こんにちは、メイです。

 シセルさんに晩御飯を御呼ばれした私たちは、シセルさんのお部屋に行くことになりました。


メイ「シセルさんのお部屋って、どの辺にあるんでしょう?」

シセル「地下ヨ~。 南塔の地下5階にあるの。」

メイ「南塔ですか。 あそこって確か・・・・」

シセル「そうヨ。 南塔は武道派の魔物さんたちが暮らしている塔ヨ~。 私って、よく強力な悪魔とかを召還しちゃうから、周りに強い方がたくさんいたら助かるの~。」

デル「普段から禄でもないものたくさん召還してるんですね・・・・。」

シセル「あら~、デルちゃん毒舌ヨ~。 そんなにひどいもんでもないのヨ、私の召還術~。」

デル「そうですか?」

メイ「デルはキュムに噛まれたから、結構心配してるみたいだね。」

デル「はい、それはあります。」

シセル「キュムちゃんだって可愛いじゃな~い?」

キュム「そうだっキー! ゴム人形にとやかく言われたくないっキ。」

デル「・・・・・・。馬鹿リス(ボソ)。」



 まぁ、たわいのないことを言いつつ、ぼちぼち歩いていると、南塔に着きました。

 私たちがお風呂に入っていたのは中央塔。 食堂やパーティー会場など、イコイの場としての施設がたくさんあるのが中央塔です。南塔はさっきも言ったとおり、魔物さんたちの宿舎、北、西、東塔と、魔王塔もありますが、今はまだ説明しなくてもいいでしょう。

 とにかく、南塔に着きました。



メイ「南塔に来るのは3回目くらいです。 地下なんてあったんですね。」

シセル「あら、そうなの? 南塔は確かに対して面白いところではないかもしれないわネ。」

デル「強力な魔物がたくさんいるんでしょうね。 魔王塔に次ぐ魔力が放たれています。 それと同時にかなりの闘気も感じられます。 威圧感がものすごいです。」

シセル「そうネ。 怖そうな方たちがたくさん住んでいるわ。 でも、私には皆さん優しくしてくださるのヨ!」

メイ「へぇ~~~、私と同じですね。」



 私も、魔王城に住む魔物さんたちからは、私が魔王様に目をかけてもらっているからかどうかは分かりませんが、優しくしてもらってます。シセルさんも魔王城に住む人間ということは、魔王様に目をかけてもらっているのでしょう。そういう意味で、魔物さんたちがシセルさんに優しいのだと考えていたのですが、シセルさんの本当の能力を目にしてからは、どうやらそれだけではないのだと言うことを理解することになりました。このときの私には知る由もなかった話ですが。



 私たちは、地下へと続くレンガで出来た螺旋階段を下りていきました。

 地上は魔物さんたちの宿舎ということでしたが、地下はどうも雰囲気が違います。

 階段から地下の各階を少しばかり見ることが出来ましたが、どうも、誰かが住んでいるというような感じではありません。

 何やらよく分からないものが散乱していました。


メイ「地下には誰か住んでいるわけじゃないみたいですね。」

シセル「そうネ~。 地下1階から地下4階までは私の召還の実験場なの。お供えのものとか、魔方陣がたくさん書いてあったでしょ~? 結構ああいうの準備するのって大変なのよね。 だから、一々作り直すのもめんどくさいから、そのままにしてほってあるの~。」

メイ「そうなんですか・・・・・。」



 と、いうことは、魔王城の南塔の地下1階から地下5階までは全てシセルさんのものということになります。

 魔物さんでもこんなに大量の敷地を使っている方はいないと思います。 

 それだけ、シセルさんの実力が評価されているということなんでしょうか・・・?



シセル「やっと着いたわヨ。 私のお部屋にようこそ~~~!!」

メイ「おじゃましま~す☆」

デル「失礼します。」


 お風呂場からシセルさんの部屋までは結構な距離がありました。

 40分くらい歩いたと思います。

 私たちの歩く速度はそれなりに速いので、本当に遠いと思います。 シセルさんも良くあんな遠くのお風呂まで来たなぁ、と思いました。


メイ「あれ、意外と片付いていますね。」

シセル「あら、メイちゃん、意外とってどういう意味かしら~?」

メイ「あ、す、すいません☆」


 シセルさんの部屋はもっとごちゃごちゃしているものかと思いましたが、本当に片付いていました。

 10条くらいの部屋で本がたくさんあって、部屋の中央にはコタツがありました。

 本もそんなに散らかっていません。


メイ「結構たくさん本がありますね。 この本で召還の勉強してるんですか?」

シセル「ウフフ。 この本はね~、実は全部私が書いたの!!」

メイ「え? 召還の本ですよね、この本、全部ってことは・・・・。」

シセル「ウフフ。私の召還は全て我流なのヨ~~。 私が召還実験した成果をまとめてあるの~~。」

メイ「す、すごいですね・・・・。」

デル「本当にすごいです。」



シセル「まぁまぁ、いいじゃない?本のことは。 それより、晩御飯にしましょう。」


 そうです。晩御飯です。

 正直、私はシセルさんが書いたという本の量を見て本当にすごい召還士なんだなぁと感心しました。

 それと同時に、食料など何もない部屋で、一体何を出してくれるんだろうと、とても期待していたのですが・・・・。 





siseru

↑ シセル(と、キュム)


 こんにちは、メイです。

 私とデルがお風呂に入っていると、召還士のシセルさんと出会いました。

 まだ会ったばかりでよく分かりませんが、色々と秘密がありそうな人です。


 お風呂でシセルさんは、なんか適当に召還してデルにその魔物をプレゼントしました。

 キュムとなずけられたその魔物は見た目は可愛くて、シセルさんにはとてもなついているみたいだったのですが・・・・。



シセル「はい、デルちゃん、キュムちゃんを可愛がってあげてネ。」

デル「は、はぁ。」


 シセルさんに抱っこされた魔物をデルが受け取ろうとしますが・・・・・


キュム「キキーーーー!!」


 魔物はデルに噛み付きました。


デル「イタ・・・・な、何ですか、この魔物は。」

シセル「あら~、おかしいわねネ~。 こら、キュムちゃん、おいたしちゃダメでしょ!!」

キュム「キキー!! こんなゴムくさいやつに抱っこされたくないっキ!!」


 魔物はデルをにらみつけてそう言い放ちました。

 つか、しゃべれるのかよ!!


デル「い、いりません。 こんなの。」

シセル「あらあら~~、そ~お? じゃ、残念だけど、キュムちゃんは帰ってもらえる~?」

キュム「キキッ!!プイ。」


 キュムはそっぽを向いています。

 どうやら帰りたくないようです。

 ていうか、あんたシセルさんになついてたんじゃないのか?


