前の1週間に風邪の症状が続いた天皇、皇后両陛下は、今週も人事異動の宮内庁職員らからあいさつを受けるなど公務に励まれたが、天皇陛下は3日にも風邪の症状がみられたため、宮中祭祀(さいし)へのお出ましを取りやめるなど8、9日のパラオ共和国訪問に向け体調管理に努められた。
3月31日、両陛下は定年退職となった宮内庁や皇宮警察の職員を皇居・御所でねぎらわれた。1日には、陛下の相談役となる宮内庁参与に新たに就いた竹崎博允(ひろのぶ)・前最高裁長官や、両陛下の身の回りの世話をする宮内庁侍従職に新たに配属された職員らともお会いになった。
宮内庁の山本信一郎次長は3月30日の定例会見で、両陛下のご様子について「回復基調」と話したが、陛下は3日の「神武天皇祭皇霊殿の儀」と「皇霊殿御神楽の儀」へのお出ましを大事をとって控えられた。
両陛下は3月28日、来日していたデンマークのフレデリック皇太子夫妻を御所での昼餐にご招待。同日夜には皇太子ご夫妻が夫妻を東宮御所に招き、晩餐を催された。晩餐の前の懇談には長女の敬宮(としのみや)愛子さまも加わり、和やかに会話を交わされたという。
これに先立つ27日には、フレデリック皇太子夫妻がデンマーク自治領のグリーンランドの文化を伝える東京都内の行事に出席し、高円宮妃久子さまと長女の承子さまが同席された。
秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは2日、国際基督教大(東京都三鷹市、ICU)の入学式に臨まれた。式に先立ち、報道陣から新たな学び舎の印象を問われ、「緑が多くてとてもきれいなキャンパスだと思いました」とにこやかに答えられた。10日から授業に臨まれるという。
宮内庁によると、昨年10月にICUのAO入試に合格した後、宮中行事や公務に取り組む一方、12月と今年1月に入学予定者向けの講習に参加するなどして入学の準備を進められていた。
入学式を前に報道陣の取材に応じ、肩からずり落ちたバッグを直して照れ笑いを浮かべられる佳子内親王殿下=2日、東京都三鷹市の国際基督教大(ロイター)
3月末には秋篠宮ご夫妻、弟の悠仁さまとともに富山県を旅行し、国の特別天然記念物「ニホンライチョウ」の人工飼育を行う動物園「富山市ファミリーパーク」などを訪ねられたという。
三笠宮家の彬子さまは3月28日、宮城県南三陸町の上山八幡宮を訪れ、総裁を務める一般社団法人「心游舎(しんゆうしゃ)」のワークショップに参加された。心游舎は子供たちに日本文化を伝える活動を行っており、昨年3月の福島県立美術館に続き、東日本大震災の被災地での開催となった。
上山八幡宮では、豊作や豊漁を祈願して半紙を切って作る神棚飾り「きりこ」を受け継いでいる。作業場は震災の津波で浸水したが、型紙は奇跡的に無事だった。彬子さまは子供たちとともに型紙に合わせて半紙をカッターナイフで切り、鏡餅のきりこ作りに挑戦された。
翌29日には、被災者のガイドが案内する「語り部バス」に乗り、南三陸町職員や住民ら43人が犠牲になった防災対策庁舎などを見て回られた。
彬子さまは1日、京都産業大日本文化研究所の専任研究員と京都市立芸術大芸術資源研究センターの客員教授にそれぞれ就任された。京産大では日本美術の研究を続け、京都市立芸大では新たに「法隆寺金堂壁画における複写と模写」の研究でプロジェクトリーダーを務め、日本文化史の講義も受け持たれる。
父の寛仁(ともひと)親王殿下の薨去(こうきょ)後に空席だった「中近東文化センター」(東京都三鷹市)の総裁職も同日、引き継がれた。同センターは彬子さまの祖父の三笠宮さまのご発案から昭和50年に設立された。
心游舎のワークショップで神棚飾りのきりこを作製し、参加者の子供たちと記念撮影される彬子女王殿下=3月28日、宮城県南三陸町産経ニュース