羽が生えて、悪魔のような姿に変わったのがわかりました。

 その女性型の人形は、今まで目をつぶっていたのですが、すっと目を開けました。

 その瞳の感じは若干魔王様に似ていたように思えます。


魔王「出来たな・・・。」

ファイオス「こ、これは・・・・・。」

魔王「ファイオス、お前は自分の研究成果を見誤っていたようだな。お前の研究は神をも超える域にまで発展していた。お前はデク人形に人間同等殻数倍の力を持たせるのを基準で魔力供給を考慮していたようだが、この人形の知能システム、無から有への声明の発達、これらの条件はお前が思っているよりもはるかに高制度なものだったのだよ。もりろん、私が与える魔力がこのレベルに達していたらの話だがな。」

ファイオス「そ、そんな・・・?」

魔王「フ・・・・。でてこい。」


 培養カプセルの中のデクに魔王様は言ったようでした。

 

 テレポートしました。

 培養カプセルの中にいたデク人形は魔王様の命令でカプセルに傷をつけることなくてレポートして外に出てきたのです。

 そう、魔王様の魔力によって完成されたこの生物はもはや悪魔的能力を身に着けていたのです。

 悪魔の能力といえば、魔物の中でもかなり闇の部類のもの。人間にはかなわない時限の違う存在です。



ファイオス「な!!」 

魔王「フ・・・・、ファイオスよ、お前はデク人形に命を吹き込むことの意味の大きさを読み違えていたようだな。もちろん、新たな生物の創造主たるお前は神たる存在であろう。だが、この生物を生み出した後、その生物が能力的にうえの存在になった時、お前は神ではあるが、生物の発展としての種を作った、最悪のきっかけたる存在になってしまうのだよ。もちろん、お前の研究の成果は尋常ではない。それこそ世界の半分を占める闇の統率者である私が創造できないほどの結果だ。お前にはまだまだ研究を続けてもらうがな。」

ファイオス「・・・・・・・。」

魔王「生まれたばかりの子供の力が大きすぎて少し驚いたか? 良いではないか。 研究の成果は大きければ大きいほどよい。」


 魔王様は、予想以上の研究成果に本当にうれしそうでした。

 ファイオスさんは天才にしては珍しく、思考が現実に追いついていない感じです。

 このような究極の研究結果を目の辺りにされては当然のことかもしれませんが。。。

 こんにちは、メイです。

 前回魔王様のところに謁見に来てもらったファイオスさん。

 見事力をもらう約束をしてもらえたみたいですね。

 私もあの人なら大丈夫だと思ってました。


 なんでしょうか、感じる闇の力が普段来る方よりも数段上、もしかしたら、私が知っている中で過去最高だったかもしれないくらいだったんです。

 だから、きっと何の問題もなく話は通るんだろうなぁとおもって増した。

 魔王様も一目見た瞬間に容認はしたのだと思いますよ。

 でも、趣味の範疇で、幻影もかけたんだと思います。

 魔王様にはそういうことろがあるので。



 今日は魔王様の影ではなく、魔王様自らがファイオスさんの研究所に足を運ぶことになりました。

 これは極めて珍しいことです。 

 魔王様が他人のために影を使わず自ら行動することはほとんどありません。 

 謁見者の中でも、このような自体は初めてなのではないでしょうか。

 それだけファイオスさんに期待されているということであり、ファイオスさんの魔道知能学、デク人形に意識を埋め込むという作業が闇の分野でも重要視されることなんだと思います。

 私は、魔王様がファイオスさんの研究所をうかがうということを書記の竜人、マイセルさんから伺っていたので、魔王様がファイオスさんのところに足を運ぶときに私も同行させてもらえるようにお願いしていました。

 その願いかがないまして、私は今魔王様に来るように言われた魔王城の中庭にいます。


 魔王城の中庭は湖上の庭園という感じで、きれいに木が植えてあり、空も見えるのですが、いかんせん魔王城上空の天気はいつも暗雲がはびこっていて、雷なんかもよくなっているので、それほど見栄えがいいものとはいえません。 

 でも、魔王城の中と比べたら若干どんよりとした空気はすくないので、私はよく中庭には散歩に着たりしています。

 私は、指定の時間の一時間ほど前から中庭でボーっとしていました。


 指定の時間ちょうど。

 人顔を挙げるとそこには魔王様が立っておられました。

 この前の影ではなく魔王カイサーフェルティス様本人。

 やはりこの方が目の前に現れると、私は何も考えられなくなってしまいます。 

 今日もその瞳を見た瞬間に、心の奥底まで闇に染まってしまいそうな私がいました。


魔王「メイ、行こうか。」

メイ「は、はい!!」


 現れた魔王様は私の目を見た後、そのようにおっしゃられました。

 私が返事をした後、魔王様の魔力に私は包まれ、魔王様と一緒に場所を移動していました。

 闇の魔力を媒介にした空間移動。

 今の世界では魔王様はどこにでも一瞬で移動ができてしまえるようです。

 気づいたとき、私はファイオスさんの研究所の前にいました。


 研究所の前にはファイオスさんがすでに待機づみでした。


ファイオス「・・・・!!!ほ、本日は足を運んでいただき、ありがとうございます!!」


 明らかにファイオスさんは、この前魔王城に足を運んできた時とは緊張の度合いが違います。

 それもそのはず、今回は影ではなく、本物の魔王さまなんです。

 その芯の闇の魔力を身近で感じてしまえば身がすくみあがってしまうのは仕方のないことです。


ファイオス(ば、馬鹿な・・・!!この私が、魔王に顔を合わせただけでここまで萎縮してしまうとは!!この前の面会のとき以上の究極の存在感、何だ!!何なんだ!!この耐え難いほど張り詰めた空気・・・・。世界を飲み込まんばかりの魔気は・・・!!おかしい・・・・私の目の前にいるものの存在自体がこの世界と比較しておかしすぎる!!!)  ※()内は思っていることです

