両陛下と皇族方、追悼に心砕かれた1週間。
両陛下は震災後4度目の宮城県入り、復興状況ご視察。
2つの「慰霊の日」を迎えたこの1週間、皇室の方々は御霊(みたま)の追悼に心を砕かれた。
東日本大震災の発生から4年を迎えた11日、天皇、皇后両陛下は、東京都千代田区の国立劇場で行われた政府主催の追悼式に臨席された。天皇陛下は黒の礼服、皇后さまはグレーの和服に黒の帯を締めたお姿で、地震発生時刻の午後2時46分、遺族ら参列者とともに黙祷(もくとう)をささげられた。両陛下は犠牲者をまつる標柱の前に進み深々と2度、拝礼された。その後、陛下がお言葉を述べられた。
政府主催の東日本大震災4周年追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下と、皇后陛下=11日、東京都千代田区の国立劇場
宮内庁東宮職によると、皇太子ご夫妻は東宮御所で、政府主催追悼式に合わせて黙祷された。長女の敬宮(としのみや)愛子さまも学習院女子中等科で、同級生らとともに犠牲者の冥福を祈られたという。
両陛下は13日、震災後4回目の宮城県入りをされた。震災後初訪問の岩沼市では、津波被害跡地に震災がれきなどで造成された「千年希望の丘」の慰霊碑に白菊を供えられた。その後、かさ上げ道路や、避難先となる人工の丘などの減災対策をバスの窓越しにご視察。岩沼市の菊地啓夫市長、名取市の佐々木一十郎(いそお)市長から復興状況を聞かれた。岩沼市では集団移転が進んでおり、陛下は「移転先は海岸からどのあたりですか」と質問を重ねられたという。
宿泊先の仙台市のホテルでは、陛下が、国連防災世界会議出席で来日したトルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領とご会見。両陛下で、オランダのアレクサンダー国王の叔母であるマルグリート王女とお茶をともにされた。
約10万人が命を落とした東京大空襲から70年の10日に東京都慰霊堂(墨田区)で行われた慰霊法要には、秋篠宮ご夫妻が参列された。安倍晋三首相らも参列して読経が行われた後、ご夫妻はそれぞれ焼香して犠牲者を悼まれた。大正12年9月1日の関東大震災の犠牲者と合わせて毎年春と秋に法要が行われ、宮家の皇族方が順に参列されている。
東京大空襲から70年を迎えた追悼法要に参列される秋篠宮同妃両殿下=10日、東京都墨田区の東京都慰霊堂
両陛下は約1カ月後に迫ったパラオ共和国訪問に向け、首席随員となる風岡典之・宮内庁長官ら随行者から10日、皇居・御所で拝謁を受けられた。11日にも御所で外務省の山崎純・儀典長らから、関係各省庁が現地で行った事前調査の報告を受けられた。
陛下は9日、皇居・宮殿でドイツのメルケル首相と懇談された。宮内庁によると、首相が戦後70年に触れ「戦争がない時代を望んでいたがウクライナで深刻な事態が生じていることを心配しています」と語ると、陛下は事態の解決を願っていることを伝えられた。陛下も広島、長崎への原爆投下が大きな影響を残していることを語られたという。
ドイツのメルケル首相との会見に臨まれる天皇陛下=9日、皇居・宮殿「竹の間」
皇太子さまは、約50カ国へ順次出発する青年海外協力隊員計約200人を9、10日の2日間にわたって東宮御所で激励された。陛下も皇太子時代に協力隊員らを励まされていたといい、皇太子さまが引き継がれている。
皇太子さまは10日、キューバのカブリサス閣僚評議会副議長と東宮御所で会われた。元駐日大使である副議長からの面会希望で、江戸時代の慶長遣欧使節団に始まる交流などが話題になったという。
秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは7日、前日の伊勢神宮(三重県伊勢市)に続いて神武天皇陵(奈良県橿原市)を参拝し、成年を迎えたことを報告された。黒の帽子にグレーの参拝服、黒のロングコート姿で、墳丘前で玉串をささげて深々と拝礼された。
三笠宮家の彬子さまは12日、愛知県瀬戸市の市美術館を訪ね、フランス・リモージュ市のアドリアン・デュブーシェ国立美術館が収蔵する磁器の特別展を鑑賞された。
リモージュ磁器の特別展を鑑賞される彬子女王殿下=12日、愛知県瀬戸市の瀬戸市美術館