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山あり谷あり備忘録

2011年お正月。いきなり卵巣癌の告知を受け、日々、手作繰り状態で癌と闘うzeroの、のほほーん日記です。少しでも同じ病で悩む方のお力になれましたら幸いです。。。

前回の退院から約2週間。
初めての抗がん剤治療のため、再び大きなバッグを片手に入院。


今度の入院期間は、予定では、10日~2週間ほど。
次回の治療からは、5,6日の入院で済む予定だけれど、最初は
薬の効き方や副作用の出方を見るために、長めの入院期間を
設定されたということでした。
これを1クールとして、計6クール行う予定です。


入院してわかったことなのですが、この期間も、人によって様々
なのだということ。

私は結果的に、13日の入院だったのですが、お話しをうかがった
方々の中には、1クール目であっても、一週間であったり、8,9日
ほどで退院された方もいらっしゃいました。

少々の引っかかりはありますが(笑)、自己管理に自信のない私に
とっては、長く見ていただいたほうがいいのかも、と納得しました(笑)。



入院日当日の午前中に入院し、即、採血、レントゲン、CTなどの
検査を行いました。今回のCTは造影剤なし...良かった(笑)。


そして、尿量や尿の成分などを検査する「蓄尿」についての説明を
受け、その時点から開始。。。


まずは、24時間の尿を全て蓄尿袋に保存する
「24時間クレアチニン・クリアランス」という蓄尿を丸一日。
これは、例えば、24時間を「AM8時~翌AM8時」と設定した場合は、
最初の8時の尿はそのまま捨て、その後から翌日8時までの尿を、
指定された蓄尿袋に保存します。

この24時間の蓄尿が終わったら、その後は3日間、尿を全て蓄尿器
と呼ばれる機械に保存する作業が待っていました。
「24時間~」と同じように、尿を計量カップに取り、蓄尿器のモニターに

表示されている自分の名前にタッチして尿を投入。

...この蓄尿たち...とても面倒でした。
しかし、抗がん剤治療中の尿の成分や腎機能を調べるためには
欠かせないもののようで、「少しでも取りこぼしたら看護師に報告
して下さいね」と。。。


尿だのお通じだのばかりで、ほんと、すみません。。。



卵巣がんに対する化学療法には多くの種類がありますが、

私がお医者さまから説明を受けたものは3種類でした。


最も標準的とされるのが「TC療法」。

パクリタキセル(商品名 タキソール)

カルボプラチン(商品名 パラプラチン)

の2種類のお薬を3~4週間ごとに点滴で投与。


「TC療法」の親戚みたいな感じ(?)の「DC療法」。

ドセタキセル(商品名 タキソテール)

カルボプラチン(商品名 パラプラチン)

の2種類のお薬を3~4週間ごとに点滴で投与。


そして、「dose-dense TC療法」。

こちらは、「TC療法」を、お薬の投与量を変えて週に一度行うもので、

入院をせずに通院で受けることも十分に可能なようです。


「dose-dense TC療法」は、日本で積極的に研究・試験されている

方法のようで、その成果についても、世界に先駆けて発信されて

いるそうです。

先生がおっしゃるには、現段階での、他の方法との大きな差は

それほど認められていないけれど、将来的には、こちらの方法が

スタンダードになる可能性は大いにあるとのことでした。


現段階では、「TC療法」が標準的とされていますが、これらの

他にも、「イリノテカン」と「シスプラチン」を併用した「CPT-P療法」

などもあり、患者さんの状態によって決められるようです。

同じ種類のがんであっても、違う療法を提示されることも、また

よくあることのようですね。



抗がん剤といえば、副作用、ですが(笑)。。。

吐き気、脱毛、骨髄抑制などはほとんどの抗がん剤治療において

発生しうるもののようですが、やはり、それぞれに強く出る症状

というものもあるようで。。。


私が受けている「TC療法」では、末梢神経障害やアレルギー症状が

強くでることがあるようです。

...受けた感想としましては、、、その通りでした(笑)。


「DC療法」では、更なる骨髄抑制や浮腫というものが強く現れ、

「CPT-P療法」では、下痢が大きな症状のようですね。

「dose-dense TC療法」では、人によっては、常にだるさを感じる

ことがあるようですね。



これらの治療を行うスケジュールなども、人によって違うようです。

私は、4週間に一度、入院をして投与する方法なのですが、他にも

3週間に一度、入院して投与する方や、「dose-dense TC療法」を

受けるために、週に一度通院して受ける方もいらっしゃいます。


3週間と4週間。これは...何が基準になるのでしょうね?

