平成ライダー第11作目「仮面ライダーW」(2009年9月~2010年8月)。この作品をキライなライダーファンって皆無じゃないでしょうか?

 

かつてTVで観ていた探偵シリーズをオマージュした作風は、新鮮かつ懐かしく(机は『探偵物語』で使用していたものと同一!!)、「W」のデザインもシンプルかつスタイリッシュ。第2期平成ライダーシリーズを最高のスタートダッシュに導いた大傑作。

 

そしてなんといっても主人公/左 翔太郎のハーフボイルド探偵のチャーミングさ!!

 

ちょっとキザだか、どこかしまらない2枚目半。まさに工藤ちゃんの系統をしっかり引き継いだ軽やかな探偵像がホント魅力的な主人公(演じた桐山 漣の演技が素晴らしすぎピンクハート)。もちろんフィリップ、所長も好きですよ♪

 

そんな「W」の劇場作品『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』。久方ぶりに観た感想を書いていきたいと思います。

 

 

 

(2011年 上映時間 1時間06分 監督 坂本 浩一)

 

  ストーリー

 

テロリスト集団「NEVER」の襲撃により、ばらまかれたAからZまでの26個の次世代ガイアメモリ。混乱する風都。


メモリを回収するため、翔太郎・フィリップ/仮面ライダーWは、国際特務調査機関員マリアの協力を得て、行動を開始するも、「NEVER」 の隊長/大道克己が立ち塞がる。

 

「 E 」のメモリで仮面ライダーエターナルに変身した克己と、仮面ライダーWとの激突が始まる。

 

  感想

 

最初に言っておく。これはかーなーり傑作!!

 

これを前提に苦言というか、毎回気になる箇所から書いていきたいのですが...

 

何故にこんな違和感全開のアクションぶっこむのかな、製作陣よ。

 

例えば、序盤で翔太郎がバイクでドーパントめがけて突っ込むシーン。

 

そのまま激突させればバイクの質量とスピード。ドーパントといえ、かなりのダメージを受けるのは間違いないかと思うのですが...

 

結果はなんと翔太郎の飛び蹴り!!

 

 

生身ですよ生身!?  バイクからの飛び蹴りなんて大ケガ間違いなしの上、与えるダメージは大幅減少、バイクも大破。そんなオツム悪すぎな行動...フツーします??(改造人間ではなく、翔太郎はごくごく普通の人間です)。

 

また前半のバイクアクション。かなり力が入っていた演出かと思いますが...

 

しかし、その相手は複数生成されたマスカレイド・ドーパントの分身というか幻影(しかもバイク付)実体がない相手に蹴りやバイクで吹っ飛ばすって、もう何がなんだか(後半にも再登場しますがあせる)。

 

また変身前の二人が素手でエターナルとやり合うところも、まったくもって気に入らない。バケモノみたいなエターナル(スペック上のパンチ力は3トン、キック力は12トン)に軽く当てられただけで即死ですよ。ちゃっちゃっと変身しろよ、もう!!

 

そんな細かいコトどーでもいいじゃんという意見はごもっとも。しかし何度観てもノイズに感じるんで、やっぱこれは必然性のなさに起因すると思うワケです。

 

正直、観客楽しませるというより「せっかくの映画だし色々やってみようぜ!! 予算あるし♪という現場ノリ、作り手都合を感じちゃうんですよ。

 

 

多数の戦闘員をバッタバッタとなぎ倒すシーンは、見せ場として必要かとは思いますが、もっとスマートにできなかったものか(ルナ・ドーパントが簡易メモリを自己生成、警官たちに植え付けマスカレイド・ドーパントになって襲い掛かるetc)。本作はテロ事件という、リアルに感じる題材なわけですから、ふわっとした設定でやって欲しくなかった、マジで。

 

 

とはいえ、こんな苦言を呈すのも、本作が面白かった故のこと。ライダー映画としては屈指の傑作。

 

なかでも、敵側の不死兵士(アンデッド・ソルジャー)/テロリスト「NEVER」のなんと魅力的なこと!!

 

各々が強烈なキャラクターを持ち、今なおライダーファンから支持される彼ら。後にスピンオフが作られますが、そんな人気のある映画専用キャラは平成・令和を通し、彼ら以外にはいませんからね。

 

 

 

 

また前述した翔太郎は本作でも屈指のカッコよさ。NEVERの強敵レイカ/ヒート・ドーパントとのタイマン時、「おてんばのファイヤーガール」なんてキザな台詞を吐くトコなんてサイコーです♪

 

そして本作初登場の仮面ライダージョーカー

 

 

 

ロストドライバー入手の不自然さ、Wより強いんじゃないかと思える戦闘力。初見時は違和感もありましたが、いまとなってはシンプル・イズ・ベストの魅力的なライダー。必殺技がライダーパンチ、ライダーキックというのも「キラいじゃない。キラいじゃないわ!!」

 

またバトルが秀逸なのも、本作の素晴らしかったポイントの一つ。

 

特にファング対エターナル戦、ジョーカー対ヒート・ドーパント戦。そしてフォームチェンジを目まぐるしく行いながら、エターナルを追い詰めるラストバトル。屈指の名勝負のオンパレード(ライダー映画の最終バトルはグダグダ感が多いですが本作は別モノ)。

 

 

エンディングのアッサリ感は相当なモノですが、満足感は保証付の本作。ライダー映画の大傑作です!!

 

 

最期を迎えたNEVERたちがあまりにも...

 

満足度 70点

 

 

 

ここまで女顔なのに「漢」を感じさせる松岡充ってスゲー。