宇宙海賊キャプテンハーロック40周年記念第41話
地球を目指して押し寄せてくるマゾーン大艦隊に、敢然と立ち向かうキャプテンハーロックと40人の仲間達。
無数の前衛艦隊、本隊の戦闘艦を撃破し、遂に彼等は女王ラフレシアの居城、旗艦ドクラスと遭遇したのである!!
地球を背にマゾーンとの最後の決戦に挑むアルカディア号の中で、女王ラフレシアの乗艦であるマゾーン旗艦ドクラスのあまりの巨大さに驚かない者は皆無でした。
マスさん「ほら、あんた達、ご飯の時間だよ!・・・・・何騒いでんのさ?判った、判った、一体何があるんだい?・・・・・・あれま!?」
ドクターセロ「う~ん、わしは物事には驚かない質だがねえ、今度ばかりは度肝を抜かれましたよ。いや大きな艦だねえ、アルカディア号のざっと100倍はありますよ、きっと。」
しかし、いつまでも圧倒されてばかりではありませんでした。台羽正が早速攻撃しようとします。
正「この艦に女王が・・・・・・。」
ハーロック「うむ・・・・・・。」
螢「台羽君、まだ攻撃命令は出ていないのよ。」
正「この時を待っていたんだ!父さんの仇を討つチャンスを・・・・・・父さんの仇!!」
パルサーカノンが放たれ、なまじ標的が大きいだけに外れること無く命中するはずでしたが、ドクラスに何の損害も与えられませんでした。ドクラス周囲に張り巡らせていたエネルギー吸収装置によって、アルカディア号の砲撃は無力化されてしまうのでした。
手が出せないハーロック達に対し、今度はマゾーンの方がアクションを起こし、ドクラスはアルカディア号を圧し潰さんとばかりに接近し、アルカディア号は慌てて反転回頭します。
そのアルカディア号に向かって、残すところ40隻あまりになったマゾーン本隊の残存艦隊が接近してきました。しかし、正はマゾーン艦隊の様子がおかしい事に気づきます。
正「いつもなら、アルカディア号の左右から攻めてくるのに、真っ直ぐ突っ込んできます、ただ一直線に・・・・・・。」ヤッタラン「むっ!そういわれれば・・・・・・キャプテン、これはなんかありまっせ!」
正「来た・・・・・・!」
それはすぐに判明しました。
正「なんだ?体当たりしてきた!?」
ハーロック「全員死ぬ気だ!何百、何千のマゾーンがこの特攻で死ぬ!台羽、パルサーカノンを用意しろ!小者はスペースバスターで充分だ!だが注意しろ、小型艇はともかく、マゾーン母艦はそうはいかん!あれに激突されると、アルカディア号とて無事では済まんぞ!!」
死兵となったマゾーン残存艦隊の特攻攻撃は激烈で、防ぎきれない程のその凄まじさにアルカディア号の傷は深まっていきました。
マゾーン艦長(CV:間嶋里美)「全能なるマゾーン、女王ラフレシアに栄光あれ!!」
どうにか乗り切ったものの、ホッと一息つく暇もなく、今度はドクラスの巨体が立ち塞がり、アルカディア号に砲撃を仕掛け、アルカディア号は補助エンジンや武装をやられてしまいます。
正「どうしたんでしょう?砲撃が止みました・・・・・。」
ヤッタラン「お茶でも飲んでるんやろ?」
螢「マゾーン母艦接近!」
ヤッタラン「なるほど、体当たりで潰そうって訳やね。」
ハーロック「一撃で仕留めるには、俺達はどうやら憎まれすぎているらしい・・・・・・。」
ヤッタラン「どおりで砲撃のエネルギーが弱かった訳や。」
ハーロックはドクラス後部上方30度の位置にアルカディア号を向かわせ、そこに密着する形で砲撃を回避します。こうしてどうにか膠着状態に持ち込みました。
ハーロックは艦をヤッタランに任せ、ボレット発射台に全員が来るように言います。
ハーロック「マゾーン母艦は途方も無く巨大だ、その上、本艦の武器は破壊され役に立たない。だが、ボレット2号のドリルを使って、敵艦の窓を攻めれば、内部に突入するのも不可能ではない!」
正「全員で、飛び込む訳ですね!?」
魔地「しかし、離れた時、狙い撃ちされる心配が・・・・・」
ハーロック「分散して数カ所から一気に攻める!」
魔地「なるほど。」
こうして、ヤッタランに艦の留守を任せ、乗組員一同はドクラスにボレット2号で乗り込んでいきます。
ヤッタラン「頑張れよ、みんな・・・・・・。」
全員ボレット2号で内部突入に成功しますが、アルカディア号の百倍もある広大なドクラス艦内で、迷路に迷い込んだように彷徨いました。
台羽正と有紀螢は、とある一室で女王ラフレシアと遭遇します。銃を撃とうとしますが、近衛隊に阻まれ、逆に窮地に陥ってしまいますが、ドクターゼロや魔地機関長達が駆け付けて、マゾーンが怯んだ隙を突いて、正はナイフを投げ、それはラフレシアの急所に命中しました。
正「やったよ・・・・・父さん!」
しかし、それはラフレシアではなく、自らラフレシアの影武者に扮していた近衛隊司令官クレオでした。
台羽「ドクター、みんなは?」
ドクターセロ「ああ、大丈夫じゃよ。誰も怪我はしとらん。」
しかし、海賊達が揃って集められた場所は・・・・・。
螢「どっ、どうなってるの?一体・・・・・。」
正「罠だ、罠に掛かったんだ!この部屋は無重力室だ!」