3週間おきに投与して、がん細胞を叩くのがいいのか、4週間おき

にして、白血球の数値の戻りを確認して叩くのがいいのか。。。?

先生にお聞きしても、患者さんの状態や薬剤との関係などがあって

人によって違うとしか言えない、と。

患者さんの個人的なことに触れてしまうことになるのかな??


...ただ言えることは。

4週間おきな私にとって、治療の終わりはずっと先ということ。


手術から2週間と2日。

ようやく私にも先生からの退院指導の時間が訪れました。

他の方々よりも約一週間遅れ、、、悪性だから仕方がない。


病棟の処置室に呼ばれ、診察台にあがり触診。

そして、行った術式の説明や結果、今後の治療について。

そこで私が「摘出した臓器の写真とかは...?」と聞くや否や

「あ、見ます?悪性の方の写真は希望者だけにしてるんだけど」

とO先生、私の返事を待つこともなく、パラパラっと写真を

広げました...


うぅぅ!!グロテスク!エイリアン!見なきゃ良かった!!

...これが、私が真っ先に頭に浮かんだ感想でした。


手術自体は全体で5時間半ほどかかったものの、とても順調に

進み、終わったとのこと。

ただ...懸念材料の一つだった、卵巣の破裂が、、、起きてました。

入院前から、「破裂しないように気をつけて」とは言われていたの

ですが、、、見事に破けていました。

...ステージが気になるところです。

破けたことで、ステージがあがったりしてるのかな。。。

早速お尋ねしてみたのですが、まぁ、予想通りなのですが、まだ

病理の結果が出ていないとのこと。

卵巣、腹膜、腹水、大網、リンパ...こと細かに検査をする必要が

あるので、いったん退院して、次回の外来のときに結果発表という

ことになりました。


しかし、一つわかったことは、確実に悪性腫瘍だということ。

良性ではなく、境界悪性でもなく、悪性。

確実に、ステージ1c以降だということも告げられました。

したがって、この時点で、抗がん剤治療適用が決定しました。


結構、冷静に聞いていたつもりなのですが、病室に戻ると、友人

Yちゃんがお見舞いに来てくれていました。

彼女の顔を見た途端...身体の力がどっと抜け、涙がポロポロ

こぼれてきました。ワケを聞いた彼女の目からも。。。

無意識のうちに、気持ちは張りつめられていくものなのですね。

思い切り泣いたあとは、かなり、すっきりしてしまいました(笑)。


卵巣がんのステージは、国際進行期分類というもので、大きく四つに

分けられています。


■Ⅰ期-がんが卵巣に限局している(とどまっている)もの


    Ⅰa期-がんが片側卵巣に限局し、がん性腹水がなく、

          被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの

    Ⅰb期-がんが両側の卵巣に限局し、がん性腹水がなく、

          被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの

    Ⅰc期-がんは片側または両側の卵巣に限局するが、

          被膜表面への浸潤や被膜破綻が認められたり、

          腹水細胞診または腹腔洗浄細胞診で、がん性細胞が

          認められたもの


■Ⅱ期-がんが片側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤内臓器へ

      進展しているもの


    Ⅱa期-がんが子宮、卵管へ進展しているもの

    Ⅱb期-がんが子宮、卵管以外の骨盤内臓器へ進展しているもの

    Ⅱc期-がんがⅡa期、Ⅱb期で、被膜表面への浸潤や被膜破綻

          が認められたり、腹水細胞診または腹腔洗浄細胞診で

          がん細胞が認められたもの