シセル「キュムちゃんたら、久しぶりに召還されたもんだから、こんなにすぐに帰るのは嫌だって言ってるわ。 どうしましょう。」

メイ「う~、そもそも何でこんな子召還したんですか、シセルさん。」

シセル「え~と、私の自己紹介をするにはね、召還を見せてみるのがいいと思ったのヨ。 だから~。」


 なんて適当な人なんでしょう。

 この人なら、気分しだいでとんでもないものを召還してしまいそうな気がします。

 秘密がありそうとか、二年間も動けなかったとか、結局この適当な正確に由来しちゃいそうな気がしてきました。


キュム「キキ!!」


 私のほうを見たキュムは突然私の胸に飛び込んできました。

 私はこれがどういうことかを理解しました。なんということでしょう、漫画でよくありがちなことですが、人間ではない生物が人間の胸を好むとか、人間の女の子を好むとか、そういうキャラとして、置かれているのが今の状況のようです。


メイ「なに!! ちょっと、くっつかないでよ!!」

キュム「キキ~~!! ネ~ちゃん、気に入ったキ!! ペットにしてくれ~~!!」

シセル「あらあら、メイちゃんのことは気に入ったみたいヨ。」

メイ「どうやら、そう・・・・みたいですね・・・・って、くっつくな~~~!! 」

シセル「メイちゃん、可愛い子は嫌いなの?」

メイ「そ、そういう分けじゃないんですけど・・・・・。」

キュム「キ~~、幸せキ~~。」


 キュムは私の胸に顔を押し付けまくりです。

 魔物さんたちとの交わりもあったりする私ですので、ゲテモノ系は別になんとも無いはずなのですが。

 どうやらキュムの調子に乗っている性格が気に入らないという感じです。

 キュムの首をつかんで胸元からポイッとしてやりました。


メイ「こら、キュムちゃん!! ペットになりたいのなら、それ相応の態度でお願いしてもらわないと、すぐに捨てちゃうから!!」

キュム「!!! そ、それは勘弁ッキ~~。」

シセル「ほらほら、キュムちゃん、ちゃんとお願いしたらメイちゃんがペットにしてあげるって言ってくれてるわヨ。」

キュム「・・・。メイさん、ペットにしてください、お願いします。キ~~。」

メイ「ふぅ、仕方ないわね。ね、デル?」

デル「・・・・・。 私は世話しませんよ。」

キュム「!!!俺もゴムなんかに世話してほしくないっキ!!」

メイ「・・・・・。」


 

 なんか、話もまとまらない感じなので、私たちはお風呂を出ることにしました。

 

メイ「あ~、長いことはいってたなぁ!!」

デル「ざっと1時間半はいましたね。」

シセル「あら、そうだったの? ごめんネ、私のせいかしら?」

メイ「そうですけど、気にしなくていいですよ☆」

シセル「そう? だったら気にしないわヨ。」


 服を着替え終えて、時間的には夕食の時間です。


メイ「あ~、おなか減ったなぁ。」

デル「夕食の時間ですね、今日はどうしますか?」

メイ「う~ん・・・。」

シセル「メイちゃん、デルちゃん、夕食決めてないなら、私のお部屋に来ない? おいしぃの、出してあげるわヨ。」


 魔王城での食事は食堂で取るか(デク人形が作ってくれます)、自分の部屋で食べるか(デク人形が運んでくれます)、魔法で適当に何とかするか、が大体の方法です。

 シセルさんが誘ってくれるということは、魔法、しかも召還で何とかしてくれるということでしょう。

 私たちは料理の達人でも召還してくれるのかとかいう、甘い考えでシセルさんの提案に乗ってしまいました。



 

 こんにちは~、メイですよ☆

 さてさて、今日は一日いろいろあったので、まぁゆっくりとお風呂にでも入ろうって話になったわけです。

 魔王城のお風呂ってば、広くてゆったり出来るもんだから、ついつい長湯になっちゃうんですよね。

 デルもなんか思い悩むことがあったみたいですけど、とりあえずは置いておこうという流れになりました。



デル「誰か入ってきたみたいですよ。」

メイ「あ、ほんとだね。」



 お風呂に誰か入ってきました。

 このお風呂は混浴なので、誰が入ってきてもおかしくありません。

 魔王様もお入りになられるのでしょうか?

 もし、魔王さまだったらどうしよ~~!!(*・_・)ヨ!!


メイ「フフフフフ~~。」

デル「ど、どうしたんですか、メイさん、不気味ですよ」

メイ「え~、だって~~、フフフ~~~」


 私はなんともにやけた顔でいたのですが、当然のごとく入ってきたのは魔王様ではありませんでした。

 魔王様ではありませんでしたが、私としてはちょっと以外な人です。

 

???「あ~~~、メイちゃんじゃない~~?お久しぶり~~」

メイ「フフ・・・・あ、あれ、魔王様じゃなくて、あなたは・・・・・シセルさん?」


 お風呂に入ってきたのは私以外にもう一人だけ魔王城にいる人間、シセルさんでした。

 シセルさんとは2年ほど前に始めて会って以来会っていないませんでした。


シセル「そうヨ。シセル。 よく覚えてくれたね~~。」

メイ「シセルさん、2年ぶりですね。しかも会うの二回目だし・・・。 魔王城にずっといたんですか?」

シセル「いたわヨ~~。 でもね、ちょっと動けない状態にあったの~~。」

メイ「はぁ。」


 私も良く覚えていたものだなと思いますが、魔王城にいる私以外の唯一の人間なんで覚えてました。

 彼女はシセルさん。 何で魔王城にいるのかは私は良く知らないのですが、とにかく年齢にそぐわない容姿なんです。

 身長は120センチくらいしかなくて、見た目は幼稚園から小学校一年生くらいの女の子。

 なのに、私よりも年上だって言うので驚きです。実際の年齢は教えてもらってませんが。


シセル「あらら~~? その子は始めてヨ。 どなたかしら?」

メイ「あ、この子は、」

デル「デルです。 はじめまして。」

シセル「はじめまして~~、シセルヨ。 デルちゃんは悪魔さん?」

デル「はい、そのような感じです。」

シセル「そっか~、そうヨね~。 悪魔そのものって感じじゃないわネ。」

デル「はぁ・・・・」

シセル「お近づきの印に、この子、どうかしら?」


 シセルさんは、不意に指をくるりと回しました。

 指の先から放たれた光が空中に魔方陣を司り、魔方陣は浮いています。

 

メイ「え、魔方陣? さっきの一瞬で? まさか・・・・」

シセル「あら、メイちゃんにも言ってなかったかしら~?私って、召還士(サモナー)なの~。」


 シセルさんが描いた魔法陣からリスにこうもりの羽が生えたようなよく分からないけどかわいらしい魔物が出てきました。


魔物「キキーーー!!」

シセル「あらあら、出てきたのね~。 いい子ね。」


 シセルさんは出てきた魔物を一瞬で手なずけていました。

 こんなかわいい魔物なので、手なずけるのはそれほど難しいことではないように思えますが、驚くべきことは人間で召還士がいたということです。 召還魔法のメリットは自分より強い悪魔などを呼び出すこととなので、普通自分の何かをささげないといけません。それは魔力であったり、体であったりしますが、人間でそれを行ってしまうとすぐに精根尽き果ててしまうものだと聞いています。 身近な存在にこんなヒトがいるなんて、驚きです。


