ここに置いてる小説達を手直しを加えて違う場所に移動します!

そして、ここを普通のblogにします!


移動場所を知りたい方はメッセ送ります。


では、お知らせでしたー^^
とりあえず、無言のままのシズちゃんに中に入ってもらう。
「お茶、入れてくるから適当に座ってて」
「………」
何か喋れよ!なんて思いながら、台所にコーヒーをいれにいく。
ついでにお菓子なども持って戻ると、シズちゃんは相変わらず不機嫌そうなままで、ソファーに座っていた。
「はい、コーヒーとお菓子」
「……」
テーブルに二人分の飲み物とお菓子を置いて、シズちゃんの向かいに座る。
沈黙が、続く。その沈黙に耐え切れなくなった俺が口を開こうとした時、シズちゃんがぼそっと言った。
「なんで…」
「?」
「なんで、今日誕生日って教えてくれなかったんだ…」
酷く不機嫌にシズちゃんが呟いた。俺がきょとんとしていると、ため息を吐きながら言葉を続けた。
「さっき、セルティに会って初めて今日手前が誕生日って知ったんだよ。…手前の誕生日は、俺が一番に祝ってやりたかったのに、祝ってやりてぇのによぉ…。プレゼントも用意できてねぇし…」
…なんだろう。すっごい嬉しい。むすっとしているシズちゃんには悪いが、ときめいた。惚れなおした。
つまり、シズちゃんが今不機嫌なのって、俺の誕生日を一番に祝えなかったからでしょ?祝ってやりたかったぐらい、俺のこと好きってことでしょ?
…やばい、すっごく嬉しい。
「シズちゃん、」
「…んだよ、」
「今年はさ、俺も忘れてたんだ。自分の誕生日」
とたんに彼は少し呆れたような顔をする。俺は気にせずに続ける。
「だから、来年から、一番に祝ってよ。今日は、ずっと一緒にいてくれれば、それだけでいいしさ」
ね?と微笑みながら言えば、シズちゃんは少し考えるようにした後、小さく笑みを浮かべて頷いた。
「来年からはプレゼントもちゃんと用意して、ちゃんと祝ってやっからな?」
「あはは、楽しみにしてる」
はっぴーばーすでー
何でもない日から、特別な日になった、俺の誕生日。

朝起きれば珍しくシズちゃん以外からプライベート用の携帯にメールが来ていた。

珍しく、なんて自分で言っていても悲しくなるが、仕方ない。俺友達いないしさ。……寂しい奴とか言うな、わかってるし。


「誰からかなぁ…」

とメールを見てみれば、予想以上に多い。紀田君や帝人君、新羅に運び屋やらいつもはメール等してこない奴らから来ていたし、あの四木さんからも来ていた。一体何事かと思い、一通メールを読んで気づく。


「俺、今日誕生日じゃん」

うわぁ馬鹿だ俺。自分の誕生日とかすっかり忘れてたよ。そうだ、そうじゃん。

他のメールを確かめてみるとやはり誕生日を祝ってくれるような内容ばかりで。今まで祝われるようなことなんてなかったから、酷く嬉しい。


と、そこで気づく。

「…シズちゃんから、来てない」


シズちゃんとは先日付き合いはじめたばかり。ずっと俺に片思いをしていたという彼は、付き合い始めてから、今まで喧嘩していた反動のようにとても優しくなった。
そんな彼だから、記念日とか大事にするタイプかなぁと思ってたのだけれど。意外にそうでもないらしい。
それか、うっかり携帯を壊してしまったとか。


俺の誕生日を、知らないのかもしれない。言わなかったし。新羅もドタチンもおおっぴらに祝うようなことはしてこなかったから。
むしろ何で紀田君やら帝人君やらが知ってるのか気になる。教えてないよね、俺。

いつも通り仕事をしながらメールに返信する。波江は、メールで今日は休むとの連絡があった。ついでに誕生日おめでとうとも。


今日は偶然にも池袋に行く用事は無く、昼ごろまでそんな感じに過ごしていた。


シズちゃんには連絡しなかった。…なんか祝って、と催促するみたいで嫌だったから。祝ってもらえたら嬉しいけど、祝ってもらえなくて悲しいわけではない。強がりじゃなくて、ただ誕生日なんていつも通りの日常だから。


ピーンポーン



チャイムの音で頭が現実に戻る。少し考え込んでしまっていたらしい。

ピーンポーン、ピーンポーン

少しいらついたように繰り返し鳴る音に、慌ててドアを開ける。

「はいはい、どちらさま…、…シズちゃん?」


「…………」

そこには、不機嫌そうにシズちゃんが立っていた。