自衛隊救出劇に賛辞の声続々。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 
犬2匹を袋に入れしっかり抱えヘリから救助

屋根の上で犬を抱えて救助を待った住人

 鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では10日、自衛隊や警察、消防などが、濁流の中で取り残された住民らをヘリコプターなどで救出した。テレビの生中継を見た人々から、隊員の練度と現場判断、心遣いに、「神判断」「感動した」などと賛辞が寄せられた。

 「子供の犬なので置いてこられなかった。自衛隊の方に『お願いします』と言って連れてきました。ホッとしました。ありがとうございました」

 自宅の屋根で犬2匹とともに救助を待ち、自衛隊のヘリに救出された男女の住民2人。女性は搬送先に到着後、こう語った。

 決壊現場近くには何人もの住人が取り残され、救出を求めていた。陸上自衛隊北宇都宮駐屯地の隊員らは上空から現場を確認し、「危険度が高い」と判断した順番に救助を続けた。

 隊員は住民2人が待つ屋根に降り立つと、犬を白い袋に入れるなどして、住民とともに救出した。ヘリにつり上げられるとき、隊員が犬をしっかり抱え、頭をなでるシーンも見られた。

 近くでは、電柱につかまり、恐怖に耐えながら救助を待っていた男性(64)もいた。堤防を見に出て自宅の庭に戻った直後、「決壊したぞ」と声が聞こえ、間もなく水にのまれた。泳いで逃げようとしたが流され、近くの電柱から突き出た棒をつかんだという。

 「ヘリから見ても疲労が分かった。できるだけ早く助けなければと思った」

電柱の近くに降下した隊員は、男性がパニック状態に陥っているとみて「大丈夫ですよ」と何回も声をかけたという。

 操縦していた隊員は、電柱にかかる電線が、ヘリのケーブル引っかからないよう細心の注意をはらって操縦した。

 避難先の体育館に到着した男性は「ものすごく寒かった」と語った。

 自衛隊のヘリは、電柱にしがみつく男性よりも先に、住宅で待つ住民を救出した。直後、住宅が濁流に押し流される映像が流れた。ネット上には「自衛隊、凄い判断」「日本の誇り」などと書き込みが見られた。

 現場上空でヘリを安定してホバリングさせる技術や、降下した隊員の無駄のない救助活動、住民やペットへの対応…。人々を驚かせる任務を遂行できるのは、日々の厳しい訓練が背景にある。



電柱にしがみついていた男性を救助する自衛隊員(本社チャーターヘリから)

台風18号の影響による大雨で鬼怒川が氾濫し、濁流にのまれそうな家の屋根からヘリで救助される人=10日午後4時1分、茨城県常総市

増水した鬼怒川が決壊し、自衛隊ヘリで屋根から救助される=10日午後、茨城県常総市(本社チャーターヘリから、大山文兄撮影)

増水した鬼怒川が決壊ししがみついていた電柱から救助される住人=10日午後、茨城県常総市(本社チャーターヘリから、大山文兄撮影)

東日本で大雨被害 浸水した常総市。孤立集落で取り残された人たちが自衛隊ヘリで救出された=10日午後、茨城県常総市本豊田(鈴木健児撮影)

鬼怒川の堤防が決壊して冠水した住宅街から自衛隊のヘリで救助される住民=10日午後4時52分、茨城県常総市

大雨の影響で鬼怒川が氾濫し住宅街に取り残された人がいないか探す自衛隊員=10日午後、茨城県常総市(蔵賢斗撮影)

自衛隊のボートで浸水した地域から救出される住民ら=11日午前、茨城県常総市新井木町(桐原正道撮影)

自衛隊のボートで浸水した地域の病院から救出される入院患者ら=7日午前、茨城県常総市新井木町(桐原正道撮影)

zakzak夕刊フジ