 それにしても、2年間も動けない状態にあったということは、彼女が召還士だということに何か関係ありそうです。

 いい加減長湯になりすぎてのぼせてきてますが、彼女に興味がわいてきました。


シセル「あなたの名前はね~~、キュムちゃんヨ!! はい、デルちゃん、キュムちゃんを可愛がってあげてネ。」

デル「は、はぁ。」



 シセルさんはデルに魔物の子供をペットとしてプレゼントしたみたいです。

 自分で勝手にペットを出してヒトにあげるなんて、結構強引な人なんですね。



mei

 ↑メイのイメージ


 こんにちは、メイです。

 私とデルは魔王城に帰ってきました。


 何となく疲れたので、私とデルの部屋に戻ります。


 私たちの部屋には、ベットが2つ、等身大の鏡が1枚、後はメイド服が大量に入っているクローゼットがあるだけで、ほかには何もありません。でも、壁の色はピンクにしてます。デルが来たときに何となくそれまでのねずみ色の壁も暗くて嫌だなーと思ったので、一緒に塗りなおしたのでした。デルは飛べるので高いところも楽に塗れるしね☆


 それで、まぁ、私たちは部屋に戻ってきたわけです。


メイ「あ~、ちょっと疲れたな~。」

デル「そうですね、私は服もボロボロになってしまいましたし。」

メイ「あ、そうだった!!デルってば戦闘して服、泥だらけになってるんだったね? お風呂入る?」

デル「そうですね、では、泥を落としてきます。」

メイ「まって~!私も一緒に行くから☆」



 魔王城にもお風呂はあるんです。

 風呂場の湯沸し、掃除はもちろんデク人形君たちがやってくれてます。

 老若男女、魔物も含めて全て混浴のお風呂ですが、慣れてしまえばどってことありません。

 魔物さんたちも、人間の女の裸なんてほとんど気にしないんです。(気にする方もいますが)


 部屋で着替えを用意して、私とデルはお風呂場へ向かいました。

 風呂場はとっても広いんでお気に入りです。


メイ「着いた着いたっと☆」

デル「入りましょう。」


 デルはするすると着ていたボロボロの服を脱いでいきます。

 デルの体はもともとはデク人形なので、関節とかの細かいところを見ると若干人形くさいです。でも、体の大部分は人口樹皮で覆われているので、ぱっと見人間、というか黒い羽が生えているので悪魔にしか見えません。

 私はすでに何度か一緒にお風呂に入っているので、別に気にすることも泣く自分の服を脱いでいきます。

 私の服も今日一日動き回ったせいで泥だらけです。 入れておけばかってにデク人形君達が洗ってくれる洗濯物かごに服をほおりこみました。



メイ「行こう☆デル☆」

デル「メイさん、そんなに急かなくてもいいですよ。」



 私はデルの腕を引っ張ってお風呂に向かいました。

 デルの言うとおり、そんなに急く必要は無いのですが、風呂場を目の前にすると何となく気分が良くなってはしゃぎたくなるものです。風呂場の扉をがらりと開けると、誰の姿も見えません。どうやら今は貸しきり状態みたいですね。

 敷地面積は25メータープールほどはある温泉が貸切です!

 私はさらにテンションが上がって、デルの手を引っ張りながら湯船のほうまで走っていきました。


メイ「デル!!貸切だよ!!すっご~~い☆」

デル「分かりました、分かりましたから、メイさん、そんなに引っ張らないでください、こけますよ!!」

メイ「デルちゃん~?そんなに冷めてちゃダメだぞ~~!!お風呂の蒸気で心から熱くなるのだ~~!!」

デル「や、やめてください、ちょ、ちょっと・・・!!!」


 ザパーンとデルを湯船の中にほおりこんでやりました。

 もちろんデルだって本当に嫌なら少し力を入れれば抵抗できるはずなのに、やらなかったってことは、本当ははしゃぎたかったんだね☆遠慮すること無いのにさ☆


メイ「私も入る~~~☆」


 私も湯船に飛び込みました。

 なんか、私一気に子供に戻ってますか?

 いいじゃないですか、たまには八茶けますよ?私もw



メイ「はぁ~~~、気持ちいい~~~。」

デル「確かに気持ちいいです。 こんな魔力も持たないただのお湯にこれほどの効果があるとは何とも不思議なものですね。」

メイ「そうだね~、すごいね~~。」

デル「ふぅ~~~~~。」



 私とデルはしばらく湯船でボーっとした後、今日のことを話し始めました。

デル「メイさん、ホワイトのこと、どう思いました?」

メイ「勝手なヒトだよね~~~。私は好きじゃないかな。」

デル「でも、あのヒトは魔物の本来の特性を顕著に表しているヒトだと思えます。」

メイ「う~ん、そうかもしれないけど・・・。」

デル「私はいまだに何故、彼に怒りが沸いてきたのかわからないのです・・・。 もしかして、本当にホワイトが言うように、私が戦いを望んだ結果の思考なのでしょうか?」

メイ「私も、そうなのかな~、なんて一瞬思ったんだけど、違うと思うんだよね。」

デル「何故、そう思うのです?」

メイ「う~ん、ただの勘なんだけどね。」

デル「勘、ですか・・・・。」

メイ「そう、勘だよ。 でもさ、一番一緒にいて、デルのこと結構分かっているつもりの私が言う勘なんだからさ、きっとあってるよ☆」

デル「・・・・・・そう、ですね。 そうです!! メイさん、私もそう思えました!!」

メイ「でっしょ☆ だからさ、今日のことは余り気にしないでおこうよ。」

デル「そうですね。 私も、それが良いような気がしてきました。」



 こんな風に簡単に片付けてしまっていい問題だったのでしょうか?今日の問題。

 本当は、もう少し重大なことになるのではないかと思えてしまいます。

 でも、デルは今日ちょっとへこんでました。

 私は、そんな本当の答えよりも、デルが落ち込まないでいてほしいと思ったので、こんな感じに話は流れていきました。

 私って、こんなにほかの人のことを思える人間だったのかな?

 自分の中でも、変わった自分が見えてきた気がする今日でした。




 でも、思考の堂々巡りにも疲れちゃったので、今はしばし、お風呂でぽか~んとすることに決めました。 


メイ「はぁ~~~~、し・あ・わ・せ~~~☆」

デル「ふぅ。 あ、誰か入ってきたみたいですよ。」



 誰か入ってきました。

 こんにちは、メイです。

 魔物のホワイトさんとデルがマジバトルを開始してしまいました。

 それで、しばらく戦いが続いた後、ホワイトさんの大技がデルに当たってしまったのです。

 ああ、デルは大丈夫なのでしょうか・・・・?



