こんにちは、シャルなの。


これは小説、「魔王の何とやら」なの。

横でやってる4コマ漫画とはあまり話はつながってないの。

でもそんなことはあまり気にしなくていいの。

では、前回までのあらすじからいくの。



シャルは魔王城に住み着く小悪魔。

小悪魔は精神的存在のようなもので、人から姿を見られることはありません。

小悪魔の存在理由、それは人や魔物に悪い意志を伝えることにあります。

世の中の生き物たちに悪い思いを広めること、それが小悪魔の役目なのです。

そうすることによって、世の中はより悪い世界になり、小悪魔たちの数も増えてくることになります。

どのようにして小悪魔が増えてきているのかはわかりませんが、とにかく小悪魔たちは悪意を伝えるという使命に燃えています。


新米小悪魔のシャルもそのうちの一人。

今まで頑張って魔物さん達に悪い意志を伝えようとしてきましたが一向にうまくいきません。

それもそのはず、シャルはまだ生まれてまだ一ヶ月程度しか経っていません。

生まれたてのシャルにとって悪い意志を伝えることはとてむ難しいことなのです。



ある日、シャルはいつものように悪い意志を伝えようとしていましたが、また失敗してしまいました。

そこに現れたのが同じく小悪魔のバイザー先輩。

バイザー先輩のアドバイスを聞いて、今度こそ成功させようとの気持ちで悪意を伝えました。


その悪意を伝えた相手が、魔王城にいる数少ない人間の一人、メイドのメイさんでした。

メイさんは普段からかなり適当な性格をしているので、シャルが今まで悪意を伝えていた魔物さんたちよりも伝えることは簡単だったのでしょう。

シャルは見事にメイさんに悪口を言わせることに成功しました。

そして、メイさんとその友達のデルさんが喧嘩することになりました。

かなり運がよかったとはいえ、シャルは今までにない成功を収めました。


小悪魔は悪意を伝えるとレベルがアップします。

初めのうちでも通常は10回くらいは伝えないとレベルアップしないのですが、シャルは何とメイさんにちょっと悪口を言わせただけで、レベルが4まで上がったのでした。


しかもそれだけでは終わりませんでした。

今回のお話はここからです。



続きまして、シャルの語りで続けるの。

メイさんとデルさんは喧嘩しちゃって、デルさんはどっか行っちゃったの。

私はレベルが上がったのはうれしかったんだけど、なんとも言えない感情に押されていたの。。。


シャル「バイザー先輩?」

バイザー「・・・・・なに?」


シャル「私たちは、どうして悪意を伝えるの?」

バイザー「・・・・?」


シャル「なんで、人を苦しめることを私たちはしているの?」

バイザー「・・・・・。シャル、まだあなたはそんなことを言っていたの?私にはあなたの言っていることがよくわからないわ。」


シャル「だって、何だか私達、悪者みたいな感じなの。」

バイザー「悪者?そんなわけないわ。私たちは生き物に悪意を伝えるための存在なのよ?その私たちが存在していくために悪意を伝える。これは魔物や人間たちが他の生き物を殺して食べるのと大して変わらないことなのよ?」

シャル「・・・・・・。」


バイザ-「シャル?あなたは余計なことを考えているの。わかるわね?」

シャル「はい・・・・なの。」

バイザー「わかったら頑張ってデルさんを探すのよ!」


バイザー先輩の言っていることはもっともなの。

私たちは生まれながらにして悪意を伝えようと活動しているの。

これは本能のようなものなの。

だから私が考えていることは本能に逆らっていると言ってもいいことなの。



そんな葛藤の中、私はバイザー先輩とは別々にデルさんを探していたの。



しばらく探していると、私は何かに誘われるようにふらふらとある部屋のほうに引き寄せられていたの。

そこは魔王様の謁見の間だったの。

何も知らずにドアを通り抜け、謁見の間の中に入って言った私。

そこにはばっちりデルさんがいたの。



デル「魔王様、お願いがあります。」



何やら真剣な空気が流れているの。

でも、私は何かに縛られるかのようにその場を離れられずにはいられなかったの。


そして、魔王様とデルさんの謁見が始まったの。


こんにちは、デルです。

これは小説「魔王の何とやら」です。

前回までの話は私とデルさんとが喧嘩してしまうというたわいもない感じの話です。

何故こんなことになってしまったのかというと、小悪魔が横でちょろちょろしているのにも原因はあるのですが、私の精神が不安定だったというところが大きかったのです。


メイさんは私が生まれてから出来た初めての友達であり、いまだに唯一の心許せる人でもあります。

誕生間もないのにもかかわらず、大量の情報を所有している私にとって、他の生き物たちは脅威でしかありませんでした。

私の持っている情報では他の生き物は、恐ろしい生き物たちばかり。

魔物は本能に従って破壊衝動を抑えることができず、人間は私利私欲のため表面の皮だけはいい感じにしている信用ならない奴らです。

私の方が力は強いかもしれませんが、いつ寝首をかかれるかもわからない奴らばかりです。。。


魔物に近い存在の私がそんなことを気にかけているのも不思議な話です。

ですが、何の目的も持たないまま生まれた私にとってあまりにも殺伐としていて、落ち着けない世界です。

そんな中、安らぎを与えてくれるメイさんの存在はあまりにも大きく、失いたくない人となっていました。


その人に私は少し前、魔力の暴走に伴って危険な目にあわせてしまいました。

一歩間違えれば死に至らしめてしたかもしれません。

そのこともあって、私は自分の魔力を抑えきれないことに恐怖していたのでしょう。

メイさんのちょっとした発言にも過敏に反応してしまう現在の私の魔力の不安定さ。

そして、魔力の不安定さからもたらされる精神のゆらぎ。。。


私はメイさんとの会話を続けることができず、逃げ出してしまいました。。。。



メイさんは本当に少し小悪魔に唆されていただけだったのだと思います。

そういう私も心に悪意が出ていました。

恐らく私もそうでした。

奴らのような脆弱な悪魔に影響させられてしまう程私の心は安定していないということなのでしょう。



デル「このままじゃいけないですね。。。。」


そう、このままじゃいけない。

今、私がここまで不安定になっているのは間違いなくドニスのせい。

私と物理的、魔力的に融合してしまっているドニスのせいだ。


ドニス「確かに、このままじゃいけないな。」



私とドニスはファイオスさんの研究所で融合してしまった。

何故かは私もファイオスさんも色々考えているが、推論の域は脱していない。

が、恐らく魔王様の魔力のせいだろう。

この強力な束縛力。間違いなく魔王様の力だ。

もともと魔王様の力で生み出されている私たち。

私たちがこの力の束縛から抜け出すには魔王様の力以上の力がいるということだ。


何度も融合から離脱しようと試みてはいるものの、成功していない。

やはり、この力から脱するには魔王様に頼んでみる他はないようだ。



さしたる問題もないのららもうしばらくこのままでよかったのかもしれない。

だが、メイさんとの少しの会話でここまで動揺してしまっている私がいる以上、これは避けては通れないものとなり、一刻も早く解決したい問題となっていた。


魔王様にお願いするということ。

それはそんなに簡単なことではない。

魔王城に住んでいる者でも関係ない。

魔王様に願いを聞いてもらうには謁見を開いてもらい、何らかしの結果をもたらしたうえでの認可をもらう必要があるのだ。


メイさんは何度か謁見の様子を私に話してくれました。

願いを聞いてもらえないどころか死んでしまう者も少なくないと聞きます。

ですが、私にはもうこれ以上このままのはがゆい感じを耐えることができません。


今日、魔王様に謁見のお願いを出す決意をしました。