装甲騎兵ボトムズ40周年記念第48話
キリィも、ロッチナも、俺も、どうやら同じ穴の狢らしい・・・・・・。
俺達の乗ったこの艦は、ワイズマンの意志に従って、宇宙の闇を何処とも知れず走り続けていた・・・・・・。
クエント星から放たれた謎の破壊エネルギーを回避したものの、秘密結社に捕まったキリコ達は、ワイズマンによって、宇宙のとある場所に誘導されていました。
アステロイドベルトの如く、張り巡らされたフローターベルトの中を、母艦は進んでいきます。並みの宇宙船では、とても通り抜けられようが無い障害物の中を・・・・・。不安げな部下に、キリィは「神に祈っておれ!」と言います。
フィアナ「怖い・・・・・・あなたが何処へ行ってしまうのか・・・・・・キリコが、判らなくなった・・・・・・。」
キリコ「今に判る、俺もそれをが知りたいだけだ・・・・・・。」
そして、前方の視界に、謎の人工的な球体が現れました。秘密結社艦はそこに降り立ちました。
そして降りた途端、再びワイズマンからのメッセージが入りました。キリィとロッチナに、キリコを連れてくるようにと。
ワイズマンの力を、ほんの一部分だけでも独占したいキリィは、ロッチナを差し置いて、自分と、アロン、グランに護衛兵だけを連れて、キリコと共にワイズマンの元へ向かいます。
今度は秘密結社に囚われることとなり、踏んだり蹴ったりのような3人組でしたが、ゴウトは異変に気づきました。
ゴウト「俺はどうも腑に落ちねえ・・・・・・・。」
バニラ「何でだ?」
ゴウト「キリコだ!」
バニラ「どうかしたのか?」
ゴウト「気がつかねえか?ロッチナ達はPSにベッタリだった・・・・・・・。」
ココナ「フィアナかい?」
ゴウト「ああ!それが今じゃ、金魚のウンコみてえに、キリコのケツばっか追いかけてやがる・・・・・・。」
そうして話している最中、秘密結社から処刑の刺客が送られてきました。
秘密結社兵「そこへ並べ!」
バニラ「あっ、殺る前に教えてくれよ、俺達の仲間は?」
秘密結社兵「ロッチナって奴は、お前達の次だ。」
バニラ「違う違う!キリコだよ、若い男の方!」
秘密結社兵「上陸した!これ以上はノーコメントだ!」
バニラ「あっ、ちょっと待って。もう一つお願いちゃん!」
秘密結社兵「世話の焼ける奴だ!なんだ?」
バニラ「もう、長えこと、煙草と付き合ってねえんでさあ、最後の一服位頼むよ。」
ゴウト「お情け深い兵隊さんだ、その位判ってくれるさ。」
秘密結社兵「おだてなくても、その位やってやる!」
しかし、バニラの罠に気づかない兵士は一瞬の隙を突かれて銃を奪われ、ゴウト達に脱走されてしまいます。
こうして、ゴウト達もキリコの後を追いに掛かりました。
ロッチナとフィアナもまた、閉じ込められていましたが・・・・・・。
フィアナ「キリコはどうなるのです?」
ロッチナ「それを知りたいのだ、私は・・・・・・。」
そこへ、バニラ達が駆け付け、二人も脱走します。
ところが、バララント艦隊と共に、第6,第7艦隊がクエント上空で消滅した事で、バッテンタイン他ギルガメス首脳部は、改めてクエントに艦隊派遣を決定し、バララントでも同様の動きの気配がありました。
バッテンタイン「・・・・・・・・諸君の懸念はもっともだ。早速、最高幹部会にかけてみよう。」
ゴウト達はロッチナとフィアナを連れ立って、キリコの後を追っていました。
ゴウト「つまりは、出し抜かれたって訳か。」
ロッチナ「お前達に話す事はこれだけだ、私はキリコが必要なだけだ。」
バニラ「ま、いいわな。目的が一緒なら。」
ロッチナ「お前達とは違う人間だ。いや、PS以上の存在なのだ。」
バニラ「難しい話はよく判らねえが、キリコは俺達の仲間だ、人間さ。」
ココナ「ホントだよ!化け物扱いはよして欲しいね!キリコが可哀想だよ!!」
ロッチナ「可哀想?それどころかキリコは・・・・・・・。」
フィアナ「キリコは・・・・・・?」
ココナ「心配しなくても大丈夫だよ、キリコは不死身さ。」
ロッチナ「不死身か、そうだ。キリコはワイズマンによって、それを約束された・・・・・・・。」
しかし、そこへ、秘密結社兵達が襲いかかってきて、一行は急いで逃げつつ、キリコを追います。
バニラとゴウトが応戦しつつ、一行は向かいますが、追いつかれつつありました。
先行したロッチナ達も、ワイズマンの使命を受けた者以外が入れない場所の護衛達に阻まれ、ロッチナの機転で上手く行きかけた詐術も、ゴウト達が追いついたことで、無駄になってしまいました。
逃亡の最中、ロッチナだけが外れ、一行はそれに構わずにキリコを追いかけますが、当のキリコとキリィは、遂にワイズマンの神殿に来ました。
キリィ(私の夢が叶う!ワイズマンの力の一部を手にするだけで、アストラギウス銀河を支配出来る!)
ところが、ワイズマンに忠実に尽くしてきたキリィではなく、キリコだけに自分の元へ来るようにいいます。
キリコ「ワイズマンの意志に従おう・・・・・・。」
キリィ「何故、この私を!?キリコだけを・・・・・・そんな!?」
キリコは遂に、ワイズマンとの対面を果たします。
キリコ「ワイズマン!お前の言っていた事は本当らしい!俺の運命がお前に握られていたことは否めない!だが何故だ?PSと違う?・・・・・・・確かに二人とも、遺伝子操作による人工的所産だ!では、この俺は何だ?」
キリコの脳裏に飛び込んできたワイズマンの言葉は・・・・・・
キリコ「アストラギウスの歴史が生み出したというのか?この俺を!・・・・・・・あんたの後継者にだと!?」
ワイズマンの呼びかけに、キリコは遂に・・・・・・
キリコ「生まれながらのPS・・・・・・異能者!?・・・・・・・よかろう、喜んであんたの後継者になろう!!」
キリコはそう宣言し、ワイズマンは歓喜の声を上げているかのようでした。
一方、取り残されたキリィは・・・・・・・。
キリィ「えっ、終わった?私の役目は・・・・・・・それじゃ私は何の為に!?ワイズマン!!」
だが、キリィはワイズマンの放った一撃に心臓を撃ち抜かれて、銀河からの退場をさせられてしまいました。
茫然とするアロンとグランの前に現れたキリコは・・・・・・・。
俺は神の後継者、彼の意志がそう決めたのだ!
俺の運命がどう開かれていくか、俺にはそれが見える。
俺は神の子なのだから・・・・・・!
次回予告
人の世の喜びも悲しみも、一瞬の星の瞬き。
万物流転、全てが宇宙に仕組まれた、巨大なイルミネーションだとしたら?
底知れぬ闇にしつらえられた、ただ一つの椅子に座り、いつ果てるとも知れぬ、無数の光の象徴を見続ける者。それは誰か?
次回「異能者」
それが、我が運命(さだめ)なら。