肉食のイロモノカブトとクワガタ  | zojurasのブログ

世界の昆虫展で見たカブトやクワガタで、イロモノというか、「ホントにカブトやクワガタか?」と思えそうな種類もいます。

こちら。

 

「これがカブトムシ?」と思われそうですが、れっきとしたカブトムシで、マダガスカル島特産種であるヘクソドンです。

 

「ジンガサカブト」と呼ばれるように、カブトムシよりは、ジンガサハムシとか、ゴミムシダマシの一部の種類のように見えますが、触角や脚部にカブトムシの特徴が出ていて、脚部頸節全てに棘が生えているカブトムシ亜科のコガネムシの特徴(カブトムシ以外のコガネムシ類は、クソムシ類や、一部を除いて、頸節全てに棘が生えてはいない)があるのです。

これは関西以西の日本にいるルイスツノヒョウタンクワガタ。

 

ちゃちいうえに、地味なので目立たないのですが、興味深い生態を持っていて、成虫は幼虫と暮らして子育てをする微笑ましい面がある反面、他の昆虫を襲って食べる獰猛な一面を持っているちゃちい外観に似合わないトコがあるクワガタなのです・・・・・。

モンタンドンヘクソドン Hexodon montandoni

節足動物門 昆虫網 鞘翅目 コガネムシ科

マダガスカル固有種のカブトムシのグループである「ジンガサカブトムシ(ヘクソドン)」の一種で、「シロスジヘクソドン」とも呼ばれるように、黒い翅に白い筋が、片側4本ずつ入っているのが特徴となる。

後肢が退化し、前翅も癒着している為に飛翔能力は無く、地上を歩き回って生活している。夜行性で、夜中に徘徊し、死んだ動物や昆虫に、柑橘類の皮などを食べて生活していると云われる。

名前の由来は、フランス人昆虫学者のモンタンドンから。

 

ヘリヘクソドン Hexodon latissimum

節足動物門 昆虫網 鞘翅目 コガネムシ科

カブトムシとは思えない姿をしているマダガスカル特産のカブトムシの一種であるヘクソドンの仲間で、モンタンドンや、 オオヘクソドン H patella と並ぶ最大級のヘクソドンで、体長30mm近くになる。

薄いレモン色の体色と、前翅に4本程の黒い筋線が現れるのが特徴で、雌雄共に角が無く、空を飛べない事で、カブトムシとは思えない出で立ちだが、脚部の頸節全てに棘が生えている事や、符節形状でカブトムシの特徴が出ている為、カブトムシの一種とされた。

夜間に動物の死骸や、地面に落ちた柑橘類などを食べる為に動き回る。

ルイスツノヒョウタンクワガタ Nigidius lewisi

節足動物門 昆虫網 鞘翅目 クワガタムシ科

「ツノヒョウタンクワガタ」とも呼ばれ、名前の由来は、大顎左右に角状の突起が発達する事から名付けられた。

台湾に生息するヒョウタンクワガタ N parry の近縁種だが、体長は大きくても20mmには達しない小型のクワガタムシで、倒木や、腐朽木の中に潜み、あまり外には出て来ないが、夏に外に出てくる場合がある。雌雄とも黒い艶のある身体と、大顎の大きさがほぼ同じであり、これはサイズの大小の個体変異にも出ていて、雌雄の区別が非常に見分けづらい種類でもある。

肉食性のクワガタで、樹の中の昆虫や、その幼虫を大顎で襲って噛み殺してから食べるが、樹液が出ている時には、それを吸う場合もある。また、成虫が幼虫の為に大顎で餌の材を砕いて与える亜社会性の生態を持つ種類でもある。

和歌山県以南の日本各地に住むが、生息場所関係もあり、分布はやや局地的とされる。