魔王「ふ、ファイオスとやら。そう硬くならなくてもよい。」

ファイオス「は、はい!!どうぞこちらへ。」


 ファイオスさんは魔王様を目的のデク人形の開発をしているメインルームにお連れしました。

 魔王様から与えられるもの、それはまだ具体的に何なのかは私にも、ファイオスさんにも伝わっていません。

 ただ、ファイオスさんが求めている力はしっかりと与えられることになっています。

 ファイオスさんの実際の研究成果を魔王様に見てもらってから渡すことになっています。

 これまでは見なくてもあらかたどのような物かわかってらっしゃったようなのですが、今回魔王様は直接足をお運びになられました。これはつまり、ファイオスさんの研究結果に魔王様の魔力を吹き込むことでどこまでの発展をもたらすことができるのか、魔操作魔事態にも想像がついていないということなんだそうです。書記の竜人のマイセルさんにお聞きしました。


 研究所の廊下を移動中、私は恐れながらも魔王様の顔を拝見しました。

 そのお顔にはわずかな微笑が見られたように思えました。


ファイオス「ここです。」

魔王「よし・・・。」


 培養液の中に漬け込まれたデク人形。

 お城で働いている、外見を一切気にしていないデク人形とはわけが違いました。

 その皮膚は明らかに人のそれと同じです。

 綺麗な容姿をしています。

 部屋の中には5対ほどの研究用デク人形がカプセル型の培養液に使っていました。

 そして、それにつながったややこしそうなコンピュータ軍。そして、資料のCDRの山。

 部屋には魔王城には劣りますが魔力が充満していました。


 やはり人口意思と魔力とは密接な関係があるようです。 

 


ファイオス「私の研究を完成させるためには、根本的な密度の違う空間が必要になります。現状の科学力では一般空間の260倍の魔力空間が限界です、この培養液の中の魔力がそれにあたります。デク人形が自らの意思を発するために必要な魔力空間濃度値は一般空間の540倍だと私の計算では出ています。魔王様、お力添えをお願いします。」

魔王「フ・・・。540倍で良いのか? 私が本気を出せば680兆倍は出せると思うが・・・・。」

ファイオス「え・・・・?」



 魔王様が本気を出す?

 そもそもこの研究にそこまでの出力は必要なのでしょうか?

 私は、この発現の後のこの世の終わりなんて比べ物にならないであろう、究極の闇の空間に陥った魔王様の魔力を目のあたりにすることになりました。

 私はミリスやドニスとの温かい家庭で過ごすことには耐えることが出来なかった。

 もはや、私の心は芯まで研究一色に染まっていたのだ。


ファイオス「嫌だ・・・。 ミリスと家に帰って研究出来ないなんてことにはなりたくない・・・・。」

ドニス「ファイオス?どうしたんだい?」

ミリス「ママ?」

ファイオス「家には帰れない。私はここで研究をしたいんだ。いや、こんな設備の悪いところじゃだめだ。もっと一流で、最高の研究を行える場所。私に研究で満たすことの出来る設備がおいてある研究所で研究をしなければ・・・!!」

ドニス「・・・・・・・。」

ミリス「ママ?ミリスと一緒に遊んでくれないの?」

ドニス「ファイオス、最近ずっと研究付けだったから疲れているんだね。」

ファイオス「違う! 私は研究がしたいんだ。 家庭なんてものは必要ない・・・。 家族よりも、研究。 研究をしないと・・・・。」

ミリス「パパ、ママが変だよ!!」

ドニス「ファイオス、少し落ち着くんだ。 今の君はどうかしているぞ。」

ファイオス「どうもしていないわよ。 私にとって一番大切なこと、それは魔道知能学の完成。 何を犠牲にしてもかまわない、生物実験だろうと、人体実験だろうと、私の知的探究心を満たしてくれる研究成果を生むためならば、家族を捨ててでも研究を進めないと・・・・。」



 私は、家族との暖かい光景に足を踏み入れようとしたとき、かつての私ではない、今(魔王城に赴いた今)の私の感情があふれ出していた。

 そう、心の底までも染まっている闇の感情。 

 何よりも自分のことを優先する間の属性の欲望。

 ドニスやミリスのことよりも、私にとっては研究のほうが大切だったのだ。 

 もうこの事実は変えられない。 ここは魔王の魔法によって作られた架空の世界だが、私にとっては本物とまったく変わらないものであったし、家族が掛け替えのないものだということはしっかりと認知できていたはずだ。