メイ「デル・・・・・・・。」


 あたりはホワイトさんから放たれた強烈な魔法のせいでまだ目が開けられないほどの光が放たれています。

 ホワイトさんは大技を当てたということで、とりあえず様子を見ようというのでしょう、追撃の感じはしません。

 10秒ほどたってやっと辺りが見えるようになってきました。


 ホワイトさんとデルが戦っていた空を見ると、そこにはボロボロになったデルが残っていました。

 私の場所からそこまでは2キロほど離れているので、詳しいことはよく分かりません。

 でも、もうデルに戦う力は残っていい無いみたいでした。


メイ「デルーーーー!!!」


 私はデルのほうへ駆け出していました。

 その間、浮かんでいたデルは力尽きたように地上に落ちていきます。

 ホワイトさんもデルの方へ降りていく様子が見れました。

 

 私はデルの所に着きました。


メイ「デル!!!」

デル「メイ・・・・さん・・・・・。」

メイ「よかった!! 生きてる!!」


 デルは生きていました。

 そして、ダメージ的には思っていたほどやばくなさそうです。助かると思います。

 私はデルを抱えて、せっかく出来た友達が居なくならなくて良かったという思いでしょう涙が溢れてきていました。

 

ホワイト「おいおい、生きてる、じゃ無いんだぜ? 殺さなかったんだ。 俺がさ。」

メイ「・・・・・・。」

 

 ホワイトさんは相変わらず軽い感じで同じように私に接してきます。

 私は苛立ちを覚えましたが、今はデルが気になりました。


メイ「デル、どうしてこんな戦いを・・・・・?」

デル「・・・・・わかりません。」

ホワイト「・・・。分からないことは無いだろう? デルちゃん、君も戦いたい衝動がおこったのさ。 魔物には良くあることだ。 何となくムシャクシャするとか、なんとなく破壊してみたくなるとか、何となく殺してみたくなるとか。 きっと、俺の力を見た君は何となく俺と戦いたいという思いがわいてきたんだ。 だからあんなことを口走って戦いを挑んだんじゃないかな。」

デル「そう、かも知れませんね。」

メイ「デル、そんな・・・・!!」

ホワイト「メイちゃん、魔物なんてそんなもんだぜ。 あんまり気にすることじゃねぇよ。」

メイ「でも、もう少しで死にそうだった・・・。」

ホワイト「おいお~い、死にそうだったって、当たり前じゃねぇか!! メイちゃん、魔王が作ったこの世界の生業から考えてみなよ。殺したけりゃ殺すの弱肉強食の世界じゃねぇか。 死ななかったことはむしろラッキーだぜ? デルちゃんが俺好みの美人さんだったから、気まぐれで殺さなかったのさ。」

メイ「そう・・・・ですね。 確かにそうです。 魔王様の統治するこの世界は確かにそういうルールでした。」

ホワイト「だろ? まぁ、そういうことだぜ。 俺は久々にバトルが出来て楽しかったよ。 また、戦いたくなったなら、俺のところにきな。 次も多分殺さない程度に相手してやるよ!!」

デル「・・・・・・・。」

ホワイト「ははっ、デルちゃん連れね~な。 まぁいいや、今日は満足したし、そろそろ帰るわ。 じゃな~~~~、バイバ~イ、メイちゃん、デルちゃん。」



 そう言って、ホワイトさんは空に舞い上がっていってしまいました。

 残された私とメイはしばらくその場でボーっとしていました。


デル「私のホワイトを消したいという衝動、彼の言うとおり、魔物の特性から派生したものなんでしょうか・・・?」

メイ「どうだろう? 私にはそんな風に見えなかったかな。 何かもっと大切なことで怒っていたみたいに見えたんだけど・・・。」

デル「でも、ホワイトのいうとおり考えたほうが、自然な答えだと思えます。」

メイ「確かにね。 デルは闇の者なんだもん。 魔物と同じような感じで感情が溢れてくるとも思えるけど・・・・・。」

デル「私にはまだ何故あの時、あんなにイライラしたのか分かりません。」

メイ「うん、もういいよ、デル。 今はもう、いいよ。」



 雷雲立ち込めめていた町はいつしか暗雲に変わっていました。

 デルの初めての本気の戦闘。 そして敗北。

 自分の矮小さを知ると同時に、世の中の力が何によって動いているのかが少しだけ分かったような気がしました。

 そして、魔物達は皆このように適当な感情の元、破壊をしたり殺しをしたりしているのだと思ってしまいます。

 もちろん魔王城にいた時でもそのことは知っていたんです。魔王城の魔物さんたちもしょっちゅう殺し合いの試合をしていたし、私もそれに加わっていたので。

 ただ、それらは全て両者が臨んだ試合でした。

 強いものが弱いものを自由に虐げるのがこの世界の本質です。世の中の力無き者達は力のあるものに不本意に命を奪われ、自由を奪われ、町を破壊されるのでしょう。

 

 もちろん、それは悪ではありません。

 いえ、正義だ悪だなどという口論は所詮その人の主観で物事を捉えたときにしか生まれないくだらないものだと思います。

 世界中のヒトが全て幸せに暮らせればいいのになど、所詮魔王様が統治する前の世界の偽善的な世迷いごとでしかないのです。

 そう、世界はもっとシンプルでした。

 一回外に出ただけで、こんな確信めいたことを言ってしまうのもどうかと思いますが、とにかく今日、私は自分のおかれる立場、生かされているだけでしかない自分の立場というものを認識してしまったと思います。



メイ「デル・・・・帰ろう。」

デル「はい。」


 私が感じた世の中の魔物の思い、デルが始めて感じた自分の中のなぞな感情。

 何よりも、完膚なきまでにやられたことのむなしさを背負って(私は負けていませんが、負けたような気持ちにもなります。)、私たちは魔王城に帰ることになりました。


 

 こんにちは、メイです。

 デルとホワイトさんの戦闘が開始してしまいました。

 二人ともはなから魔力全快です。


 魔法って言うのは自分の中からエネルギーとして放出するか、空気中のエネルギーを媒介として放出するか、精霊などを頼りに放出するか、等、いろいろな方法で魔法を発することが出来るのですが、その全てに共通することは媒介となるものが強いほど強力な魔法が発せられるということです。

 デルとホワイトさんの二人は自分の中にある闇の資質から魔力として放出しているので、術式などの展開はほぼ必要ありません。そう関係の魔法を使うヒトならば一々呪文を唱えたりしないといけないし、空気中からエネルギーを集める場合には多少集めるための時間が必要になります。

 その点自分の中に強力な魔力をかなりの量で持っている二人はかなりのハイスピードで凄まじい戦闘を魔力の続く限り行うことが出来るのでした。



 正直、魔物の戦闘なんて初めの火種はあるものの、戦闘が始まってしまえばそれに熱中してしまってほかの事なんか気にするものじゃないと聞いています。おそらく、二人も、始まるときの言い分は合ったにせよ戦っている今となってはそんなことは気にすることは無く、目の前の敵をどのように倒すかのに集中していることだと思います。


 

デル「はぁあぁぁああああ!!

ホワイト「シャイニーング



 ホワイトさんは無駄に技名とか叫んでいますが、ほとんど名前に意味なんてありません。

 自分の魔力を媒介にして放出するので、そんなもの叫んだところで気合にしかならないからです。

 とは言っても気合は大事なので叫んでいるのでしょうか。


 ホワイトさんは名前のとおり雷系の魔法が得意なようです。

 自分の内部から発せられる研ぎ澄まされた鋭い感覚が強いと雷が得意になります。

 ホワイトさんが研ぎ澄まされているかどうかは分かりませんが、なんとなく雷は彼にあっているように思えます。

 それに対してデルは完全に闇の魔力です。

 雷は科学的な効果ではありますが、闇の魔力は非科学的です。その効果は見ているだけでやばいです。なんといっても、純粋悩みの魔法による効果は消滅、死など少しでも食らったら即効大ダメージ。というか、死にます。

