山あり谷あり備忘録 -20ページ目

山あり谷あり備忘録

2011年お正月。いきなり卵巣癌の告知を受け、日々、手作繰り状態で癌と闘うzeroの、のほほーん日記です。少しでも同じ病で悩む方のお力になれましたら幸いです。。。

入院、手術となると気になるのが費用ですよね。

どれだけかかるのか。

高額療養でどれだけ戻ってくるのか。

どういう支払方法があるのか。。。などなど。


入院をしたことのなかった私は、とりあえず区役所に行ってみました。

高額療養費制度について、詳しくうかがいに。


これから書くことは、あくまで国保を使ってのことです。

社会保険を利用しての場合はどうなるのでしょうか。同じなのかな?

ほとんどの皆さんが私よりもずっと詳しいと思いますが、念のため(笑)。


高額療養費の自己負担限度額は、所得により3区分に分けられます。


・上位所得者(標準報酬月額が53万円以上)

 (10割相当医療費-500,000円)×1%+150,000円


・一般(標準報酬月額が53万円未満)

 (10割相当医療費-267,000円)×1%+80,100円


・低所得者(市区町村民税の非課税者等)

 35,400円


たとえば「一般」で10割相当医療費が\1,000,000かかったとしますと、

こうなりますね。


1000000-267000=733000

733000×1%=7330

80100+7330=87430


この \87,430が、この場合の自己負担額ですね。

のちに請求すれば、病院で支払った金額から、こちらが差し引かれた

金額が戻ってくることになると思います。


うーん。これで、あってるかな???


もし、あとから請求するのが煩わしい、入院するのに大金を持って

いくのは躊躇われる、最初からこの金額を支払いたいと思われるの

でしたら、そういう方法もあります。

国保の場合は、役所の国民健康保険課に行って


「国民健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」


というものを発行していただきましょう。

社会保険だと勤務先の健保組合に申請するのかな??


この認定証を入院時に提示すれば、お会計の際に、限度額のみの

支払いで済むと思います。


この限度額は、一ヶ月あたりの限度額になりますので、入院が2ヶ月に

渡ったりしますと、この倍ほどかかると考えていいのかな。

私の入院は結果的に一ヶ月近くと長かったのですが、もし、短期の

入院で済むのでしたら、月初めの入院がお得、ということなのでしょうか?


あ、高額療養制度は、保険適用内の治療に関してのみ認められます!

保険適用外の治療、食事代やパジャマ代、差額ベッド料金、文書代など

は対象外です。これらは自費ですよー!



私はこの制度でとても助かりました。。。

認定証も発行していただいていたので、入院中も何かと安心でした。

区役所の担当者も、もっと利用していただきたい制度だとおっしゃって

いました。


日本の保険制度は凄いですよね。。。


唯一の家族である兄達にとりあえず報告。

上の兄は取り乱し、下の兄は私のいたらなさを指摘しました。


「お前がちゃんと検診を受けていればいいことだったのだろう」と。


それに関しては、本当に返す言葉もございません。

しかし、卵巣癌は自治体での検診の対象にはなっていないし、そもそも

自覚症状がほとんどないので、発見が難しいことをわかって欲しい。

自覚症状が出るころは、かなり進行した段階なのです。

したがって卵巣癌の多くは、ステージ3以降の進行癌で発見されることが

とても多い癌なのです。。。



そして、落ち込んだ気持ちにムチうって、下の兄が厳しい言葉とともに

示してくれた「病院の実力」という雑誌のデータをもとに、セカンドオピニオン

を受ける病院の選定に入りました。


候補は、癌研有明病院、国立がんセンター中央病院、都立駒込病院。


癌研有明と国立がんセンターに電話してみたところ、ともに、数週間あとの

月末~翌月になるとのことでした。

癌研有明病院とともに東京都の「がん診療連携拠点病院」に認定されて

いる都立駒込病院は、予約は埋まっているものの、先生と相談して

何とか時間をつくっていただけるとのことでしたので、こちらに決定。


今回、セカンドオピニオンを受けるに際して、私が通っているお茶の水の

病院の先生達は、本当に心をつくして下さいました。

「あなたに少しでもセカンドオピニオンを聞いてみたいという気持ちが

あるのなら、絶対に受けたほうがいい。ぼくもそのほうがいいから」


と、いやな顔一つせずに、受ける病院を一緒に考えてくださったり、

すぐに紹介状や画像データを揃えてくださった主治医のO先生に

心から感謝しております。。。


O先生にお伺いしたところによりますと、婦人科腫瘍の分野には

専門医制度というものがあり、治療を受けたり意見を聞いたりするときは、

こちらを参考にすると良いそうです。

「婦人科腫瘍学会」というホームページがあり、そちらに専門医がいる

病院やその専門医のお名前も掲載されておりますので、もし興味が

おありの方がいらっしゃいましたら検索してみて下さい。

...基本的にリンク不可だったようなので。



そして一週間後、都立駒込病院へ。

告知のときと同じように当然一人で行く気でいた私に、友人Yちゃんより

「一緒に行くから」という思わぬ申し出が。

...一人で動くことに慣れなければと思いつつも、やはり本心は恐い

ことに変わりはありません。このときほど、押しが強く優しいYちゃんの

存在をありがたいと思ったことがあっただろうか。。。

いえ、いつなんどきでも、ありがたいと思ってるんですよ~(笑)


駒込病院へついてみて、その大きさにびっくり!