 しかし、私は、この場に立ったとき、この望む世界へと身を委ねることが出来なかった。

 私は、闇の住人になっていたのだ。


ファイオス「研究室へ・・・いくわ。」

ドニス「ファイオス・・・・。」

ミリス「ママ、今度はいつミリスと遊んでくれるの?」

ファイオス「ごめんねミリス。 もう、ミリスとは遊んであげられないの。 お友達と一緒に遊んでなさいね。 ママは研究しないといけないから・・・。」

ミリス「ふぇ・・・・パパ、ママが、ママが・・・・・・ふぇ~~~~ん!!」

ドニス「ミリス・・・・。」



 ドニスは泣き叫ぶミリスを抱えて私のほうをじっとにらんでいた。

 私は、少し心が痛むのを感じていたが、研究室へと運ぶ足は早足のままだった・・・・・。




 魔王の魔法はもうしばらく続いた。

 私は研究所でのドニスの呼びかけにも答えることなく、研究を続ける日々を送ったのだ。

 この日のミリスに会わなくなった日から3ヶ月がたったところで魔王の魔法は終わりを迎えた。



 私の意識が魔王城へと返ってくる。

ファイオス「ハッ・・・・、ここは・・・・。魔王城?」

マイセル「そうです、魔王城ですよ、ファイオス。 夢の世界はどうでしたか?」

ファイオス「・・・・・・・。」

マイセル「あなたは、巣ばらしい闇の心を持っているみたいですね。」


 私に与えられた幸福そのものの世界。

 魔王の魔法によって見せられた虚実の世界。

 今の私にとっては、周りの愛すべき存在があったとしても、それは苦痛以外の何者でもなかった。 私の研究をする上での足の引っ張り役。 私には必要ではなかったのだ。 私はすべてがある世界でも、すべてを捨てて研究に走った。

 過去の私と比較して完全に変わってしまった私をみてしまい、少し心が痛かった。




魔王の影「ファイオス、見事な闇の欲望だ。 良いだろう。 お前の純粋な欲望、受け取ることが出来た。 望みの力を与えてやろう。」

ファイオス「・・・・・。 ありがとうございます。」



 私の長年の夢だった、最高の設備、魔力が与えられることになる。

 私の経験と知識にこれらの条件が加えられることになると、魔道知能学の最終形態、デク人形の心を作ることが可能となるだろう。  


 これが出来たならば、私は新たなる創造主とも言える立場になるのだ。

 デク人形を生物として作らしめた私、ファイオス。 

 この研究成果は必ず世界的に大きな影響をもたらすことになる。 

 そして、世界全体が大きく変わるであろうと思っていた。



 それは間違いなかった。 影響と変化は間違いなく起こるものであった。 

 ただ、デク人形が完成する半年前の魔王城に足を運んだこの日(魔法の中で3ヶ月過ごしているが、実際には一瞬の出来事であった。)の私の中には、まだまだ悪影響などのことを考える余裕はなかった。

 この時、唯一思えたのは、これからの研究の発展によりもたらされる、私の知的探究心の充足が尋常でないものでないものになるであろうとの喜びだけだった。



 

 ともかく、私は魔王から、魔力、財力、設備の融資を受けることとなった。

 やあ、魔学者のファイオスだ。

 このブログは日記じゃないんだ。

 

 物語。

 そう、作者がいい加減なノリで作っていく物語だ。

 魔王を中心にうずめく闇の魔力が充満した世界。

 その世界でのた打ち回る人間、魔物、動物たち。

 闇の世界という現在の逆の倫理観をもった世界において、人間たちはどのような心境をもって行動するのか?

 いったい魔王の目的は何なのか?

 色々試行錯誤が出来そうになるとっても奥の深い話なんだ。


 嘘だ。

 そんなことはない。

 そんなにすごい話ではない。

 前後のつながりがしっかりとしない、よくわからない話というのが実際のところだ。

 だが仕方なかろう。

 作者は小説を読んだことすらろくにないのだから。



 とまぁ、前置きはこのくらいにして、私の話の続きだ。

 私は力を求めて魔王城にまで足を運んだ。

 魔王は(正確には魔王の影だということが後でわかるのだが。)私になにやら魔術をかけた。ところまでだったかな・・・?




魔王の影「ほう・・・・。威勢がいいな、若い人間の娘よ。おぬしの信念、どれほどのものか見させてもらおうか・・・。」

ファイオス「・・・・・信念を見る? なるほど。」


 私の周りに魔王から放たれた黒い魔力を帯びた霧が絡みつく。

 魔王が私の信念を見ようというのだ。私にかけられた魔力は魔王の魔法。もはや覚悟するしかあるまい。




 闇に包まれた次の瞬間、私は魔王城に出向いていた記憶は消えていた。

 私の前に広がる光景。 

 それは、私と度に巣が二人で研究をしていていた研究所だった。

 魔道学最高研究所とはいうものの、人間の数自体がとてつもなく少ないこの世界では研究所の大きさも人数も知れている。

 少し大きめの家のような建物の中に在住の人数は12だけの研究所。

 出入りの人数を合わせれば膨大な人数になるが、そのほとんどはこんなところに身をおいてはいなかった。

 

