世界最大達 | zojurasのブログ

 

国立科学博物館の最後の紹介は、世界最大の海の動物達の紹介。

ダイオウイカのホルマリン漬け

 

1996年に漂着した個体との事で、ニュウドウイカのホルマリン漬けを凌ぎそうな大きさでした。

外にあるシロナガスクジラの原寸大模型。

世界最大は違います。

 

これを見て、博物館を後にしたのですが

しかし、シロナガスよりは、こっちゃのマッコウの方が好きでした。

 

上にあるのは、ジュゴンとホホジロザメですが、最強ボスだけあって、グレートシングの迫力には霞みます。

ダイオウイカ Architeuthis dux

軟体動物門 頭足網 十脚目 ダイオウイカ科

世界最大級の無脊椎動物、軟体動物としてあまりにも有名で、体長は胴体長2~7m程になるが、触腕先端まで含めると、13,4mにもなり、大西洋産では、18mにまで達した記録もある。その巨体から、伝説の海の怪物「クラーケン」のモデルになったともいわれる。

北太平洋以南の世界各地の深海の中層域の300~1200m付近に生息していると云われ、主に深海魚や、深海性の大小様々な種類のイカを食べている事が判明しているが、どのような経緯で巨体に成長するかは、未だに解明されていない。夜中には浅海にまで浮上してきて獲物を探すといわれ、生物界最大級の眼を持って暗黒の世界の中で獲物を見つけ出し、獲物の下方から円状の鋭い爪を備えた吸盤付きの触腕を伸ばして一気に襲いかかる事が、深海での観察で判明している。

かつては衰弱し、疲弊した個体や、表皮が剥がれて漂流などして死亡した個体の様子から、泳ぐ力はあまり無く、積極的に動けなかったと思われていたが、近年の観察研究で、そういった見方が覆され、身体に比べて小さな鰭にも関わらず、遊泳力が強い事や、表皮は普通のイカ同様に色素幕を持っている事が判り、深海ではその巨体から上位捕食者になっている事や、数種に分かれているかもしれないと思われていたものの、遺伝研究により、ほぼ1種のみだという見方に変わりつつある。

比較的、新しい時代に深海に進出したとも云われ、暗黒の深海では効果の程が疑問のイカ特有の墨袋を残していたり(他の深海イカ類には、墨袋と、墨を吐く漏斗が退化している)、浅い海域でも目撃される事に、そうした点が示唆されている。 

マッコウクジラ類の重要な餌にもなっていたり、稀に漂着したり、弱った個体が現れてニュースになったりという意味でも注目されているが、深海での水圧から身体を守り、浮力を司る体内に塩化アンモニウムを満たしている為、食用には不適な事でも、話題に事欠かない。

シロナガスクジラ Balaenoptera musculus

脊椎動物門 哺乳網 鯨偶蹄目 ヒゲクジラ亜目 ナガスクジラ科

現地球上最大の動物としてあまりにも有名な存在で、最大記録では全長34m、体重200t近くにも達したと云われる最大のクジラである。

日本読みでは「白い長須鯨」という事でそう呼ばれるが、これは海中に潜った時に白く見えるから付いた名前であって、英名では「BLUE WHALE」と呼ばれるように、本来の体色は青みがかっている。

世界中の海に生息し、北半球の原名亜種 B m subsp. musculus と南半球亜種の B m subsp. intermedia に、インド洋の熱帯地方に生息する小形亜種のピグミーシロナガスクジラ Balaenoptera musculus brevicauda の3種に分かれており、この中では南半球亜種が一番大形とされている。メスの方がオスより大型で、自然界の天敵はシャチだが、幼体はともかく、成長した成獣となると、シャチも容易に手を出せない程の大きさと力を持つようになる。

主食はオキアミのような大型甲殻類プランクトンや、イワシやニシンのような小型魚類であり、それらを一度に50t近くもの量を食べるとも云われ、そうしたプランクトンが多い地域に向かって移動する事が多く、そうして生息海域を回遊するような暮らしをしている。

世界最大の動物ではあるものの、その巨体故に人間の商業捕鯨活動の標的にされて瞬く間に狩り尽くされ、20世紀にはほぼ4000頭以下にまで割り込み、更に鯨自体が長寿でかつ、成長が遅いことも相まって、20世紀末には絶滅危機が叫ばれていたが、近年の統計では15000頭程度まで個体数が増えたといわれ、未だに絶滅危機でかつ、現在の生息数がかつての1/20程度ではあるものの、少しずつ回復傾向にはあるとも云われる。

マッコウクジラ Physeter macrocephalus

脊椎動物門 哺乳網 鯨偶蹄目 ハクジラ亜目 マッコウクジラ科

ハクジラの仲間では最大種で、オスの平均体長13~16mで、稀に18m以上、体重70t近くにもなる。独特の形状の体の大きさの1/3にもなる巨大な頭部と、細い下顎から見える鋭い直径10cm近くにもなる歯が特徴である。ハクジラ類がヒゲクジラ類とは雌雄の大きさが逆であるように、メスはオスよりも小さく、身体の大きさと体重でも、オスの2/3程度にしかならない。

巨大な頭部の中には「脳油」と呼ばれる独特の脂肪分で満たされており、これを使用して浮力調節し、数千メートルもの深海へ潜ったり、浮上したりなどといった行動を起こすとされるが、その仕組みや生態はまだ解明されてはおらず、想像枠でしかないものの、近年の研究で、そうした生態部分も少しずつ見せ始めている。英語では、この脳油部分が独特の臭気を放つ事と、色が白い事から「SPERM WHALE」と呼んでいる。

群れはオスだけのもの、メスと子供達のものの2パターンに分かれ、オスは繁殖期には他のオスと鋭い歯の生えた口で激しく争って、勝利後はハーレムを組んで、複数のメスと交尾するが、子育てはメス任せでメスのみが行い、オスは再びオスだけの群れに戻る性質があり、成長した子供は住み慣れた群れから離れ、新たなパートナーや、仲間を増やすように海洋を巡っていく。

餌は深海魚や深海鮫、深海イカ類だが、特にダイオウイカとの戦いはよくクローズアップされているが、大体の場合はクジラの勝利となって終わる事が多い。ダイオウイカに対し、オスはそのまま丸呑みにするが、メスや子供達は、丸呑みよりは相手を弱らせて捕らえたり、集団でかかって獲物を得る場合の方が、割合的には高い。

ダイオウイカだけではなく、深海のサメやカンテンダコ、様々な捕食対象魚を捕らえるものの、水の抵抗を受ける体型故に泳ぎが遅い為、かつては脂目的で乱獲されたとも云われる。天敵は人間以外ではシャチだが、シャチよりも深い深度に潜れる事でシャチの攻撃を躱したり、シャチにとって好物であるクジラの舌部分が小さくて固い事や、弱った個体に、老齢やメス個体と子供以外では非常に狙いにくい為、大きな脅威とはなり得ないが、最大の脅威は人間が行う海洋汚染とされ、近年見られるストランディングと呼ばれる弱った個体が砂浜に座礁する回数も増えているという。

現在、本種は捕獲対象種になってはおらず、ダイオウイカを補食した際に、胃から採れるイカの嘴の残骸で生成される独特の臭気を放つ「龍涎香(りゅうぜんこう)」と呼ばれる結石を加工したものが珍重されていたが、それが得られにくい時世になっている。なお、死亡した個体を深海に沈めた後、それを餌に集まる動物達による「鯨骨生態群」と呼ばれる独自生態系を造ったり、探る上でも貴重な種になっている。