車が古くなるとシートベルトの動きが渋くなったり伸びたまま巻取らなかったりするものが出てくる。その原因には以前から興味があった。
大型や特車を含め色々な車種を見たけど巻取り部分は大体こんな感じ。ひょっとしたら最新の車種ではまた違うかもしらんが古い車の物がベースなのだから少なくとも考え方は似たような物と推察します。
動作に問題ない部分を分解するとロクなことにならんので触ったことなかったけど、今回シートベルトを交換したついでに外した物を分解して内部を見てみた。
↓右側のカバーがセンサーで左側にゼンマイ
↓巻取りゼンマイ部分
こっち側のカバーは絶対に開けてはならない。数mあるスプリングが、呼ばれて飛び出てビロロロロ〜ン…になるよ。多分どれもネジを外したら回転できるような丸いカバーのハズ。
バラした写真は撮り忘れたが、組み直すのに10分くらいかかったからご勘弁。もうやりたくない(笑)
色々な車に乗ってるとベルト引き出し時にジャリジャリ引っかかりを感じる車がある。恐らくゼンマイの隙間に砂を噛んでいるだけだから掃除すれば改善するだろうけど、ホコリを呼ぶのでCRC等の潤滑剤は私なら使わない。薄くグリスを塗って拭き上げてから巻き巻きしましょう。
巻取りの強度(というか量)も左右のネジを外してバネが飛び出さないよう押さえながらカバーをクルクル回せば変更できます。
じゃあ引き出しも巻取りも出来なくなった場合にはどうすればいいのか?
右側カバーを外して構造を見れば解る。
↓機能① 加速センサーによるロック
上下に動く青いパーツがギヤの回転を止める爪を動かすカムで、その先端が鉛のバランスカップの中で内壁に触れるとカムが動き爪が動きギヤをロックしてベルトが瞬時に止まる仕組み。
↓急ブレーキ状態
カップは上半分が鉛のためグラグラ動くバランスの悪い状態になっている。だからこそ急な減速Gで傾きやすく一瞬でロックするのだ。
もちろんこの青いカムに荷重は掛からない。こんな小さなパーツで体重を支えているわけではないのでご安心を。
↓機能② 急引き出しによるロック
素早く引き出しても同じようにロックするのは、カップが傾かなくてもギアにくっついてる白い樹脂パーツがギアに追従して少し動きカムが爪をロックするため。左下の細長い弓状部分が真っ直ぐに伸びて位置が変わっているのが判る。
こんな繊細な仕組みであるため、埃まみれになっているとバランスカップの動きが阻害されて不具合を起こすことになる。
基本は垂直で静止してゆっくり引き出せば出入りするハズ。ホコリをとってエアガンで細かい砂等を吹き飛ばしそれでも動かなければ内部の異常です。私はヘーキでバラしますが、重要保安部品なので一般的にはアンタッチャブル推奨。
あまり潤滑剤などもかけない方がいいでしょうね。
機械式燃料ポンプを分解した時にも感じたことだけど、構造を理解できると合理的な仕組みに軽く感動を覚えました。誰かに聞いて欲しくて記事にしたので、どなたかの参考になれば幸い。
ああ、頭の良い先人が我々の安全を支えているのだなー