 この研究所は研究の材料となる草の多く生える森の横に立っていた。

 かなり辺鄙な場所で、人間はおろか、魔物さえもめったにちかづかない場所だ。


 私は、私の恋人だったドニスの死後、この研究所を後にして一人で研究していたはずだった。

 しかし、私の目の前には研究所があり、私は研究所のドアの前に立っている。


 私は魔王の魔法にかかっていたのだ。

 この光景と、私がここにいることはすべて魔王のまやかし。そしてそれに気づかない私。この状況におかれていることがいたって普通に思えている。


ファイオス「そうだ・・・。今日も研究の始まりだ・・・。」


 完全に私は世界の中に思考をおいていた。


ドニス「やぁ、ファイオス。 今日もいい天気だね。 研究日和じゃないか。」

ファイオス「ドニス。」


 私の目の前に現れたドニス。

 そう、これは私が過去に夢見ていた世界に違いなかった。

 

ドニス「そうはいっても、僕たちには念願の子供も出来たしね。 僕とファイオスの念願だった、二人の子供を作るって言う目標は魔道学じゃなくて、人間として実現しちゃったからね。 これからはじっくりと研究して言ったらいいんじゃないかな。」

ファイオス「そう・・・・。そうだったな。私には子供が出来たんだったな。 ドニスと私の念願だった愛の結晶。 私が研究する理由は・・・。」

ドニス「そうだよ。 僕らのいとおしい子ミリス。 ミリスがいれば、研究の成功はとりあえず置いておいても良いんじゃないかな?」


 ドニスの影から子供の姿が現れる。

 私がずっと夢見ていた私の子供の姿。 その少年の姿はドニスをそのまま小さくしたようで、本当にいとおしかった。

 私が求めていたことは、この子供だったのではないか?

 後から思ってみると、そのような感情が確かにあったとこは否めない。完全に私は当時の思いに戻っていた。


ドニス「ほら、ミリス。」

少年「ママ!!」

ファイオス「ミリス・・・・そう、ミリスだ。 私とドニスの子供ミリス。 この子を私が生んだんだ。」

 ミリスが私にすがって抱きついてくる。

ミリス「ママ、だ~い好き!!」

ファイオス「ミリス、甘えん坊だね、お前は・・・。」



 家族愛に触れて心落ち着く私。

 完全に魔王の魔力に落とされていた。

 家族の温かみ、ドニスとの愛、そして、私の子供。

 元はといえば、すべてがこのうまくいかない条件の元私が行い始めたともいえる研究内容。 魔道知能学。

 私はこのような状況におかれれば、私の欲望はすべて置いておくことが出来るのではないか。

 家族に囲まれて、幸せな日々のほうが私の研究よりも素晴らしいのではないか。

 

ミリス「ねぇ~、ママ!! 今日はおうちで遊ぼうよ~~!!」

ドニス「ミリス、ママは今日は研究しないといけない日なんだよ?」

ミリス「え~~~。う~~~。 でも~、ママいつも研究でしょ。 僕ずっと一人でさびしいの。」

ドニス「・・・・。う~ん、そういえばここの所僕も君もずっと研究付けだったね。 どうだろう? 今日は研究を置いておいて、ミリスと遊んでやらないか? 僕も今日くらいは研究をしなくても良いと思うんだ。 どうだい?」

ファイオス「え・・・・。 研究を・・・しない・・・・?」



 昔のままの私なら間違いなくここでドニスと一緒にミリスと遊んであげただろう。

 このような状況なんだ。 一緒に帰ってやればいいのだと。 研究を急ぐ必要もないと。

 

 だが、今の私は違っていた。

 ドニスと別れた記憶はなくしていたが、研究に対する執着心は魂まで根付いていた。

 いわば、今の私の魂はこの状況にそぐえないほど、闇に落ちていた。

 魔道知能学に魂を売ったといっても過言ではないだろう・・・・。



ファイオス「・・・・・嫌だ・・・・・。」


 こんばんわ、メイです。

 ただいまファイオスさんの謁見が始まりました。 

 私は固唾を飲んで、端っこから見させてもらってます。

 どうなるのでしょうねぇ?


マイセル「では、本日の謁見者ファイオス。あなたのお話をお聞きしましょう。」

ファイオス「はい・・・・・・・。」


 ファイオスさんは一瞬、固まったのかな?と思いましたが、それは緊張から来るものではなく、気合を込めたものだと思えました。


ファイオス「魔王様、私はデク人形に意思を持たせるための研究をしている魔道知能学の魔学者です!しかし、私の魔力、財力では到底研究を完成させるまでには至りません!!魔王様のお力添えをいただきたく、本日はこのお城までうかがいました。」

魔王の影「ほう・・・・。威勢がいいな、若い人間の娘よ。おぬしの信念、どれほどのものか見させてもらおうか・・・。」



 魔王様の影はどうやらファイオスさんの思いを試すようです。

 どうやら、第一関門は突破で期待みたいですね。

 魔王様の影は見込みのある人間かどうかを第一声で判断します。

 見込みある人間なら、幻惑の魔法をかけて、他の魅力的なもののあふれる世界にいざなったり、何の不自由もない世界にいざなったり、両親などを失った人には両親が生き返った世界を見せたりします。 その世界に引き込むにあたって、今もっている思考などは一度忘れてもらい、その上でも本当に自分の信念に迎えるかどうかを試すというものです。

 私達からしてみると、一瞬の出来事なのですが、この魔法をくらった人にしてみると、とても長い間魔法空間で色々な思考をめぐらすことになります。 

 今回のファイオスさんの様子はどうだったのでしょう?