 その代わり早さは雷のほうに部があるようですね。長距離を高速でうごめく雷と、短距離で攻めるけど、強力な闇の戦い。

 今はどちらかというと、ホワイトさんが押していました。



 ホワイト「くらえ!!ボルテージ・サキュバス

デル「・・・・・。」


 ホワイトさんはちゃんと技名を考えた上で魔法を唱えているのかよく分かりませんが、とにかく叫んでいます。

 ボルテージ・サキュバスというのは相手の周りに雷を基本とした魔力空間を作り、軽く魔力を吸収すると同時に麻痺の効果も与える二つの効果を同時に発するハイレベルな魔法なようです。

 デルも、それを見た瞬間に察知したのでしょう、周りに逆要素の吸収すればダメージにつながる魔力を展開し、自分は麻痺はしないように高速移動します。

 ホワイトさんが押しているというのは、常に攻撃を仕掛けているのがホワイトさんだからです。さっきのシャイニングという技を唱えた時も、デルはガードするだけでした。(シャイニングという技は自分の体から全方位に雷を発生させ、逃げ場がなくなるほど強力ででかい雷の塊を発する技でした。危うく戦いの場から2キロは離れている私のところまで届いてしまいそうでしたが。)


 デルは、ガード主体です。

 デルから戦闘を仕向けたということは、もう少し攻撃に出たいと思うのですが、出来ないということは実力的にホワイトさんが勝っていることを物語っています。

 もしかしたら、デルはホワイトさんの魔力の消費を狙っているのかもしれませんが、あまりそれは考えられません。彼ほどの魔物の戦いになると、魔力がなくなってしまうまで戦闘はせずに、残りわずかになってしまえば逃げに転じるからです。戦闘において、逃げた相手を深追いすると、罠があらかじめ仕掛けてある場所にて返り討ちにされる可能性があるので、深追いはしません。となると、デルは魔力の消費を狙っているのはおかしくなり、攻撃できずに押されているということになるのです。


 私はデルを応援することしか出来ず、固唾を呑んで見守っていました。


ホワイト「くくく!!楽しいねぇ!!やっぱりデルちゃん、なかなか強いじゃないか!! でもよぉ!!俺を消すって言った割には防戦一方じゃないか!! いいのかい? それでもさぁ!!」

デル「・・・・・。」

ホワイト「まだまだ行くぜ~~~!! グニルストロアー!!

 

 グニルストロアーという技はかなりやばげです。ホワイトさんから発せられた魔力の塊である空中に浮かんだ玉がデルの周りに5,6っ個集まったかと思うと、その玉から雷のビームがデルめがけて放出されます。デルが高速で移動しても玉はデルから一定の距離を保ったまま着いてきます。デルは闇の魔法でガードしているようでしたが、グニルストロアーの連続した攻撃により、一瞬ホワイトさんへの注意を怠ってしまいました。


ホワイト「くくく!! 甘いな、デルちゃん!!」


 気付いたときにはホワイトさんは強力な魔法の準備が終わっていました。

 ホワイトさんの羽に今まで出最高出力の魔力が集まっています。

 デルはこの魔法への対応が出来そうな様子ではありません!!!


メイ「デルーーーーーー!!!

ホワイト「これで終わりだぜ!! インフィニスティア・サンダー!!!



 ホワイトさんの羽から放たれたビーム系の魔法。

 それがデルにぶつかった瞬間、大爆発と大放電を起こし、世界は真っ白になりました。

 あまりの光の量になにも見ることが出来ません。



メイ「デル・・・・。」






 こんにちは、メイです。

 私とデルは魔王様から魔王城の外に散歩に出ていい許可をもらいました。

 それで、特に何の目的も無く外に出てきた私たちは、どこに行く当ても無いので、適当に魔力が高そうな地にやってきたのでした。

 そこであった一人の魔物、ホワイトさん。

 彼こそ、この地の魔力が高い原因たる魔物であり、破壊快楽主義者でした。

 彼につれてこられた廃墟で彼が楽しそうに町を壊したことを話されているうちに、デルの様子がおかしくなってきてしまいました。

 さて、どうなってしまうのでしょうねぇ・・・・。 (あ、タイトル見たら分かっちゃいますね・・・。)




ホワイト「まぁまぁ、せっかく来たんだからさ。 君らも一緒に破壊行為に赴こうじゃねぇか!!」

メイ「は、破壊行為ですか・・・?」

ホワイト「そうそう、こんな感じで。」


そう言って翳されたホワイトさんの右手に魔力がみなぎります。

その右手から、廃墟だった町に魔力が放たれました。

爆音とともに、町はガラガラと崩れていきます。


ホワイト「はっは~~~!! 気持ちいいんだぜ!! メイちゃんたちもやったらどうだい?」

メイ「い、いえ、遠慮しときます。 それに私、魔法使えないし。」

ホワイト「そ~か、メイちゃんは人間だったな。 じゃあ、デルちゃんはどうだい? 君ほどの魔力の持ち主なら、派手なのドカ~ンとかましてやれるんじゃねぇか?」

デル「いえ、いいです。」

ホワイト「ふ~ん、やっぱり変わってるんだな。 魔物なら破壊は大好きだろうに。 ま、俺は特に好きなほうだろうけどさ。 お二人がやらないんなら、俺が変わりにやらしてもらうぜ。」



そういって、羽を羽ばたかせたホワイトさんは一瞬でかなりの上空にまで飛び上がっていました。

その手からは無数の魔法が放たれ、壊れた町をさらに壊し続けています。

私には彼の思考は今一理解できませんでした。


ホワイト「ははっはあ!! さいっこう~~~~!!!」


メイ「デル・・・ホワイトさんって変な魔物だねぇ。 町なんか壊して何が楽しいんだろう?」

デル「いえ、おそらく破壊行為を求める行動は純粋な魔物の自然な思考だと思います。」

メイ「ふ~ん、デルにも分かるの?」

デル「私には分かりません・・・。むしろ・・・・」

メイ「不快?」

デル「はい。」

メイ「そっか、実は、私も少し嫌なんだ、こういうの見るの。 何でかな? 私の心は闇に染まっているはずだから、こんなの何とも思わないはずなのに・・・。」



 私とデルは少し共感してホワイトさんの行為を否定していました。

 私にもなぜ彼の行為を受け入れられないのかは分かりません。

 もしかしたら、調子に乗っているホワイトさんを見ていらいらしているだけだったとも考えられますが、デルは完全に心底嫌に感じているみたいでした。




ホワイト「でかいのいくぜ~~~!!」


 どうやら最後に一発でかいのをかますみたいです。

 空気が震えてホワイトさんの両手の中に最高密度の魔力が凝縮されています。


ホワイト「はぁあああああ!!! 必殺!!ジェノサイドスパーク!!

