肝炎リスト放置 国は反省を
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/11/30/d20071130000209.html
「血液製剤「フィブリノゲン」の投与でC型肝炎ウイルスに感染したとみられる418人のリストが放置されていた問題で、厚生労働省の調査チームは「国が告知をしなかったことに責任があるとまでは言い切れない」としたうえで「患者の視点に立った配慮がなく、反省すべきだ」とする報告書をまとめました。」
「反省すべきだ」とはどういうことなんでしょう。すいませんでした、って謝ればすむってことかな。
そもそもこの薬害が広がったのは国や製薬会社の対応が後手後手にまわったことが原因でしょう。アメリカでフィブリノゲン製剤の製造承認が取り消されてから10年後にしてようやく危険性を警告するという対応の遅さで感染者は増大。この時点で国と製薬会社の責任は重大なもの。さらにその後の告知も徹底されず、平成13年では肝炎感染の疑いがある人に積極的に検査を呼びかけていたが平成14年に428人の感染可能性のある患者のリストを把握したにもかかわらずこれらの患者に対して告知を行っていない。このリストの放置が今回問題となっているわけですが。
当時この報告を受けた厚生省職員は「患者を診察した上で製薬会社に報告しているのだから、医師が患者に事実関係を知らせていると思っていた」とのこと。国民の健康・安全を守る立場としての意識の低さでしょうね。
また、14年に告知が行われなかったのは「平成13年に肝炎対策の有識者会議が、フィブリノゲンによる感染者は数が多く、個別に知らせるよりも広く検査を呼びかける必要があると提言していた」ためで、だから国に責任はないとのことみたいです。
しかし先に述べたように薬害肝炎の被害拡大は国・製薬会社の対応の遅れが大きな原因なわけで。その後の対策(=感染した可能性のある患者に対する告知の徹底)を怠ってきたことが重大な責任。むしろ国が医療機関に対して感染の可能性のある患者に告知する義務付けを行うのが当然の対策と思うのだが。14年の対応も患者の数が多すぎるからって理由みたいですが、とても合理的な対策とは思えない。16年にも検診を呼びかけたようですが、実際に検診を受けた人は少数だったよう。今後厚生省は約7000の納入医療機関名公表と受診の呼び掛けや、国内製剤メーカーに肝炎発症例をリスト化を指示、それをもとに本人の特定を行う方向のようです。未だ感染を知らない潜在的患者への告知と、薬害肝炎に苦しむ患者に対する救済の両面からの対策が急がれます。問題に対する国や厚生労働省の姿勢も問われるところ。