魔地「これじゃ身動きがとれんぞい!」
正達が無重力室に掴まったその頃、仲間達から離れ、1人ハーロックが行き着いたところは、霊山の間でした。
全能なるマゾーン 全能なるマゾーン ラフレシア
全能なるマゾーンの 偉大なる女王ラフレシア
全ての民を率いて 宇宙を行く
ラフレシア ラフレシア ラフレシア
銀河の彼方の 故郷(ふるさと)無くして
マゾーンは行く 新しい星を求めて
凍える宇宙の闇を越えて
ラフレシア ラフレシア ラフレシア
生きねばならない 哀しみ隠して
マゾーンは行く 夢を追い地球目指して
帰らぬ旅路の果てを続く
ラフレシア
ラフレシア「長い・・・あまりにも長い旅だった・・・。幾億の市民達と百万以上の兵士達を引き連れて、故郷の星を離れ、私たちはずっと宇宙を旅してきた・・・・・・。長旅に疲れ、気弱になる市民達、隊列も乱れがちな兵士達、そんな彼女たちに私は言った。「ごらん、あれが地球です。我らマゾーン第二の故郷、我らマゾーンの安住の地、あの青く輝く星が、我らマゾーンの道標。」・・・・・・青き星地球に安住して暮らす安らかな日々を、私はずっと夢見ていた。それが、まさか、まさか・・・・・・まさか一匹の海賊如きに夢破られようとは!!お前が憎い、ハーロック!!私の理想を、マゾーンの未来を阻むお前が憎い!!」
ハーロック「それだけか?言いたいことは・・・・・・確かに俺は、たかが一匹の海賊に過ぎん。だらけきった人間共に絶望し、故郷を捨てた男だ・・・・・・。」
ラフレシア「それが、地球人に絶望したはずのお前が、何故地球を守ろうとする?」
ハーロック「花を咲かせてみたいのだ。マグマに焼かれ、死滅した山肌も、種は根付き、いずれ芽吹くときが来る。芽は育ち、やがて花を咲かせる。・・・・・・死に瀕した地球にも、未来は育ちつつあるのだ!!」
ラフレシア「あの小娘の事だな?まゆとかいう・・・・・・」
ハーロック「だらけきった地球人共を蹴散らかすのは構わん。だが、未来の種を摘むことは、絶対に許さん!!」
地球への集団移住を果たそうとするマゾーンの女王、その地球の未来を守ろうとする宇宙の無法者、幾多の激戦を繰り広げ、くぐり抜けてきた二人が、ここに対決の時を迎えた。
お互いの目的の為に互いに一歩も退かない覚悟で、命を盾に戦う決意の二人だった・・・・・・。
しかし、ラフレシアはマゾーン特有の幻影攻撃で、ハーロックを殺されたマゾーンの怨霊で苦しめます。
ラフレシア「ふふふふふ・・・・・それはお前に殺された我が同胞、どうだ?キャプテンハーロック、一度殺した相手をまた殺せまい!」
ハーロック「このままでは・・・・友よ、我が友よお!!」
ハーロックの呼びかけに反応し、アルカディア号は衝角を突き出して、ドクラス艦内に突入します。
そして幻影攻撃を逃れたハーロックが気配を感じると、戦闘服を着たラフレシアがいました。
ラフレシア「勝った者があの星を・・・・・!!」
地球を指さすラフレシアに対し、ハーロックはうなずき、互いの剣が火花を散らし合います。
地球も、ハーロックの友も、2人の戦いを静かに見守っていました。
そして遂にハーロックの剣が、ラフレシアを捉えました。
女王ラフレシアは敗北を認めるほかありませんでした。
遠い昔、地球に科学文明を伝えたのはマゾーンであった。
その自分達の蒔いた種によって、今、絶体絶命の危機に追い込まれてしまったマゾーン。誇り高き女王にとって、この屈辱は到底耐えられなかった。
いっそハーロックの刃にかかって、一息に死のうと思うラフレシアであった。
だが・・・・・。
ラフレシアの斬られた胸元から、マゾーンの緑の樹液とは違う、赤い血のような液体と、外に大挙している市民船団を見ていて、ハーロックの戦意は無くなりました。
ラフレシア「何故だ?ハーロック、何故殺らぬ?」
ハーロック「市民達を、連れて去れ!!市民達はお前を必要としている。お前の市民達を・・・・・・。」
敗北した以上、もはや抗いようが無かったラフレシアが発した言葉は・・・・・・。
ラフレシア「・・・・・・私は・・・・・・私は、去る!!」
ハーロック「私、は・・・?」
ラフレシア「私は去る!!」
こうしてドクラスと市民船団を引き連れて、マゾーン大キャラバン隊は地球から離れていきました。
遂にマゾーンとの戦いに勝利した事で、40人の海賊達は歓喜に沸き返っていましたが・・・・・。
ヤッタラン「遂にワイらが地球を守ったんやな!!」
螢「やりましたね、キャプテン!」
ハーロック1人が、浮かない顔をしていました。
正「何か気になる事でも?」
ハーロック「私は去る・・・・・・どういう意味だ?女王ラフレシア・・・・・・。」
遂に、マゾーンとの戦いに勝利したハーロック達。
だが、最大の好敵手を失ったハーロックの胸には、荒涼とした風が吹き抜けていった・・・・・・。
ハーロック、君は再び、果てしない宇宙の海へ、さすらいの旅に出るのか。
我々は忘れない、雄々しい君の姿を、凛々しい君の心を。
宇宙海賊キャプテンハーロック
「さらば宇宙の無法者」をお楽しみに!