 

 馬鹿みたいに技の名前を叫ぶホワイトさんはガキみたいでした。

 でも、技の威力は本物です。放たれた闇のいかずちは町の中心から渦をなして引きずり込み、引き裂くような感じで破壊していきました。

 私たちにまで被害が及んでいるので、デルに魔法でガードしてもらいます。


 1分間ほど魔法は続き、ようやく収まってきました。

 周りにはまだピシピシと魔力の余韻が残って電気が発生しています。

 ホワイトさんが私たちのほうに降りてきました。



ホワイト「あ~、楽しかったぜ!! 君らもやってみたくなったんじゃないか? ははは。」

メイ「いえ、やっぱりいいです。 そだ、私たちそろそろ帰ろうかと思います。 ね、デル?」


 私は、この場に居てもあまり面白くないと思い、デルと一緒に帰ろうと思いました。

 しかし・・・・


ホワイト「そっか、まぁ、また気が向いたら来てくれよ。 俺も最近暇だしさ。」

デル「メイさん、すいません。」

メイ「え、どしたの、デル?」

ホワイト「お、デルちゃん、やっぱり破壊していくかい?」



デルは明らかに怒っていました。

そもそも、デルは人形に闇を媒介に命を吹き込まれたデルクヮイナなので、ホワイトさんの行動に怒るのは私以上におかしなことなんです。


デル「・・・・・・・・・・・だまれ、ホワイト。」

ホワイト「ど、どうしたってんだよ? 怖い顔して。」

デル「お前のその性格、行為・・・・・・不快だ。」

ホワイト「・・・・・・。」

メイ「で、デルちゃん?」

デル「私が・・・・・消してやる!!!


 

 デルはどうしたというのでしょうか?

 何を怒っているというのでしょうか?

 私には分かりません。 

 ただ、デルは魔力を開放して、完全に戦闘体制です。


ホワイト「ん~、デルちゃん、どうしちまったのかねぇ。 ま、俺としてはバトルは大歓迎だけど・・・・・な!!


 な!!、と同時にホワイトさんも魔力を解放して、本気モードに突入しちゃいました。

 正直、私じゃもう手に負えません。

 私は巻き添えを食らって死なないようにどこか隅からでも二人の戦いの行く末を見守るしかありませんでした。

 

 二人は翼を使って一気に上空まで舞い上がります。

 空中バトルの戦いです。

 気がつけば周りには雷雲が広がり、雷は落ちまくり、まるで魔王城の周りのような風景に変わっていました。

 あぁ、どうしてデルは急にあんなことを口走ったのでしょう・・・?


デル「いえ、確かにこの町の近くから大きな魔力が感じられました。」

メイ「そっか。 でも、それは町から発せられるものじゃない感じだね。 強い魔物でもいるのかな?」    



ビンゴでした。

そう、この町の魔力は一匹の強力な魔物の存在によるものだったのです。

私たちがたわいの無い話をしていると、不意に周りの空間に魔力が高まりました。


デル「・・・・!!」

メイ「!!・・・この魔力・・・。」

デル「はい、テレポートですね。」


私とデルの前に魔力空間が現れ、その中から一匹の魔物が現れたのです。

この、テレポートの効率性、前後感覚ゼロで空間を派生させる魔力は相当のものだと予想できます。

デルと同等、いえ、それ以上になるかもしれません。


魔物は空間からすとっと着陸しました。

どうやら、この魔物は私たちがここにいることを予め分かった上で現れたみたいです。


魔物「よぉ~~~~? 見かけない顔だな?」


魔物の容姿は人型で、翼が生えて、いて、上半身は裸、髪はぼさぼさの釣り目で、見た目は青年くらいの男の魔物でした。

見た目どおりの感じというか、魔力にそぐわないというか、なんとなく軽い感じがしました。


メイ「こ、こんにちは~。」

デル「どうも。」

魔物「おお~~!!よく見るとかわい子ちゃんに美人の二人組みじゃねぇか?こんなところに何のようなんだい?」

メイ「え、えと~、別に用があってきたわけじゃないです。」

デル「散歩です。」

魔物「散歩?ハハ、かわってんな~、キミら。たまたま歩いてたらこの町にたどり着いたってのかい?」

メイ「まぁ、そんなところです。」

魔物「そかそか、んじゃ、俺が案内してやろうか? 俺の名前はホワイト。 見た目どおりの爽やかなやつだぜ?」

メイ「案内ですか? ん~、どうしよう、デル?」

デル「メイさん、当初の目的から考えると、ここに来る理由となった彼に案内してもらうのは妥当な流れになると思いますが。」

メイ「あ~、そういえば、そだね。 高い魔力のこの場所に来たんだもんね。」

デル「はい、そういうことです。彼がその魔力の理由と考えれば、来た理由が目の前にいることになります。」

メイ「ホワイトさん、お願いしま~す。 私はメイです!」

デル「デルです。」

ホワイト「お、のりがいいねぇ~! よし来た。 俺が楽しく町を案内をしてやるよ!!」



私もデルも、世間知らずなので、こんな危険な匂いのする男に軽々とついていくと言ってしまいました。

正直、刺激を求めすぎていたのかもしれません。

この時は、軽い気持ちで返事をしてしまっていました。



ホワイト「メイちゃんたちは普段何してるんだい?」

メイ「私たち、二人ともメイドなんです。」

ホワイト「メイド?この時代にかい? はは、やっぱ変わり者だな~キミら!!その割りに結構強そうじゃん? 特にデルちゃん。」

デル「どうも・・・・。」

ホワイト「ははは~、やっぱよぉ、この時代力がなけりゃ何事も面白くないよな!? メイドしてるにしてもさ、強いに越したこと無いよ。」

メイ「ホワイトさんも、お強そうですね?」

ホワイト「おおよ!! 俺はかれこれ130年生きているが、20歳以降は一度も喧嘩にゃ負けてね~んだぜ!!」

メイ「すごいですね。」

ホワイト「だろ~?w 今度魔王にでも挑戦してみるか~、ハハハ。」

メイ「・・・・・。」

デル「・・・・・。」


魔王様を挑発する発言に対してはいささか同意しかねますが、とにかく軽い感じな方なんだなぁ、と思いました。

そして、10分ほど歩いた先に、今までよりもかなり荒れた町がありました。

いえ、荒れているというよりは破壊されています。

家屋は全て住める状態にはありませんでした。

そして、この場所から放たれる異常な魔力・・・・・。

私たちはこの場所に着いたと同時に、ここで何が起こったのかわかりました。



ホワイト「着いたぜ~~~。ここが、この町の一番の遊び場所さ。」

メイ「ホワイトさん・・・・・。」

デル「この町は、あなたが破壊したんですね?」

ホワイト「そうだぜ? 最近魔力がよく高まってな。 ちょいと強力な魔法を唱えたくなるんだよ。 ハハハ。でよ~、ぶっ壊すのにちょうどよさそうな町が連なってるじゃねぇか、この辺?だから、見たらついムラムラして破壊したくなって来るんだよ!!」

デル「・・・・この町に住んでいた人たちは?」

ホワイト「ん? 人? 死んだんじゃねぇか? あんま気にしてねぇけどよ。」

デル「・・・・・・・。」

ホワイト「あれ、デルちゃん、何か気に触ったかい? 怒ったみたいな顔してさ? 魔力が溢れてきてるんじゃねぇか?」

メイ「・・・・デル、大丈夫?」

デル「いえ、大丈夫です。私には感情の激化というものは無いはずです。 そもそも、私は闇に生きる存在。 人間が死ぬなど、何も気にするべきことでは無いはずです・・・・。」

ホワイト「そ~そ!! 俺ら魔物にとってみりゃ、人間なんかどうでもいい存在なんだよ。 気に障ったなら殺せばいいし、ほおって置いても、それなりに面白いもの作ったりしてくれるしな。」

