嗚呼、横田滋さん、
あなたは、
救国に生涯を捧げた田中正造と同じだ
横田滋さん帰天の後、一ヶ月以上を閲した今、
生前の滋さんの、
妻の早紀江さんとともに、
いつも訥々と娘の救出を訴え続けている姿を,
瞼に思い起こした時、
同じ人がかつて我が日本にいたことに思い至った。
即ち、横田滋さんは妻の早紀江さんと共に、
北朝鮮に拉致された自分の一人の娘の救出という一点に、
私事ではなく、
公に尽くす自分の人生の意義と祖国の甦りをかけたのだ。
娘を救うことは、日本を救うことだ、と。
同様に、
天保年間に生まれて百年前まで生きた田中正造は、
自伝の冒頭に「余は下野の百姓也」と書いた男であり、
郷里の肥沃な谷中村が、
足尾鉱山の鉱毒を沈殿させる遊水池となって水没することを放置できなかった。
そこで彼は直感した。
谷中村を失うことは日本を失うことだ、
谷中村を守ることは日本を守ることだ、と。
よって、荒野で叫んだ。
「亡国を知らざればこれ即ち亡国」と。
即ち、田中正造は、
たった一人立ち上がり、日本を守ろうとしたのだ。
そして、百年後の現在、
横田滋さんが、妻の早紀江さんとともに行った、
全国千数百箇所における娘のめぐみさんと拉致被害者救出の訴えは、
田中正造と同じ救国の訴え、
「亡国を知らざればこれ即ち亡国」の訴えだった。
従って、拉致被害者救出運動は、
戦後という時代の桎梏のなかで、
唯一の国民の魂を動かす救国の国民運動となった。
田中正造は、
「栃木鎮台」と渾名された怒濤のような激しい男であった。
これに対して横田滋さんは、
静かに微笑みをたたえて訥々と語る方だった。
二人は対照的であるが、
人の魂を動かすことにおいて同じであり
共にキリストへの信仰を持っていた。
田中正造が、人生の最後に枕元に残したものは
ずだ袋に入ったボロボロの新約聖書と数個の石だけだった。
横田滋さんも、
信仰と妻への愛と必ず娘に会えるという願いだけを遺した。
今、
横田滋さんの在りし日の姿を思い浮かべるなかで、
救国の拉致被害者救出という
国民の魂に火がついた瞬間の情景が浮かぶ。
それは、
大気中に充満する電気が、
ある切掛けで一気に集約され雷の稲妻となって
我らの眼前の木に落ちるような情景だった。
そのなかで発せられた、
横田早紀江さんと
皇后陛下(当時)の
二人の聖なる女性の言葉を記しておきたい。
この言葉を
目の辺りに聴いた数年後に、
私は早紀江さんに尋ねた。
「あの言葉は、予めお考えになっていたのですか」と。
早紀江さんは答えた。
「いいえ、主人が眼の前で涙を流して絶句したので、
それをみて咄嗟に出たのです」と。
この時、
横田めぐみの父母である御夫婦は、
真の意味で、
即ち、神の前で一体だった。
平成十四年(二〇〇二年)九月十七日夕刻、
同日早朝から北朝鮮の平壌を訪問していた小泉総理大臣一行は、
北朝鮮の金正日との会談において、
拉致被害者の内、横田めぐみを含む八人は、既に死亡していると伝えられた。
総理大臣一行は、それを盲信して東京に伝達し、
東京では、官房長官と外務副大臣が
死亡したと言われた八名の家族をそれぞれ別室に招いて、
「残念ですが、あなたの娘さん(息子さん)は、既に死亡しておられます」
と死亡を宣告した。
この死亡宣告の直後に開かれた記者会見に於いて、
横田滋さんは、マイクの前で涙を流して絶句した。
すると、夫に寄り添うように後ろに立っていた早紀江さんが、
夫にもたれかかるように上体を傾けてマイクに向かい言った。
「絶対に、この何もない、
いつ死んだかどうかっていうことさへ、
分からないような、
そんなことを信じることはできません。
そして、・・・
私たちが一生懸命に、支援の会の方々と力を合わせて闘ってきた、
このことが、
こうして大きな政治のなかの大変な問題であることを暴露しました。
このことは、本当に日本にとって大事なことでした。
北朝鮮にとっても大事なことです。
そのようなことのために、本当にめぐみは、犠牲になり、
また、使命を果たしたのではないかと私は信じています。
いずれ、人は、皆、死んでいきます。
本当に濃厚な足跡を残して行ったのではないかと、
私は、さう思うことで、これからも頑張って参りますので・・・。
本当にめぐみのことを愛してくださって、
めぐみちゃんのことをいつも呼び続けてくださった皆さまに、
また、祈っていてくださった皆さまに、
心から感謝いたします。
まだ、生きていることを信じ続けて闘って参ります。
ありがとうございます。」
そして、
一ヶ月後の同年十月二十日、
皇后陛下は、
御誕生日のお言葉を発表され、次のように言われた。
「小泉総理の訪朝とともに、
一連の拉致事件に関し、始めて真相の一部が報道され、
驚きと共に無念さを覚えます。
何故、私たち皆が、自
分たちの共同社会の出来事として、
この人々の不在を
もっと強く意識し続けることができなかったのかとの思いを
消すことができません。」
西村眞悟FBより。
経済ひとりがたり田村秀男#21 消費税が諸悪の根源論(決定版)日本経済復活とデフレ脱却の鍵
消費税が悪税であるということを、これほど明快に語った論説は、これまでにあっただろうか? 消費税は自由な消費の足かせ、ほとんど罰金と言えないだろうか? 日本経済はなぜ20年以上も停滞しているのか? 日本経済の中身を紐解けば、「家庭の消費」と「企業の設備投資」で回っている。 そのシンプルな原則にブレーキをかけるもの、それが消費税なのです。 本動画は経済学者田村秀男による「安倍首相へのメッセージ」です。 日本の皆様も、本動画をしかとご覧下さい!