007シリーズ第16作目『007/消されたライセンス』は、4代目ジェームス・ボンド、ティモシーダルトンの2作目にして最後の作品。
前作「リビング・デイライツ」のダルトンボンドが、思いのほか気に入り、本作も続けて鑑賞しました。
本作ストーリーがボンドの個人的な復讐、また暴力的なシーンが多いとのことでアメリカで始めてPG-13指定を受けた作品というのが、またそそります。
殺人機械と化した007の壮絶な復讐劇が果たして観れるのか。楽しみです!!
(1987年公開 上映時間 2時間10分 監督 ジョン・グレン)
ストーリー
CIAのフェリックス(デヴィッド・ヘディソン)が逮捕した、中南米の麻薬王サンチェスは、買収した捜査官キリファーの手引きにより脱走する。
サンチェスは残忍な方法でフェリックスに瀕死の重傷を負わせ、彼の新妻を殺す。
ボンドは友人の復讐のため行動を開始するが、ボンドの任務を逸脱した行為に対し、MI6のM(ロバート・ブラウン)は直接、別件の任務を指示。ボンドは苦悩するが、その場で辞意を示し逃走する。
殺しのライセンスを失ったボンドは単身、サンチェスの元へと乗り込む。
登場人物
消化不良な最終作 ジェームス・ボンド/ティモシーダルトン
本作のボンドはとにかく弱い!!
当然、何度も危機が訪れるのですが、自力で切り抜けらないことが多すぎです。戦闘力も、三下ぽいニンジャにフルボッコの低レベル。
今回のボンドガール、CIAのパメラ(ショートカットが似合う美人。健気で可愛い♪)がいなければ、マジで何回死んだかわかりません。
挙句の果てに、今回のボンドの行動が、香港の麻薬取締官が長年かけた作戦をブチ壊す、迷惑千万ものの目も当てられない有様。
ダルトン云々でなく、本作の根本(脚本・ストーリー)がダメダメで、これでは華麗に活躍しようがありません。
ただ、細見のダルトンボンドが、気絶した男を軽々と担ぎあげたシーンを観て、
「スゲーな。ダルトン」
とそこは地味に感動しました。
何もしなくても顔がコワい フランツ・サンチェス /ロバート・デヴィ
サンチェスは麻薬王という役柄ですが、ホンモノにしかみえないデヴィの強面、お肌のボコボコ感はコワすぎます。
今回の作品で彼を初めて知ったのですが、キャリアは豊富で、他に「ダイ・ハード」「プレデター2」等に出演しており、歌手・脚本家・監督もやられてるとのことです。
そして、このサンチェス、もちろん見た目だけでなく残忍非道な男。
浮気相手の心臓を抉り出し、
フェリックスの脚をサメにむさぼり食わせ、
裏切り者(誤解ですが)を気圧室でスキャナーズばりの頭部破壊。
他にも、こんな奴は敵にまわしたくないシーンが満載で、まさに最恐の悪役です。
感想
復讐心に取りつかれたボンドが、サンチェスの組織に次々と破壊活動を行い、最後は凄惨な手段でサンチェスを処刑。そんなハードでダークなボンドを期待していました。
しかし、何なのこの話?
ボンドが何やりたいのか、さっぱりわかりません。
サンチェス暗殺のため、早速行動するかと思いきや、彼の取引先相手の船に無為無策で乗り込むも、あっという間にみつかり...
あり得ない偶然が重なった結果、大金を奪ったボンドは、それを軍資金にサンチェスに接近。しかし、掴んだ情報はなんと窓ガラスが防弾使用になっていることのみ。
「顔も名前もさらして、結果そんだけ!?」と観ているこちらはもうガッカリです。
この後の行動も、行き当たりばったりにしかみえず、当初の動機の「親友の復讐」はどこへやら。正直、無理やりスパイっぽい話にしてるとしか思えません。
とはいえ、サメ関連のシーンはこれはもう凄みがありました。
水産工場(?)の床が開くと、足元に人食いサメが泳いでいるというシチュエーションもたまりません。襲い掛かるサメも非常にリアル。
並のサメ映画が足元にも及ばない高クオリティなのです!!
正直「そこホメてもなあ」という感じではありますが...
サンチェスという、これ以上ない敵役がいたのだから、いくらでも面白い話はつくれそうなのに。なんとも残念な作品でした。
主題歌
「Licence to Kill」はこれ以上ない007節。ゴージャス感がたまらない名曲です。
さすがジョン・バリー!!と思いましたが、別のミュージシャンが作曲していました(歌っているのはグラディス・ナイト)。
満足度 50点
主題歌 75点