 ちょっと、語り部交代してみることにします・・・。



 ・・・・


 魔学者のファイオスだ。

 今回、私は魔王城に私の研究に置いて、魔力、設備、労働力、あらゆるものが完成までに足りないことを認知した上で、足を運んだ。

 私はデク人形に思考能力を与える研究をしているが、そもそもなんでこんな研究を始めたかのかというと、私が子供の埋めない体だと分かったからかもしれない。

 子供の頃に既に分かっていたことだ。 親からそのことを伝えられた時はあまりよく分からなかった。しかし、私も成長して恋人が出来たときにそれはあまりにも大きく私にのしかかった。 私の恋人の名はドニス。同じ魔道学に足を踏み入れた天才的頭脳を持った男だった。私は、始めから魔道知能学を専攻していたが、ドニスはあらゆる分野で活躍していた。ただ、彼が私を気に入ってくれてからは、共に研究をしようということになった。私の子供の埋めない体を案じてか、二人の魔道の力による子供をつくろうなどとよく言ってくれたものだ。 私も人からは天才などと呼ばれていたが、ドニスに比べれば取るに足らないものだったと思う。彼の各論文はどれも常軌を逸していて、私の想像の及ぶ範疇ではなかった。ドニスのお陰で、魔道知能が区の基盤はどんどん固くなってきた。

 研究を共にすることになってから、私とドニスはますます愛し合った。

 ドニスの持つ知的でありながらも、寂しさをかもし出す表情が私は好きだった。

 彼と私の財産として、子供を作りたいと彼との仲が親密になるほど思ったものだ。



 ドニスは魔物に殺された。

 魔物に人間が殺されるなんて、ごく一般的なことだ。 

 何せ、人間は万物の霊長としては君臨していない。 

 魔物の奴隷とまでは行かないが、はむかえば殺されるはかなき生き物なのだ。

 ドニスは賢い男だ。魔物に歯向かうなんてことはしない。ただ、ちょっと間が悪く、研究材料の草を拾いに森に入ったとき、腹をすかした魔物に食われてしまったのだ。普段は魔物に会うことなどない森だっただけに、不運な事故だったと思う。

 

 私はドニスの死を知った時、かなりの絶望に打ちひしがれたが、復讐などという軽率な行動をとろうとも思わなかった。

 そんなことをしても私の心を生めることはできない。

 私のぽっかりと明いた心の穴を埋めるには唯一つ、私と彼との共同研究である、魔道知能学の最終目標である、知能デク人形の完成が必要だった。

ドニスと一緒に行ってきたこの研究を完成させることが出来れば、私とドニスの思いは完成されたことになる。 

 しかもその成果として、私とドニスとともに作ったという子供を完成させることも出来る。


 魔道知能工学による知能を持ったデク人形の完成は世界的に超貴重なものになるのだが、それ以上に私は個人的な理由によって研究を進めていた。

 そして、私の信念は、ドニスの天才的知能のそれを超えるまでにいたった。

 この学問、魔道に知識を植えつけていくという人の力を超えたものを作る力は、言わば、人の守護者である神を冒涜する研究内容もしだいに含まれるようになる。 生物解剖だ。 もちろん、人間や魔物もそれには含まれる。

 こんな世界だ。 死体などいくらでもあるし、自殺志願者も募れば容易に研究に手伝ってもらうことが出来た。

 私は闇の世界とはいえ、人道を外れる研究をし尽くしてきた。

 そして、闇の力を求めていくうちに、私はこの研究自体に魅入られ、最初の理由であるドニスのことは薄れ掛けていた。

 今の私の研究心は、ドニスとのものではなく、私の内なる欲望の賜物であると思える。

 内からあふれてくる欲望を抑えることなく広げてきた私は、圧倒的才能を開花することが出来た。

 しかし、それは同時に、今の魔力と財力では研究を先に進めることが出来ないことを私に知らしめさせられた。



 そこで、魔王城に足を運んだ。

 私の欲望、闇に染まったこの欲望を持ってさえすれば、魔王に気に入られる自信はあった。

 魔王城に着き、謁見の間に通された私には、何らかの魔法がかけられて、試されるようだ。

 なるほど試すということなら、大体どのような魔法なのか想像はつく、私の思いを断ち切れるものだとは到底思えないが、甘んじて受けてみるとしよう。

 

 

 

 こんにちは、メイです。

 前回に引き続き、今日は魔王様に謁見を行ったファイオスさんのお話です。

 

 魔王様は基本、魔王様の影に謁見を行わせています。 

 魔王様ほどの力をお持ちの方は自分の分身(影)を何体も作ることなど造作もないことなのです。 

 影も影で思考能力がありますし、意思もあります。 

 影の判断で、訪ねてきたものに力を与えるか、与えないかを決めるのが基本です。 

 でも、本当にすごい能力の持ち主で、臨む力も尋常ではないと、影には手に負えないほどにすばらしい方がこられる場合もあります。 その場合は、魔王様が直接出向くことになるのです。 

 

 今回のファイオスさんもそのような流れになる感じでした。 

 まずは最初に魔王様の影と話をすべく、謁見の間までお連れします。 

 今日、私は別にしたいこともなく、暇だったので、竜さんに運んできてもらったファイオスさんを謁見の間までお連れして、魔王様の影との話の内容でも聞こうかなどと思っていました。



