『ジュラシック・パーク(1993)』をリアルタイムで観れたことは、本当に幸運でした。
あの生々しい恐竜たちと、初めてスクリーンで対面した時の衝撃といったらもう...。
まさに二度とない映像体験。確実に映画の歴史が変わったと言っていい、記念碑的な作品です。
そして本作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は『ジュラシック・パーク』の続編。ジェラシックシリーズ第2作目に当たります。
とはいえ、個人的に好きな映画ではありません。
公開当時、「あの時の興奮よ、もう一度!!」とばかりに期待度MAXで観に行った結果、次作『ジュラシック・パークIII』を観に行かなかったほどダメージが残ったガッカリ作品だったのですから。
世間の評価も同様で、第18回ゴールデンラズベリー賞に「最低続編賞」「最低脚本賞」「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされたぐらいの酷評ぶり。
しかし、自分が言うのも何ですが、そこまで本当につまらない作品だったのでしょうか?
いま考えれば、『ジュラシック・パーク』並みのクオリティを期待したあまり、当時の世間も自分も本作のハードルを上げ過ぎた気がします。
そんなわけで、最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』公開前のおさらいも兼ね、久方ぶりに本作を観賞しようと思った次第。
2022年7月、果たしてどんな感想になるのでしょうか?
(1997年公開 上映時間/2時間9分 監督/スティーヴン・スピルバーグ)
ストーリー
コスタリカの沖合いに浮かぶ離れ小島。そこは「サイトB」と呼ばれ、「ジュラシック・パーク計画」において恐竜をクローン生産させるための拠点であった。
ところが、かつてジュラシック・パークを建設した実業家ハモンド(リチャード・アッテンボロー)の運営会社インジェン社は倒産寸前。会社を立て直すために、甥のルドローは恐竜を生け捕り、アメリカ本土に「ジュラシック・パーク」を再建しようと画策する。
ハモンドはマルカム(ジェフ・ゴールドブラム)をリーダーとする恐竜調査隊、ルドローは恐竜ハンター団をそれぞれ「サイトB」に派遣するのだが...
感想
そこそこ面白かった。ですが...
思った以上に楽しめました。展開も早いし、退屈せずに終わります。
20年以上前の映画ですが、いま観ても恐竜たちにしっかりした実在感があり、SFX技術の陳腐化は全く感じられません。
Tレックスも相変わらずの大迫力。今回は島だけではなく、街中でも大暴れします。
ただひっかかるのは、やはりこの陳腐なストーリー。ゴールデンラズベリー賞「最低脚本賞」ノミネートは伊達ではありません。
恐竜使っての金儲けは絶対悪というロジック。まずここがいただけない。
自社が社運を賭け、大金を投じて現代に復活させた恐竜たちです。儲けようと考えても致し方ないでしょう。
しかも、会社が倒産するかどうかの瀬戸際なのです。ルドロー側を悪者と断ずる描き方は、いささか偽善っぽく感じられます。
主人公側調査隊のやり口が
またヒドイ!!
彼らの中に自然保護運動家が入っているのですが、コイツのおかげで装備が大幅ダウンした恐竜ハンター団は、Tレックスやラプトルに踏まれたり喰われたりで大量の死者が発生します。
恐竜殺しを娯楽にしている輩であれば、そこにカタルシスも生まれるでしょう。
しかし、彼らは恐竜捕獲で雇われただけの職業ハンターたち。調査隊のせいで彼らは犬死にするんですから、観ていてやるせなくなってきます。
主人公イアン・マルコムも微妙。
本作では彼、ほとんど役に立ちません。
もともと数学者(カオス理論学者)ですので、それを活かせる見せ場があれば別ですがそんな場面一切なし。
演じるジェフ・ゴールドブラムは好きな俳優ですが、こんな空気主人公では不憫でタマリマセン。
マルコムではなく、ハンター側リーダーであるローランド(冷静かつ的確な行動が出来るタフガイ)を主人公にした方が、冒険活劇としてまだ楽しめたと思います。
なぜユニバーサル・ピクチャーズはこのクズ脚本をよしとしてしまったんでしょうか。
本作にはマイケル・クライトンが書いた原作がありますが、内容は原型をとどめないほど大幅な変更がされており、さすがのスピルバーグも、これでは前作のクオリティを保つことは不可能だったと思います。
とはいえ、ジェラシックなんちゃら映画が未だに量産されていますが、そんなバッタものに比べれば、本作の迫力は比べようがありません。
恐竜が出た!暴れた!喰われた!
逃げろ!!
それだけは確実に楽しめますので、いま観る分には十分な娯楽作品だと思います。
ただ公開当時、『ジェラシック・パーク』の続編として観ていた前作ファンは、そりゃガッカリしたでしょう。
当時の自分もそうだったんですね。
満足度 55点