先ほど(十五日午後七時台)、
NHKのニュースを見ていて、
腹に据えかねる思いがしたのでここに記しておく。
同ニュースには、
化粧品会社から派遣されたような女性が
危機管理に精通している専門家として出ていた。
そして、アナウンサーから求められて、
河川堤防決壊で浸水し、
水が退いても汚い泥がべったりと張り付いた被災地は、
今、どうすべきかを、長々と述べていた。
曰く、マスクをして生活する、長靴を履く、手袋をはめる・・・。
こいつ、阿呆かと思った。
被災地は、深夜に水に襲われ、マスク・手袋どころか家が無いのだ。
そして、防寒対策を訊かれて、
ビニール袋に穴を開けて、その穴に頭を通して上半身にかぶせる、
と答えていた。
耐えかねて僕はTVの画面に言った。
馬鹿、新聞紙だ、新聞紙を体に巻け、と。
すると彼女は、
ビニール袋の次に新聞紙を巻けと言ったので、
小生の激高は、少々収まった。
では、何故、小生は、
マスクを付けろとか手袋をしろとか、物知り顔に長々としゃべる
「危機管理専門家」の女と、しゃべらせるNHKに怒ったのか。
その訳は、
今、突きつけられている緊急課題は、
手袋とかマスクのことではない、
全体としての国家体制の在り方じゃ!
と思っているからだ。
十二日深夜に関東地方に上陸した台風19号の被害状況の全体像が
十五日になっても判明せず、
被害者、つまり、死者数は、今も増え続けている。
これは、我が日本が、
初動の偵察、即ち、情報収集戦に敗北したということだ。
そう、国家の総力を使えず敗北したのだ。
十三日の夜が明けて明るくなったので、
千曲川の堤防が決壊しているのが分かっただと、
馬鹿、
陸上自衛隊は、何の為に夜間演習をしているのだ。
暗視装置や照明弾をもっているではないか。
滋賀県の饗庭の演習場で照明弾の燃えかすが演習場外に落ちていたことで大騒ぎをして、
地元の市長は、自衛隊の謝罪を求め、
NHKもそれを自衛隊不祥事として報道していたが、
この照明弾と暗視装置で、
深夜に、緊急救助行動の決定と開始が可能であったのだ。
それを、何故、NHK御用達の「危機管理専門家」が指摘しない。
浸水の後に堆積した泥は、
糞尿と家庭や工場の排水廃液が混ざる細菌の塊だ。
放置すれば、被災地に疫病が蔓延する。
従って、今、為すべきは、
国家としての「防疫戦」、「細菌戦」の開始ではないか。
NHKと御用達の専門家は、何故、これを指摘しない。
それを、マスクをせよ、手袋をせよだと、
偉そうに、お前に言われなくともする。
日本人の民度を見くびるな。被災地の難民ではないぞ。
最後に、
十四日の各国の海軍首脳を招いた相模湾での海上自衛隊の観艦式を、
観閲官の内閣総理大臣と防衛大臣は、
台風19号の襲来の故に中止したのだろうが、
では、中止して、
相模湾ではなく、被災地に飛んだのか。
そして、防疫戦の実施の検討でも幕僚にさせたのか。
自分たちが乗艦する予定だった護衛艦(ヘリ空母)「いずも」を
相模湾の観閲海域から利根川か阿武隈川河口付近に派遣して
「救援基地」として機能させようとしたのか。
まさか、観閲式がなくなったので、
自宅にいたのではないだろうな?
台風19号は、
我が国家としての国民救出・危機管理体制の欠落を明らかにしてくれた。
「偉大な結果をもたらす思想とは、常に単純なものだ」
と、ロシアの作家トルストイが「戦争と平和」のなかで述べている。
では、東アジアの情勢が動乱にむかう現下の我が国における、
「偉大な結果をもたらす単純な思想」
とは何か。
それを、
ともに、十九世紀に生きた日本人三人とドイツ人一人が既に語っている。
○吉田松陰 安政六年十月十一日記、十一月二十一日斬首
天照の神勅に日嗣之隆與天壌無窮と有之候ところ、
神勅相違なければ日本は未だ亡びず、
日本は未だ亡びざれば正気重ねて発生の時は必ずあるなり。
只今の時勢に頓着するは
神勅を疑ふの罪軽からざるなり。
○西郷南洲 「西郷南洲遺訓」
正道を踏み國をもて斃るるの精神無くば、
外国交際は全かる可からず。
彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に従順する時は、
軽侮を招き、好親却って破れ、終に彼の制を受るに至らん。
國の陵辱せらるるに當ては、
縦令國を以て斃るる共、
正道を践み、義を盡すは政府の本務也。
○福沢諭吉 「学問のすすめ」
理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、
道のためには英吉利、亜米利加の軍艦をも恐れず、
國の恥辱とありては、
日本国中の人民一人残らず命を捨てて國の威光を落とさざることこそ、
一国の自主独立とは申すべきなり。
人の一身も一国も、天の道理に基づきて不羈自由なるものなれば、
若し此一国の自由を妨げんとするものあらば、
世界万国を敵とするも恐るるに足らず。
○ルドルフ・イェーリング 「権利のための闘争」
隣国によって一平方マイルの領土を奪われながら、
膺懲の挙に出ない国は、
その他の領土をも奪われてゆき、
ついに領土を全く失って国家として存立することをやめてしまうであろう。
そんな国民は、このような運命にしか値しないのだ。
令和1年10月16日(水)
西村眞悟の時事通信より。