 魔王城の竜ポートにファイオスさんをお連れした竜さんがおりてきます。

 私はファイオスさんの手をとって、お迎えしました。


メイ「こんにちは~♪」

ファイオス「!?どうも。 あなた、人間?」

メイ「はい☆この魔王城でメイドをしているメイと申します。今日は魔王様の謁見の間まで案内させてもらいますね。」

ファイオス「魔王城に人間、・・・以外ね。」

メイ「そうですね~、この魔王城に人間は私ともう一人しかいませんよ。」


 私とファイオスさんは謁見の間まで話をしながら歩きました。


ファイオス「それにしてもこの魔王城、恐ろしい魔力ね・・・。 ここにいるだけで、闇に解けてしまいそうだわ。 あなた、よく平気ね?」

メイ「あ、私のことはメイって呼んでくださいね。 ん~、そうですね~私もすごい魔力を感じますけど、もう慣れちゃいました。」

ファイオス「これだけの魔力が充満している城なら、相当レベルのでく人形が動きそうね・・・・。メイさん?この城にデクはいるのかしら?」

メイ「もちろんいますよ☆デク人形さんたちがいないと、この城での雑務は全然間に合わないですから。皆さん一生懸命お仕事してくれるんで、私は毎日楽ばっかり出来ちゃうんです。」

ファイオス「そうよね・・・・。」


 謁見に来た研究者の方とは何回かお話させてもらったことはありますが、どの方もかなり自分の研究に熱心な方ばかりです。 話を進めると必ず自分の研究の話だとか、それの参考になるのではないかだとかの方向に話しが流れて行きます。 というのも、この魔王城の魔力を感じた研究者さんたちはそろって、この力に魅入られ、是非とも力が欲しくなるからだと思います。 


メイ「着きましたよ。ここが魔王様との謁見の間です。 一応、粗相がないように気をつけてくださいね。 もし魔王様の怒りに触れちゃったら次の瞬間にはこの世に存在しなくなっちゃうかもしれません。」

ファイオス「私の研究にはもっと魔力・・・力が必要なの。こんなところで失敗するわけには行かないわ。」



 私が謁見の間の扉を空けます。 

 結構大きな扉で、開けるのには力が必要なんですが、私前に話したとおり、ある程度強くて、力もあるので、難なく開けることが出来ます。



 ゴゴゴゴゴ


 

 石で出来た扉のすれる音がします。

 何でこんなにすれる扉になっているのかというと、設計ミスではなく、雰囲気を出したいからだそうです。(謁見の間の書記の竜人マイセルさんの情報)魔王様はたまにそのようなことに気を使う傾向があるみたいですね。



メイ「魔王様、今日の謁見者、ファイオスさんをお連れしました。」

マイセル「メイさん、ご苦労様です。今日は謁見を拝見なされますか?」

メイ「はい、隅っこから見させてもらいますね。」



 謁見の間には魔王様の影と竜人マイセルさんだけがいます。 

 部屋は結構広くて、兵士の人形だとか、赤い絨毯だとかで雰囲気は抜群です。 

 少し階段を上った位置に魔王様の椅子があり、そこに魔王様の影は座っています。 

 ファイオスさんは少し前へ出て、階段の2メートルほど前でとまります。この辺の流れも私がここまでつれてくるときにお伝えしておきました。  


マイセル「では、本日の謁見者ファイオス。あなたのお話をお聞きしましょう。」

ファイオス「はい・・・・・・・。」


 正直、ファイオスさんはやる気と才能がある方です、 

 私にでも分かりました。 

 その瞳に宿る自分の作るべき道への終わりなく探究心に燃える力、それは誰にも折ることの出来ない強力なものであると。

 さて今回の謁見、どのような流れになるのでしょう?




 おひさしぶりです。

 メイです。


 もう、勇者のお話が始まったと思ったら、一向に話が進まないし、進んだと思ったら風呂敷が広がっていく一方なんですから、私の出番なんてもうないのかと思っちゃいました。

 違います。

 このお話は、あくまで魔王様が世界を統治した後のお話なんですよ。

 前までの滅亡暦2年とかそんな昔話のことなんて、私にしてみれば歴史のお勉強でしかないんです。

 そう、今はあの頃からしたら未来。滅亡暦355年です。

 魔王様の世界が始まってから355年たった、とても闇の魔力で安定した世界なんです。

 こう言ってしまったら、もう前までのお話なんて聞かなくても結果が分かっちゃいますよね。

 そう、勇者ユヒトは世界を魔王様から救うことが出来ません。

 ライスもなんか,酷いことになっちゃうような、ならないような・・・そんな感じのお話だったと思います。


 昔話ばかりしていても仕方ないので、今回は、時間を私の時代に戻します。

 安定した今の闇の世界。

 闇の世界で言う安定とは光の世界からしてみたら不安定なものかもしれませんね。

 いうなれば、欲望と欲望のぶつかり合いが常日頃の世界なんですから。

 とは言っても、魔物さんたちのような戦闘意欲の高い欲望から、人間達のような3大欲のような基本の欲望まで、思いにもいろいろなものがありますので、一概に世界は戦闘のみで成り立っているわけではないんです。

