世界の昆虫展で、モスラのような巨大な蛾や、蝶と間違えそうな美しい蛾も見てきました。
フィリピンのカエサルサン。
上がオスで、下がメスになり、ヨナグニサンに似た姿から判るように、その親戚になる巨大種です。
こちらはナンベイオオヤガ。
見事な巨大種です。
下手なヤママユよかデカイ蛾という事で、興味深いです。
一見すると、アゲハチョウにしか見えないオジロルリツバメガ。
こちらのニシキオオツバメガや、ウラニアツバメガと共に、標本で三大ツバメガに会えました。
モンシロチョウやウスバシロチョウにも似ていそうなのも蛾で、ウスバツバメガという種類です。
巨大な蛾が気色悪い、綺麗な蛾でも、蛾は蛾という事で、嫌う人も多いのがちょっと哀しいかな。
カエサルサン Attacus lorquinii
節足動物門 昆虫網 麟翅目 ヤママユガ科
フィリピンに生息するヨナグニサン Attacus atlas のグループの一種で、翅面積の広さではヨナグニサンを凌ぐだけではなく、翅の最大幅が22~24cmにもなり、大きなメスでは28cm近くと昆虫界の中で最も翅が大きくなる世界最大級の蛾だが、前翅長及び、その幅ではヨナグニサンに軍配が上がるものの、その大きさから「オオヨナグニサン」とも呼ばれる。
幼虫はトウダイグサ科や、ヤブコウジ科などを食べて成長し、ヨナグニサン同様に白色で、身体中に長い硬質突起が生える容姿となり、体長10cm以上のサイズにまで成長する。その巨体に似合わず成長も早く、4ヶ月ほどで繭となり、成虫への変態を終える。
ヨナグニサン同様に成虫になると何も食べず、交尾の後、宿主植物に50~150個の卵を産んで一生を終える。灯火にも飛翔し、人家の灯りにやってくる場合がある。
ナンベイオオヤガ Thysania agrippina
節足動物門 昆虫網 麟翅目 ヤガ科
最も翅が長大になる事で知られるヤガで、「ナンベイオオシロシタバ」とも呼ばれる。翅を拡げた面積ではヨナグニサン類には劣るが、前翅の長さでは遙かに上回り、その前翅を拡げた際の両端が大きい個体で最大28cmにも達する世界最大級の蛾の一種。
翅は表から見ると黒と茶色の細波模様が生える白色に見えるが、裏から見ると、黒褐色をしており、こうした目立つ白と、目立たない黒褐色を夜間に羽ばたかせる事で、捕食者の眼を眩ませるように身を守るとも云われるが、定かではない。
名前通り中米~南米にかけて生息し、ジャングルの高木に産卵して孵化した幼虫はその葉を食べて成長していく。身体が大きい分、食欲も旺盛となる。
成虫は樹液や、腐った果実などを主食とする。
オジロルリツバメガ Alcides agathyrsu
節足動物門 昆虫網 麟翅目 ツバメガ科
西イリアンやニューギニア、オーストラリア北部などのオセアニアに生息するツバメガの一種で、マダガスカル産のニシキオオツバメガ Chrysiridia rhipheus や、南米産のウラニアツバメガ Urania leilus と並ぶ美麗種として、三大ツバメガとも呼ばれている。
アゲハチョウと見間違うような色彩と飛翔能力、名前の由来の白い尾状突起を持つ後翅、そして見る角度によって瑠璃色の翅がオレンジや、メタリックグリーンのような色彩に映る美しさから、「Aurora Moth(オーロラ蛾)」とも呼ばれているが、これは幼虫時代に食草から蓄積した毒性物質を持っている事をアピールする為のものである。オスは前翅の帯条模様が広いのに対し、メスは細くなっている違いがある。
同地域ではルリニセツバメアゲハ Chilasa laglaizei と呼ばれる本種に似た姿と翅を持ったアゲハチョウの一種が生息しているが、本種に擬態しているのかどうかはまだ解明されていない。
ウスバツバメガ Elcysma westwoodi
節足動物門 昆虫網 麟翅目 マダラガ科
関西以西の西日本を中心に生息し、秋だけに発生し、名前に「ツバメガ」と付いているが、これは後翅にアゲハチョウ類のような尾状突起が発達するのを、ツバメの尾に見立てて付けられているが、ツバメガ類の仲間ではなく、分類上ではマダラガの仲間となる。
幼虫はサクラなどのバラ科植物の葉を食べて成長し、毒々しい黄色い体色の鋭角そうな突起を生やした姿だが、マダラガ類のような毒は持ってはいないものの、尾から防御物質のようなものを分泌する。成虫は白い翅でひらひらと弱々しく早朝から昼間にかけて飛ぶ蛾では珍しい昼行性で、開長60mm程。
生息地域が西日本に偏っている南方系の蛾だが、各地で減少し、現在CR(絶滅危惧Ⅰ種)指定。