私が小学生か中学生の時に初めて見たF1。
当時のF1マシンはずんぐりむっくりで不恰好なクルマばかりだったが
ティレル(その時はタイレルと呼ばれていた)のクルマはやたらカッコよかった。
他のチームにはない6輪車だったのだ。前輪が4個もついてる。
それまで6輪車なんて工事用の車かサンダーバードでしか見たことない。
ブラバムというチームのクルマはエンジンの後ろに扇風機というか
機能的には換気扇といった方が正しいのだろうが羽がついた
クルマも子供だった私には衝撃的であこがれだった。
バットマンデフューザーなんてものもあったな。
それ以来、F1にハマってしまい、毎年F1が始まるのを楽しみにしていた。
それから12年ほど経って初めて日本人のフルタイムドライバーが現れた。
中嶋 悟氏である。
それまでスポットでは当時現役だった国さん(高橋国光)や星野さんが
F1を走らせた事はあったが、フル参戦の日本人はいなかっただけに
日本中に燃えた。
当時、「納豆走法」だの「雨のナカジマ」なる異名がついた中嶋さんだったが、
粘るのは確かに粘るがいかんせん、攻撃力がない。
チームメイトだった故アイルトン・セナやネルソン・ピケは先を行く
ばかりで、いつも中嶋さんは置いてけぼりだった記憶しかない。
中嶋さんの最高順位は4位である。
それ以来、毎年のように日本人のフル参戦ドライバーが現れた。
中野信二や高木虎之助。今は解説をしているカミカゼ右京こと
片山右京。初めて3位表彰台に上った鈴木亜久里など。
毎回、シーズンが始まるのを待ち、放送日を楽しみにしていた。
非力なマシンや下位チームにしか入れない日本人ドライバー
だが、それでも必死に応援したものである。
やがて、佐藤琢磨という今までの日本人とはちょっと違う
ドライバーが現れ、ホンダのマシンをドライブした。
目を見張る戦闘力のあるマシン。攻撃力のあるドライバーの
琢磨は鈴木亜久里と並ぶ3位表彰台に上った。
フェラーリのセカンドドライバーだったバリチェロとの
接触さえなければ最低でも2位になれたであろうレースは
いまだに記憶に残る。
そして、ついに世界で戦える小林可夢偉というドライバーが
やっと出てきた。
昨年、トヨタで衝撃デビューを果たした可夢偉。
お~~っ!ついにキター!と思って来年トヨタ確実だろうと思ったら
惜しくもトヨタが撤退。
しかし、ザウバーという中位チームが拾ってくれた。
以降の可夢偉の活躍は30年以上見てきたF1の中で
最高に期待できるドライバーだ。
今年に入り、毎回のようにポイントを獲得し、アグレッシブに
追い上げる攻撃的なドライバーの出現に毎レースが非常に楽しみだ。
モナコで5位に入るなんて今まで考えたこともなかった。
次戦のカナダでは路面がドライにならなかったら2位だったかもしれない。
まあ、ザウバーのマシンで表彰台に上がれる日が来るのか
どうかは疑問だが、ひょっとして強豪を差し置いて表彰台に上れそうな
時がくるのを期待している。
来年、ひょっとしたら、日本人初のフェラーリやマクラーレン、レッドブル
などの上位チームに移籍し、表彰台の常連になるかもしれない。
あとは、一刻も早くホンダと佐藤琢磨がF1の世界に戻ってくることを
願うばかりだ。