大病院に慣れているYちゃんに手をひいてもらわなければ。。。。。。

絶対に迷子でした。


担当の先生は婦人科腫瘍学会の専門医で評議員も努めて

いらっしゃる方でした。

そちらの先生の診断も、やはり、卵巣悪性腫瘍であろうと。

ステージはおそらく1で早期ではないかと。

ただ、リンパに腫れが見られるので、こちらへの転移が心配と。

...うーん、これらは、後々に覆されることになるのですが(笑)。


先生いわく。。。

「あなたが通っている病院以外のところに行けば、温存なんて

言葉は一切出ないでしょう。問答無用で有無を言わさず摘出

手術と言われると思いますよ。ぼくだってそうします」


...O先生、S先生、たくさんのお心遣いありがとうございます。

駒込病院の先生にスパッとダメ押しをされて、はっきりと気持ちが

決まりました。

これまた後からわかったことなのですが、O&S両先生、まだ

こちらで手術を受けるとは告げていなかったのですが、すでに

この時点で私の手術の日程を組んで下さっていたのでした。

私には言わずに。。。心にくいことをして下さるなぁ~(笑)


もうあれこれ考えずに、O先生とS先生にお任せしよう、と。

元々、他でお話は聞いても、手術はこちらで受けると決めていた

のですから、もう、この時点で迷いは消えました。


主治医と患者の関係って、なかなか深いものなのですね。


主治医のO先生は、私の疾患が癌だということがわかると

すぐに、予約をとるのに数ヶ月待ちという噂の婦人科部長の

S先生の診察予約を取ってくださいました。

おそらく、するするするっと横入り。。。m(_ _ )m


そして、O先生とS先生と私の三つ巴会談ならぬ診察。

S先生の診断もO先生と同じく「卵巣悪性腫瘍」。


卵巣腫瘍の手術というは、まずは、手術中に腫瘍が良性で

あるか、良性と悪性の中間に位置する境界悪性であるか、

悪性であるかを判断することから始まるようです。


まず腫瘍部分を摘出し、そのまますぐに「術中迅速病理検査」

という検査をし、良性ならば、そこで手術は終了。

境界悪性ならば、両卵巣、子宮、大網の摘出。

悪性ならば、さらに、骨盤・傍大動脈リンパ節を切除。


この方法に限るわけではないと思いますが、これが現在の

卵巣腫瘍の標準手術というもののようです。

ただ、年齢も若く、妊娠を強く希望し、ごく早期の癌であった

場合は、癌の進行度次第では、片側の卵巣・卵管切除で

経過観察、という道も残されているようです。

やはり、早期である、ということが大切なのですね。


...私の場合は、まず、年齢的にアウト。

とても残念なお年頃なのでした。。。

子供が大好きで、いつかは自分の子供を...と願わなかったと

言えばウソになります。

でも、この年まで子供を生まずにきて、いざ生めない身体になる

と言われてジタバタすることは、ほとんどありませんでした。

もちろん、悲しかった。診察中にも関わらず泣いてしまいました。

しかし、それよりももっと心に引っかかることがありましたので。。


それは、卵巣欠落症状。。。


私は親も配偶者もいませんので、すべての判断を自分で下す

必要がありました。

先生もそのことを理解されてか、私には早い段階から、自分の

病気について勉強することを求められました。


告知されてすぐに買うように薦められた本があります。


■患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん

 治療ガイドラインの解説

 (\2400+税 金原出版株式会社)


勉強したおかげで、色々と心配な未来も見えてきてしまいました。

あとから聞いたお話なのですが、先生は誰にでも勉強をしろとは

言わないと。私は乗り越えられると信じたから薦めたと。。。


卵巣欠落症状。

卵巣からは「エストロゲン」というホルモンが分泌されており、それは

女性の生殖機能を維持するほかにも多くの役割を担っています。

そのホルモンが分泌されなくなると、様々な影響が出ることがあります。


短期的には、頭痛、肩こり、汗をかきやすくなる、イライラなどの

いわゆる「更年期障害」に似た症状。

中・長期的には、動脈硬化や骨粗しょう症など。

それらを治療するためのホルモン補充療法などもありますが、これは

体質によっては受けられないこともあるそうです。

そういう場合は、漢方薬での治療が行われる場合も。



手術を受けて抗がん剤治療を受ければ終わるというものではないの

かもしれない。5年再発しなければ良しというものではない。。。

そんな重みがドカッと肩にのしかかってきました。


O先生もS先生も、悪性腫瘍であればもちろん摘出が基本ではあるけど、

私が一つでも卵巣を残して欲しいと願っている気持ちは忘れないし、

手術中も出来る限り後遺症が出ないように万全を期すとおっしゃって

下さいました。

その言葉でストンと何かが心に下り、、もう他には道がないんだ、先生方

にすべてお任せしよう、と思えるようになったのかもしれません。


生きるためには選択肢はないんだ。