メイ「そう・・・ですね。」

ホワイト「あ、ゴメンゴメンw メイちゃんみたいなかわいい女の子は大事だぜ!!」

デル「・・・・・。」



何のお咎めも無く人を殺したことを話すホワイトさん。

世の中の魔物たちが人間をどのように思っているのかを知った私。

そして何やら話を聞いてから少し様子がおかしくなりつつあるデル。



そして、ホワイトさんがこの場所を町の一番の遊び場所としてつれてきた理由を考えると、この後に何が起こるかは容易に想像がついたはずでした。

そして、そのデルもそのことは分かっていたはずです。

しかし、今は世間知らずな私たちに、楽しそうに話すホワイトさんが少々衝撃的で、ちゃんとそっちに考えを持っていけていませんでした。

考えを持っていって、ここで帰っていれば、この後にあんなことにはならなかったのですが・・・・。


 こんにちは、メイです。

 魔王城でのデルとの生活が始まって2週間。

 私たちは結構仲良くなりました。


 それで、魔王城で決闘したり、散歩したり、会話をしたりして遊んでたんですが、つい最近、私へ魔王様からの許可が下りました。

 魔王城の外へも私の意志で自由に出ていいことになったのです。

 今までは、私は魔王城のメイドということで魔王城の中から外に出ることは一応タブーとされていました。 

 私が逃げることも考慮に入れられていたのかもしれませんし、魔王城で闇の影響を受けるために閉じ込められていた間もあります。

 が、とにかく私は外に出る許可をもらうことが出来ました。

 これは一重に私が魔王城での生活になじんで、別に人間側の生活を送りたいとも思わなくなったからなのだと思います。

 そうです。

 私は魔王城でのデルとの生活が気に入っていました。

 魔王城では好きなことをしていいといわれていたので、何不自由なく生活を遅れていたのですが、今思えば友達(恋人もかな☆)が以内という不自由さがあったのです。 

 だから、その何か詰まっている感がある問題点がなくなり、私は今結構幸せだったりします。


 そういえば、最近魔王城に来る前の生活のことがあまり思い出せません。

 何故でしょう? 記憶が薄れていっている気がします。


 まぁいいです☆

 とにかく今日から自由に魔王城の外に出られる日々の始まりです。

 私はデルと一緒にどこへ行くでもなく、出かけることにしました。



 私とデルは、魔王城の端にある飛竜の離陸ポイントまで出てきていました。

メイ「さて、出発しよう!!」

デル「メイさん、どこに行くのですか?」

メイ「ん、どこって? どこでもいいの☆ とにかく出発しよ~~~。 北に向かってしゅっぱ~つ!!」

デル「わかりました。 では、北に向かいましょう。」



 私はデルの足につかまって魔王城の離陸ポイントから出発しました。

 魔王城の周辺はうっそうとしたくらい感じの森と、荒地ばかりなので、歩いていても仕方ないかな、と思ったから、飛んで出発することにしました。

 私は飛べませんので、デルにお願いしてます。

 一応、友達って感覚で私はデルに接していますが、デルはまだ私のことを主人として捕らえているみたい。

 まぁ、普通に突っ込んできてくれるし、友達との違いといってもちょっとした言葉遣いの違いくらいだから、別にどっちでも良いかな、なんて思ってます。


メイ「うわぁ~~、やっぱり空を飛ぶのってサイコ~~!!」

デル「そうですね。私も、歩くのより飛ぶほうが好きです。」

メイ「ほら見て見て!! 向こうの山!! すっごい雷の嵐だよ!!」

デル「ほんとですね、あちらの空には、バーンフライ(でっかい火を吹く虫)の群れが見れますね。」

メイ「ほんとだ~☆ みててたのしいねぇ~、やっぱ空の旅に限りますなぁ!!」

デル「楽しいですか? こんなすさんだ空の状況を見ても、暗い気分になるだけではないかと・・・・・。」

メイ「ハハハ、さすがデル!! そのとおりだよ、ハハハ。」



 魔王城の付近の空は特にすさんでいます。

 年がら年中雷は落ちていますし、太陽なんか見えたためしがありません。

 バーンフライやら、サディスティカボーンやら(狂った魔物のゾンビ)やらが結構群れてて危ないし、碌なもんじゃありません。

 でも、デルと一緒なら安心です。

 デルほどのの魔力の持ち主と一緒なら、普通魔物は危険を察知して値被いてきません。

 私もそれなりに強いので、別に死ぬこともないと思いますが。


メイ「デル~~~、やっぱり魔王城の近くの空は、どこでもいっしょだよ~~。」

デル「メイさん、もうそれですか?」

メイ「だって、いつも見てるよ、こんな空~。 やっぱりさ、初めて魔王城の外の散策に行くわけじゃない?デルは。 もっと、遠くのほうまで行ってみようよ!!」

デル「わかりました。 そうですね。 では、私がテレポートを使うことにしましょう。 どこか行きたい所はありますか?」

メイ「ふむふむ。 そういえばデルはテレポートが使えたんだね。 なるほど~、じゃどこでも行けるわけだ。」

デル「ある程度の距離なら可能です。」

メイ「う~ん、と入っても私も、魔王城の外の世界の地理なんてさっぱり知らないしね。」

デル「では、どこか魔力の高そうなポイントにてレポートしますか?」

メイ「お、それイイよ!! 多分、魔力が高いような場所ならば、楽しいことが待っているはず☆ いってみよ~~!」

デル「了解です。」



 と、言うことで、私たちは適当に魔力の高そうなところにてレポートすることにしました。

 デルの翼からあふれた魔力に包まれ、デルの周辺の空間後と違う場所にてレポートします。

 これを術式梨で出来てしまうデルはやはりハイレベルの魔力能力者なようです。


 それで、テレポートが完了しました。

 着いた場所は、人間の集落っぽい場所でした。

 

メイ「ついた~~~!!」

デル「はい、着きました。」



 私たちはいったん空から着陸することにしました。

 集落を歩いてみて回ろうということになったからです。

 人間の集落っぽいその場所は、コンクリ作りのビルや家が並ぶ、そのままの住宅地でした。

 各家は建ってから相当の年月が建っている感じの家ばかりで、どれも劣化がひどいです。

 周りには人の気配がありません。皆さん家の中にでもいるのでしょうか?

 空は魔王城の近くほどまでは行きませんが、相変わらず曇っていて、暗い空気が集落全体に流れていました。

 私は今の時代の人間たちがどのようにして生活のやりくりをしているのか今一わからないのですが、どうも、お店とかはないみたいです。


 

メイ「うわぁ~~~、ずいぶんボロイ町だねぇ・・・・・。」

デル「私が見たところ、ここに建っている家はどれも200年以上の年月が建っていると思われます。」

メイ「へぇ~~~。よく分かるね。」

デル「物体から放たれる力を感じれば大体は分かります。」

メイ「それにしても、殺風景なところだなぁ。」

デル「そうですね。 人の気配もありませんし・・・。」

メイ「ほんとにこの町、魔力が高かったの? なんか、それらしきものは無いんだけど?」

デル「いえ、確かにこの町の近くから大きな魔力が感じられました。」

メイ「そっか。 でも、それは町から発せられるものじゃない感じだね。 強い魔物でもいるのかな?」

 



 ビンゴでした。

 こんにちは、メイです。

 人形型デーモン、デルクヮイナのデルとの魔王城での生活が始まりました。

 デルは、闇の系統の魔法やら、契約やら、その辺のことはすごく詳しいんですが、他のことはあまり知らないみたいです。

 私は、デルを一人前の魔王城でのメイドにするべく、励んでいました。


メイ「さてデル、立派なメイドになるために、頑張ろう!!」

デル「はい。 よろしくお願いします。」

メイ「まず!! 魔王城のメイドとしての第一条!!!」

デル「・・・・・。」

メイ「したい事しかしない!!!」

デル「・・・・・・。それは仕事なのですか?」

メイ「そーだよ☆ 一番の仕事だよ。 魔王城でのメイドの仕事、それは自分のしたいことだけして、怠惰な生活を送ることなんだよ☆」

デル「メイさん、そのようなことをする意味はあるのでしょうか?」

メイ「なに、デル?口答え? 先輩の私にそのような言いがかりをつけるとは、いい度胸ね!! いいでしょう!! なぜ怠惰な生活をするのが重要な仕事になるのか、先輩の私からきっちり教えてあげましょう!!

