気候変動の影響で冬季五輪の開催適地が少なくなるというから、放っておけばそのうちIОCのほうから、開催を頼み込んでくるんじゃないかと思っていたら、さっそくこんな報道が。3月に札幌市議会が設置した調査特別委員会が廃止されたばかりだ。

 

 これはIОCが秋波を送ってきたのか‥?これまでの流れだと、招致不成功の最大の要因は「市民の支持が広がらなかったこと」だが、もうひとつ、JОCが開催地選定のプロセスについて大きく見誤り、IОCの会長が怒りをあらわにしたことで、2大会の最優先候補地が絞り込まれ、34年開催の可能性も消滅したと報じられていた。

 

 ただ、そのことを伝えたNHK記事は、札幌市が招致活動を「撤退」ではなく「停止」とした背景には、2038年大会以降の招致に対して残る淡い期待感がうかがえるとしていた。冬季五輪・パラ 札幌市が招致活動「停止」表明 なぜ?今後は? | NHK北海道

 

 適地が少ないなか、スイスの招致計画は競技会場が分散しているなど議論の余地が多いとしていて、期限までに課題解決の見通しが立たなかった場合、札幌市が立候補できる態勢を整えておけばチャンスはゼロではないとの見方が書かれていたわけだが、いきなり現実味を帯びてきた。

 

 これはイカン!

 

 札幌市は2月末に招致活動の検証結果を報告したが、道新の社説には、第三者による検証ではなく、市が行ったため公平性に疑問が残ることや、招致活動の検証と総括が不完全であり、改善が必要であることが指摘されていた。

 

 結局、なぜやるのか、どんな五輪を作りたいのかという理念がなく、インフラ更新と経済効果の期待というのでは、市民はもう盛り上がらないし、支持しない時代になってしまっている。だから、検証もそこそこに、推進派が息を吹き返してまた向こう何年も招致活動を繰り広げられるのは困りものだし、それに予算を使うべきではない。市はもうGXその他にシフトし始めているんだから‥。

 

 ひょっとしたら、IОCはからめ手でくるかもしれないな。旭川、富良野ほかが2028年の冬季ユース五輪を招致する構想らしいが、実現のハードルは高いらしい。札幌が冬季五輪招致を再開するなら、冬季ユース五輪を考えてもいいよとIОCから言われたら、JОCはどうするだろう?ええやんか 北海道4市「冬季ユース五輪」招致検討 | 玄冬シニアの心象日記 (ameblo.jp)

 

 そんな妄想までしてしまう、札幌冬季五輪関係の記事だ。「最も信頼できる国」などというIОCの甘言に乗せられるようなアホウになってはイケナイな。NHK記事最後の「【担当記者の視点】市民に丁寧に向き合う姿勢を」は、みんなの“実感”だ。

 この秋以降のドタバタ劇を取材してきた私から見ても、正直、招致が実現するような状況にはとても思えず、どの関係者も、どこかひと事のように話す姿が印象に残りました。こうした姿勢が市民の関心をますます遠ざけるものになってしまったと感じます。

 このあとの検証も含めて、市民に丁寧に向き合う姿勢を大切にしてほしいと思います。