■Ⅲ期-がんが骨盤腔を超えて、上腹部の腹膜、肝臓表面、大網、小腸

      に転移しているか、後腹膜リンパ節あるいは鼠径リンパ節に転移

      しているもの


    Ⅲa期-目には見えない顕微鏡レベルの腹腔内転移を組織学的に

          確認できるもの

    Ⅲb期-直径2cm以下の腹腔内転移を組織学的に確認できるもの

    Ⅲc期-直径2cm以上の腹腔内転移、ならびに・あるいは後腹膜

          リンパ節または鼠径リンパ節に転移のあるもの


■Ⅳ期-遠隔転移、肝臓実質への転移、

      悪性細胞が証明された胸水の存在



...わかりにくいかもしれませんが、このようにステージングされます。


後日、退院後初の外来診察で告げられた私の癌のステージは、、、


ステージⅢb期


というものでした。

Ⅲbといことは、骨盤外のどこかに転移をしているということ。

私の場合は、骨盤腹膜、腹水、大網に転移が認められたということでした。

懸念されたリンパ節への転移はなし。残存腫瘍もなし。

これらをトータルして出した結論が、ステージⅢb期。


これだけ見ると、とても重い結果のように思えます。

しかし、これは、あくまでも、機械的に当てはめた場合の結果ということ。

先生がおっしゃるには、私のケースは、とてもⅠcに近いⅢbなのだと。


骨盤腹膜、腹水への転移。

ここまでなら、ステージⅠcということになります。

問題なのが、大網への転移。

大網とは、胃の近くから垂れ下がっている脂肪膜のことなのですが、

もし、この大網の上部に転移が認められていたら、取り除くことも難しく

なってきて、深刻な問題になっていただろうと。

私の場合、大網に転移は認められたものの、大網の下部、卵巣の近くに

5mm大のものが一つ認められただけだということでした。

そのがん細胞も、大網とともに取り除かれています。


それでも、上(厚労省あたり?)に報告をあげなければいけないので、

国際規格に照らし合わせた結論を出さざるをえない。

それだけのことだと。


手術によって、私のお腹の中にあった目に見える悪性腫瘍はすべて

取り除いたので、残存腫瘍はゼロである。これはとても大切なことで、

先生は、何度も何度も、分類表にあるⅢbとは全く別物で、実際はⅠcに

限りなく近いものなのだと、説明して下さいました。


そして、幸いだったことがもう一つ。

癌の種類が、抗がん剤が効きやすいとされている「類内膜腺がん」で

あったということ。


卵巣がんとは、細かく見れば様々なのですが、大きく見ると主に

漿液性腺がん、類内膜腺がん、粘液性腺がん、明細胞腺がんの

4種類に分けられます。


がんの種類などによっては、比較的に抗がん剤が効きやすいと

されているものと、そうでないとされているものがあるようです。

もちろん、効きにくいと言いましても、日々、現在進行形で様々な

治療法が研究されていますし、がんの種類だけで治療法が決まる

わけではないので、どの種類であっても、信頼できるお医者さまと

よく話し合ってお任せするべきなのですよね。


大切なことは、腫瘍を出来る限り取り除くということと、適切な環境

で適切な処置を受けるということなのだと思います。


悪性であること、ステージⅢbであること、類内膜腺がんであること。

これらを告げられ、必死に頭の中で整理をしようとしていた私ですが、

先生の目線はすでに先の抗がん剤治療へ。

先生に薦められた本の抗がん剤治療のページを開いて、先生の

説明を聞き漏らさないようにメモをとりながら、ひたすら聞きました。


...約1時間。ずっと抗がん剤のお話でした。

もう、それは、抗がん剤の歴史などについても、熱く熱く(笑)。

そのおかげで、なんだか、抗がん剤というものが身近に感じ(笑)、

副作用の恐さも半減したように思えます。


人とは、「得体の知れないもの」に怯える生き物なのですねぇ。。。