デル「・・・・・・。」

メイ「まず!!!闇の力の根源は個人の欲望にあります。 魔王様はこの闇の力が大好きです。」

デル「なるほど、つまり、私たちの役目は魔王城にて闇の力の増幅を図ればいいということなのですか。」

メイ「う、 察しが良いわね・・・。 そうよ、その通り!!私たちは魔王上で闇の力を高めることが役割なのよ!!」

デル「それは、魔王様に直接お伺いしてのことなのですか?」

メイ「む・・・・。デル、あなたなかなか痛いところ聞いてくるわね。 そうよ、あなたが予想したとおり、さっき言ったことは私が勝手に思っていることよ。そもそも私一人が怠惰な生活を送ったところで闇の力の変化なんて些細なものよ。 魔王様が私に言ったことは、お前の好きなようにこの魔王城で生活しなさい、との事だけだったわよ。」

デル「そうですか・・・・。」

メイ「はぁ、結局のところ、私はメイドの仕事なんてしてるわけじゃないし、形だけメイドの格好をして魔王城で好きなように生きているだけなの。 私の役目って一体何なのかなぁ。」

デル「メイさん、気を落とさないで下さい。」

メイ「うぅ、デル、あなたっていいデルクヮイナね。 ・・・・・・って、ちっが~う!!ベタなボケさせてるんじゃないの!!いい?結局、意味が分からなくても、私たちは魔王様の言いつけどおり、生活するしかないのよ!!それが私達メイドの仕事なの。わかった?」

デル「了解です。」

メイ「さてさてと、第一に~とか大きく出たものの、結局はメイドのお仕事はこれだけなのよね。 本当のメイドの仕事なんかの雑用はデク人形たちがしてくれるしね。」

デル「デク人形・・・・。私の先輩方ですね。」

メイ「お?デル、興味あるの? でも残念だ。デク人形君たちはしゃべることは出来ないんだよ。 命令は聞いてくれるんだけどね。」

デル「私、デク人形の先輩方を見に行ってみたいです。」

メイ「ふむ、デルがやりたいって言うのなら良いんじゃないかな?私も別にしたいことないから一緒についていくね。 この時間なら、キッチンか、大広間で仕事をしていると思うよ。」

デル「では、近いほうの大広間まで行きます。」


 私とデルは、デク人形が掃除をしている大広間まで歩いて(デルは飛んで)いきました。

 

メイ「それにしてもデル、やっぱり先輩って言うか、兄弟みたいに思うのかな? だから興味あるんだね?」

デル「何ででしょう?私にもなぜ気になったのか今ひとつ分からないのですが・・・・。」

メイ「ふ~ん、でもま、やりたいこと~、なんてそんなもんかな。」


 

 大広間に着きました。

 ここは普段ほとんど使われない魔王城のパーティー用の広間です。

 使われはしませんが、ホコリがたまらないようにデク人形たちは毎日欠かさずに掃除をしてくれています。

 今日も4体のデク人形がまじめに掃除に励んでいました。


メイ「やってる、やってる。」

デル「・・・・・・・。」

メイ「で、デク人形ちゃんたちと涙のご対面~ってわけだけど、どするの?」

デル「ちょっと、近くまでよってみます。」



 私とデルはデク人形の近くまで寄っていきました。

 デク人形は新たな命令をされるまで今の仕事をひたすら続けます。

 普段どおりの巡回的な仕事なので、別に命令の変更はなしという感じで、仕事をこなしていました。

 その顔はデルのものとは大きく異なります。

 一応、眼や鼻などはありますが、飾りのようなもので(実際には装置として作動していますが)、表情に変化はありません。

 

デル「デク人形の先輩・・・・。私も、魂が宿る前まではこの方たちと同じだったのですね・・・・。」

メイ「そうだねぇ・・・・。」

デル「自分の意思を持つことが出来ず、ただ仕事をするだけの存在、デク人形・・・・。」

メイ「・・・・・・。」

デル「・・・・・・。」

メイ「ん~、なんか複雑に考えてるみたいだけどさ、デク人形なんて所詮魔力で動いているだけの物体でしょ?こんなの掃除機とかその辺の機械とかと変わらないよ。」

デル「・・・・・。メイさん、あなたはそのように考えるのですね・・・・。」

メイ「こらこら、説教くさく先輩に反論するものじゃないよ。私だってデク人形ちゃんたちには感謝しているよ。でも、彼らは生物じゃない。この感謝の気持ちはものに込めたもののようなものだよ。私はちゃんと、その辺の見解はしてるつもりだよ。デルのように、元が人形でも命が宿った瞬間から、それは命として接するようにするし、感謝するとすれば、生物としての念を込めて感謝するようになるかな。」

デル「そうですか。 メイさん、 あなた、実はあまり闇に染まってませんね?」

メイ「え、え? 何? 変なこと言わないでよ!!」

デル「いいえ、あなたは根っからの人間、光のような方に思えました。」

メイ「ちょっと~~!! デル、それはないよ!! 私は魔王様に純粋な闇になるようにいわれてこの魔王城で生活してるんだよ? それに反してるだなんて・・・。 ダメダメダメダメダメ!!! それはだめだよ~☆!!」

デル「ふふ。 私はやみそのもののような存在ですが、メイさんのこと気に入りましたよ。」




 そう言ってデルは初めての笑みを見せました。

 私は自分で思うに、かなり闇に染まってきたなぁ、と思っていたのに、あって間もないデルにこんなこと言われるなんて心外でした。

 でも、デルの笑顔を見たとき、私が魔王城に着てから友達といえる存在がいなかったことに気付き、デルと少しの間時間を過ごしただけで、昔の人間としての感情、友と笑って過ごせる時間というものを思い出せているような気がしました。

 私が魔王城に居る理由。 それは心を闇に染めることのはずです。

 魔王様は、デルという存在を私に近づけて、昔の感情がよみがえってくることまで分かっていたのでしょうか?

 だとすれば、本当に魔王様の意思はなぞになってきます。 私はなぜ魔王城に置かれているのでしょう?


 とまぁ、考えもいろいろとめぐりますが、魔王城での初めての友達、デルとの生活が楽しくなりそうな気がして、少し幸せなメイでした。