 そう、魔王様は別に戦いの世界が好きなのではなく、闇の魔力があふれてくる世界を好んでいます。

 ですので、一概に荒れているというわけではないんですね。


 魔王様が一番嫌っていたことは旧世界のような、自分の保身に力を入れて、安定を追及する人間世界のやり方でした。

 ある意味闇の魔力を持っていそうな感じもしますが、これは間違いなく光属性です。

 世界全体を見通して和平を望もうという思考こそが光属性なんです。

 それに対してやみ属性の思考というのは回りは見ないで個人の意思を押し通すことに重要性があります。

 こういう闇の属性の世界になってから、世界では自分のやりたい欲望を率直に見つけてそれを追求していく天才肌の人の直出が目立ち始めました。 

 魔王様はこのような欲望に燃える者は、人でも魔物でも非常に好んでいますので、燃える意思を持つものは魔王城まで出向いてくるようにお触れを出しています。


 普通の人は魔王様を恐れていますので、中々出向いては来ませんが、本当に自分の欲望に忠実で、力に自身も持っている人は魔王城まで足を運びます。

 この城に使えている魔物さん達の半分はそんな感じだったと思います。

 皆さん強いので、もっと強くなりたいという意思を込めてこの魔往生にやってきました。

 そして、気に入られた魔物さん達はここで暮らしたり、魔王様に無謀にも挑んだ魔物さんとかはあっさりと殺されてしまったりもしました。 

 そんな感じの方が魔物さんたちには多いのですが、人間で魔往城にやってくる人もいます。

 そんな人は大抵が研究者関係です。

 

 化学だったり、科学だったり、魔法学だったり、とにかく何か発明をしたくてもっと力を欲している人が魔往城にやってきます。 

 そうですねぇ、一ヶ月に一回くらい人間がやってきます。

 そのうちの9割方が研究者で、残りの1割くらいが新たに生まれた勇者だったりします。

 そう、世界制圧の後に現れた第1勇者、ユヒトの後にも、念に一人くらいは新たな勇者が生まれてきます。

 世界に闇の力があふれている代わりに、光の力は全て勇者に注がれ続けていますが、あいにく魔王様は強すぎるので、全てあしらって終わりです。

 正直初代ユヒトを超える勇者は現れていないのではないでしょうか?

 もちろん私は昔話で聞いただけですので、よく知らないのですが、相当強かったと聞いています。

 魔王様も、倒すのには苦労したのではないでしょうか?その辺の詳しいところは昔話には載っていないので、わからないんです。

 

 

 とまぁ、話し外れ始めたので元に戻しますが、今日も一人の研究家が魔往城へ出向いてきました。

 魔王城までの道のりは別に厳しくないです。 

 正直、世界は全て魔王様の敷地のようなものです。

 魔王様に話があるという手紙を魔王城まで送れば、約一ヵ月後に使いの竜が迎えに行きます。

 それに乗ってくればいいだけです。


 その辺の雑用は誰がしてるのか気になります?

 その辺は全部デク人形に魔力が加えられた雑務人形がこなしています。 

 魔王城の魔力は恐ろしく充実していますので、この雑務人形は魔力の充電なしでも働き続けてくれるんです。 

 私が掃除とかしなくてもいい理由はその辺に会ったりもするんです。

 迎えに行く竜は飛ぶのが趣味みたいな竜が志願を出してやってたりします。

 この竜たちは若干仕事みたいな感じですね。竜たちは全然いやな感じでやってませんが、魔王様はこの不当な手配に気を使って、竜たちに結構な力を与えているみたいです。



 話が進みませんね。

 今日やってきたのは、魔学者でした。

 魔学者のファイオスさん。

 彼は、魔道知能学の魔学者で、デク人形に心をつけるための研究をしています。

 魔王様は訪問者に対して話を聞いて力を与えるか、馬鹿らしいと思って帰ってもらうか、どちらかを行います。

 今回はどんな感じになるのでしょう?



 相変わらずライス・ユビリアンが語り部だぜ。


 勇者ユヒトと、魔王カイサー・フェルティスが対峙した。

 この二人、のに各会話が少なすぎる。

 発せられる言葉から予想することはできるが、如何せんもう少し話をして欲しいと思ってしまうが、正直今はそれどころではない。

 なんせ魔王なのだ。

 俺達人間の最大の敵が目の前に来ているが、俺との力の差は圧倒的。

 正直すくみ上がってしまっている俺には二人の間に入り込む余地などまったくありはしなかった。


ユヒト「無理がある・・・」


魔王「わかっているようだな」


 ユヒトの発言から、魔王にかなわないことは分かっているようだ。

 俺の創造していた勇者像は、たとえかなわない相手でも、くらいついて戦っていく姿を想像していたが、ユヒトはそうではない。

 俺の客観的な捕らえ方だが、ユヒトは冷静に分析して、目的達成までの道をしっかり組んでいく冷静なやつに思える。

 資質としては勇者ではないが、奇麗事では魔王は倒せないことは俺もわかる。

 正直、それだけ圧倒的な力を持っているのが魔王なのだから。

 

ユヒト「まだ仕掛けてこない・・・。他に狙いか?」


魔王「フ・・・・ 察しがいいな」


ユヒト「・・・・手のひらの上で、遊ばれるわけには行かない」


魔王「そう、言うな。」



 ユヒトは魔王の目論見が分かっているのだろうか?

 俺には何が言いたいのかさっぱり分からなかったが、どうやら魔王がすぐに戦闘に入らないところを見ると、どうやら、魔王の目的は勇者を倒すことには無いらしい。

 何故だ?

