よお、ライス・ユビリアンだ!!
勇者の力は尋常ではなかった。
俺は10分ほど好き勝手に暴れていたんだが、それだけだ。
勇者と名乗った少年ユヒトと分かれて、フェニックスの泉がある山に攻め入る魔物を蹴散らすべく、俺は山の住民に呼びかけをしながらそこかしこに群がる魔物を倒していた。
自分で言うのもなんだが、俺に問っちゃそこいらの魔物の軍勢など紙切れの兵士のようなもの。
ユビリアン家に代々伝わる剣技で魔物どもを一瞬にして倒して回っていた。
ライス「奥義・ミッドユビトニス!!」
ライスから放たれた剣圧によって、周りの木々ごと打ち砕く超直線の剣技。
魔物5匹「ガルヘブシ!!!」
一瞬にして10メートル左記の魔物まで塵と化してしまった。
ライス「ククク!!久しぶりに血が沸き立つぜ!!オラオラ!!こんな雑魚じゃなく、もっと強いやつはいないのか!!?」
俺が調子に乗っていた時だった。
山全体が震え始めた。
これは闇の力ではない、光の力だ。
こんな尋常じゃない光の力が今起こる理由は一つしか思いうかばない!!
ユヒトだ!!
俺は力の集中している空の方を振り向いた。
その方向には黄金の翼を背にしたユヒトの姿があった。
まさしく、ユヒトがフェニックスの能力を行使している証拠だった。
そして、その光の力は見る見るうちに高まってくる。
そこいらにいた魔物どもはすくみあがって、身動きすら出来ない状況だ!!
ユヒト「ライトブレイク。」
ユヒトが小声でポツリとつぶやいた。聞いたことのない呪文だ。
ユヒトが呪文を唱えたその瞬間、ユヒトの体から強烈な光が発せられた!!
この光は見覚えがある。 フェニックスの泉の光と同じだ!!
ユヒトはフェニックスの泉から、発せられていた光のエネルギーを手に入れている。
それを呪文に載せて、魔物に対して破滅的な力として発行した。
俺達人間にとってこの力はなんとも思えない、むしろ、力が上がってくる気さえしたが、魔物にしてみれば、硫酸をかけられたようなもの。
その辺にいた雑魚の魔物どもは一瞬にして消えていった。
山はユヒトの力によってまた、魔物のいないものとなった。
ライス「ユヒトーーーー!!!」
俺は勇者の想像以上の力を眼の辺りにし、嬉しさのあまり、ユヒトの元へと駆け出していた。
ライス「ハァハア、・・・・ユヒト!! やっぱお前すごいな!!
勇者の力、想像以上だ!!お前なら魔王を倒せるんじゃないか!!」
ユヒト「今のは、初歩の光・・・。たいしたこと無い。」
ライス「・・・!! ハハハ!!言うじゃねぇか!!」
ユヒト「・・・・・。」
ユヒトはかなり寡黙なやつのように思える。
勇者としてそれはどうなのかよくわからねぇが、とにかく今は最高に気分がよかった。
ライス「そうだユヒト、まだ自己紹介してなかったな!! 俺の名前はライス、ライス・ユビリアンだ!!」
ユヒト「・・・・・。」
ライス「ユビリアン家は武道の名家、俺も腕にはちょっとした自身があるんだぜ!!」
ユヒト「・・・・・。」
ライス「なぁ、ユヒト!!魔王倒しに俺も連れて行ってくれねぇかな!?・・・嫌よぉ・・・」
ユヒト「ライス・・・・。」
ライス「おう!!」
ユヒト「少し、静かにして欲しい。」
ライス「あ?」
その瞬間まで馬鹿みたいにしゃべっていた俺だが、ユヒトが一瞬先に読み取った気配に俺も遅ればせながら気づいた。
ライス「・・・・!!!・・・えぁ・・・・・??」
その気配が何者かということは容易に想像がついた。
そう、さっきまで、確かにこの山の空気はユヒトの放った魔法の力で光に満ちていた。
しかし、一瞬にして闇の魔力に染まりかえってしまっている。それも普通のレベルではない、最凶のレベル。
俺はこの気配、イタリス城没落の日に経験したことがある。
世界をこのような状況に持ち込んだ諸悪の根源、そう・・・。
ユヒト「カイサー・フェルティス・・・・。」
ユヒトの頭上に闇の魔力が高まる。
空に浮かんだ黒く丸い魔力空間、そこから、魔王カイサーフェルティスが現れた。
異様なその魔力からは不相応な整った容姿を持つ魔王から言葉が発せられる。
魔王「フェニックスか・・・・今回は」
ユヒト「魔王・・・・。その力は・・・・。」
魔王「フ・・・・。」
二人の会話が少なすぎる、とは言っても、俺は魔王の魔力の前で、声すら上げることが出来ない。
実を言うと、恐怖なのか何なのか分からない力で、俺は震えていた。
勇者と魔王の対面、勇者ユヒトが現れてからここまで早くこのことが起きたということは、魔王は予め目星をつけていたとしか思えない。
場に流れる空気は耐え難いほど凍てついていた・・・・・。
