https://youtu.be/uLb-lEX7vsA70年余り置き去りにされた兵士たちの慟哭が聞こえるようだった。第二次大戦の激戦地
、ガダルカナル島(ソロモン諸島)。約2万1900人の日本軍将兵が命を落とし、今も約7千人分の遺骨が残されたままだ。8月末から2週間にわたり、飛行場奪還のため日本軍が密林ないに切り開いた全長約35キロの迂回路「丸山道」での民間団体の遺骨捜索・収集活動に同行した。
雨で増水したルンガ川を渡り、密林内の急峻な崖を登る。足元の泥で何度も滑り落ちそうになる。
昭和17年10月に3週間余りで急造された丸山道沿いのコロブブ地区。土中から骨片とともに眼鏡と万年筆が見つかった。「この万年筆で家族に手紙を書いたのだろうか」。まずか3センチほどの骨片が。急に人格を持つものに感じられた。
日が暮れると辺りは漆黒の闇に包まれる。兵士たちは発見を恐れて夜間に渡河や水の補給を行ったという。川岸から見上げた空には天の川がくっきりと浮かんでいた。絶望の中、日本へと続く空を見上げながら故郷を思ったに違いない。
帰路につく直前に見つかった大腿骨や色あせた写真。「ガ島未送還遺骨情報収集活動自主派遣隊」隊長で僧侶の崎津寛光さんが読経を終えると、突然の土砂降りになった。「やっと帰れる、という英霊の涙雨なんです」。崎津さんの言葉が胸に響いた。
故郷から遠く離れたこの地に今も取り残される兵士たち。どんなに帰りたいだろう。彼らの気持ちを思うとき、日本で自分の帰りを待つ家族の姿が浮かんで離れなかった。