 勇者など、すぐにでも叩いておいた方が、後々力をつけてきた時に厄介にもなる。

 そう思っていると、ユヒトは俺に話しかけてきた。


ユヒト「ライス、逃げるぞ!!」


ライス「!」


 

 ユヒトは俺を連れて逃げてくれるのか?

 魔王討伐の目的のために、俺が必要になると思ってそうしてくれたなら、それは嬉しいことだが、実際にはそうではなかった。

 魔王の目的は、勇者の隣人となるべき存在、俺だったらしい。

 そんなことはこのときの俺には創造できない。

 しかし、魔王は全てを見抜いていた。 後々になって重要性も持つ人物が隣人であることを経験から理解していた。

 いや、そうなのか?

 そこはまだ触れないでおく。


 

 ユヒトは俺の手を引き、フェニックスの翼を広げて空へと逃げに入ったが、魔王からそうやすやすと逃げられるわけは無い。

 一瞬にして回り込まれた。

 魔王の移動の仕方は異様だった。

 闇の中へと魔王の姿が消えたと思うと、俺とユヒトの前に闇の空間が現れ、現れた姿は手をかざした姿だった。

 その姿を見た瞬間に俺は魔王の呪文にかかっていた。

 既に俺の体の周りには闇の魔気が覆っている。ユヒトと手をつないでいるので、光の緩和がありそうに思えるが、それは微塵でつながっている右での手のひらほどのものでしかない。

 俺の右手の手のひら以外は魔王の魔力で覆われ、呪文を唱えられるだけでよかった。



魔王「ドゥル」


ユヒト「・・・!!呪いか!!」



 俺を覆っていた魔気が体の中に入っていく。

 ユヒトが言うように、呪いならひどい事になるのではないか?

 しかし、もう呪文は終わっている。

 俺は何が起こるのか恐怖していたが、特別何か起こったわけではなさそうだ。

 まだ俺が気づいていないだけなのか?



ユヒト「魔王・・・・何をした?」


魔王「・・・・フ その時まで待つがいい」



 ユヒトも俺にどんな呪いがかかったかまでは分からないのか?

 とにかく、魔王は目的を果たしているようだ。



魔王「ライスとか言う青年よ、勇者とともに私を追ってくるがいい。・・・・フ」


 魔王は闇の中へと消えていく。

 おそらく消えれば、追いつくことは出来ないだろう。



ユヒト「待て、魔王!!!」



 とは言いつつも、ユヒトは何も出来ないままだ。

 叫びはむなしく、魔王は闇の中へと消えていった。


 ユヒトと俺は、山へ降りていった。

 魔王の前に、むなしく何も出来なかった俺達は立ち尽くしていた。

 


ライス「なぁ、ユヒト、俺にかかった呪いは何なんだろうな?」

ユヒト「変化は?」

ライス「変化?体の変化のことか?・・・・ん~、得にねぇな。」

ユヒト「・・・・・。」

ライス「何、気にすんなよ!!俺はどうなっても、死んでもかまわねぇからよ!!」

ユヒト「・・・・。そう、簡単じゃない。 魔王が直接出向いたこと。」

ライス「・・・・・・。ム、確かにそうだな。俺ごときを殺すためにわざわざ魔王が出向いてくるとは思えねぇ。殺すなら、ユヒトを殺した方がいいしな。」

ユヒト「そう・・・・。後天的に何か影響、出てくる。 俺を殺す以上の。」

ライス「・・・・・。」

ユヒト「いっそ、殺すか・・・・。」

ライス「!!!お、俺を殺して、チャラにするって言うことか!? ほ、本気かよ!!」

ユヒト「・・・・・。」

ライス「・・・・・。」

ユヒト「・・・・・。やはりしない。 単純じゃない。 殺して、俺にかかる何かがあるはず。」

ライス「そ、そうか・・・。」




 一瞬マジで俺の命もここまでかと思ったが、何とか大丈夫なようだ。

 それにしても、俺にかかった呪いっていったい何なんだ?

 魔王がここまで出てきてまで俺にかける呪い。

 ユヒトが言うには後天的にひどい災悪をもたらすらしいが、それが何なのかもよく分からない。俺がそのうち化け物にでもなるって言うのか?そんなことなら俺を殺してしまえばいいが、ユヒト曰く、おれを殺したら殺したで、光の属性を持つユヒトが何の抵抗も無い俺を殺すということは闇の呪いの影響をもろにユヒトが引き継ぐ可能性が高いらしい。呪い系の呪文にそのような二重三重のトラップを仕掛けるのは魔王にとって当たり前らしいのだ。

 なので、俺はユヒトに殺されずにはすんだ。

 

ユヒト「ライス。」

ライス「オウ!!」

ユヒト「お前の行動、俺が見る。 一緒に行くぞ!!」

ライス「・・・・・!!分かったぜ!!!」



 こうして、ユヒトは俺とともに行動をはじめることになる。

 俺はユヒトの仲間ではなく、いわば最悪が出始めた初期にその解決策をヒユトが見つけるために同行するのだ。

 魔王城への道のりは長く険しいものになる。なにせ、ユヒトは魔王の力に遠く及ばないと自覚しているからだ。

 何かしらの力をつけた後に、魔王と対峙する必要があった。

 俺とユヒトの冒険の話は、また語る機会があれば語るとしよう。