亀 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

十日ほど前、男ばかり三人で徳島に渡り、

徳島の東海岸を高知の甲浦まで南下した。

延々と続く山の斜面でミカンを栽培し、

時々、猪の肉を送ってくれる友人に会うためだ。

その途中の海岸沿いの数カ所に、

ウミガメの産卵する浜があった。


我が国の地形は、八割が山々で平地はまことに少ない。

中山間地での農業は大変だ。

山を一年放置すれば、

猪と鹿と猿の世界に戻り、

人間の世界で無くなり、手が出せなくなる。


友人は、大学紛争時に東京の大学を中退し、

放浪の途中に和歌山の紀伊由良にある

興国寺に転がり込んで来たとき、

ちょうど、小生も、そこに転がり込んで、

座禅をして酒を飲んでいた。

そこで、意気投合して酒を交わしあって以来、

五十数年、

彼は、その後、

土佐の甲浦の山を開拓していた。

その日は、飲み過ぎて、

翌早朝の、

太平洋から昇る朝日を見ることはできなかったが、

おかげさまで、良い日を過ごし、

鳴門、淡路島を通って帰路についた。


そして、毎朝、

犬を連れて仁徳天皇御陵の西に沿った丘を歩くが、

ここも亀の産卵場所だ。

御陵の掘りに住む亀が上がって来て、

後ろ足で地面を掘って、そこに卵を落としている。

気の毒なのは、

カラスが、産卵する亀の後ろにいて、

卵がでてくれば、それを食っている。

亀は、一心に卵を産んでいる。


カラスは悪い奴や、と思うが、

工場で鶏が生んだ卵を根こそぎ奪う人間が

カラスが悪いと云う資格はない。


今朝は、雨の中、亀が一心に穴を掘っていた。

そして、雨の時はカラスがいない。

良かったなあ、頑張れ、と亀に云って通り過ぎた。

西村眞悟FBより。

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